検察幹部の「役職定年」を延長できるようにする「検察庁法改正案」をめぐる騒動が、芸能界にも大きな影響を及ぼしている。特に“やり玉”に挙げられてしまったきゃりーぱみゅぱみゅは、5月10日、自身のTwitterでハッシュタグ「#検察庁法改正案に抗議します」をつけて投稿し、改正案に反対であることを表明。しかし、ファン同士の議論が大きくなったことを理由に、翌日にはツイートを削除する事態となった。その後はきゃりー以外にも、この件について発信を行った芸能人に対し、ネット上では、誰かに投稿を指示されたのではないかと「黒幕説」や「事務所主導説」を唱える声まで飛び出すなど、いまや法案自体の是非を飛び越えた状況になっているが……。
今回のケースに限らず、ほとんどの芸能プロダクションでは、政治の話題に言及することは「百害あって一利なし」とされているという。
「よく、『政治と宗教と野球の話はNG』と言いますが、やはり人の数だけ正解がある事柄について切り込むことは、好ましいとは言えません。スポーツに関しても『アンチやネガティブな意見は発信するな』と指導する事務所も多い。ウチの場合は、所属契約の時点で『政治・宗教の情報発信はNG』という内容にサインをしてもらいます」(大手芸能プロ幹部)
今回の検察庁法改正案についても、「他のプロダクションとも足並みを揃えて、全所属タレントに『書き込みNG指示』を出しました」(同)という。
「なぜここまで注意を払う必要があるのかと言えば、やはり最終的には『スポンサー対策』に行き着きます。政党批判や特定宗教への批判によって支持者たちから目をつけられると、該当する人物だけでなく、他の所属タレントの仕事にも悪影響が出てしまいますからね。こうした状況は、決して『良いこと』とは思えませんが、一方で業界的にすでに『タブー』と化していることも、間違いなく事実です」(同)
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さらに芸能人の「SNSタブー」について、多くの人気女優を抱える大手プロ所属の女性タレントは、こう話す。
「さすがにここ最近は、そこまで厳しくは言われなくなっていますが、一昔ほど前には『政治』『宗教』に加えて、『ジャニーズ事務所所属アイドル』についても言及NGだと指導されました。ファンの嫉妬が炎上につながり、ジャニーズ側からも煙たがられ、共演NGにされてはかなわないから、というわけです。今のジャニーズは、そこまで理不尽なことはしないと思いますが、それでも『他事務所の異性タレント』についてSNSに書き込む時点で、決していい顔はされないでしょうしね」
こうした忖度事情から、SNSを主戦場にしているタレントは「政治について思うところがあっても、決して書き込まない、というのがスタンダードになっています」(前出・プロダクション関係者)という。
この風潮が変わるのは、まだまだ先の話ということなのだろうか。