金子ノブアキが柴咲コウの元恋人役を好演 『エール』“遊びの週”登場のゲスト出演者に注目!

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2020年06月05日 13:01  リアルサウンド

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『エール』写真提供=NHK

 6月15日よりスタートする『エール』(NHK総合)第12週は、裕一(窪田正孝)と音(二階堂ふみ)を取り巻く登場人物に焦点を当てた物語がオムニバス形式にて放送される。


参考:『エール』橋本じゅん、井上順、金子ノブアキが出演 土屋CP「主人公のドラマがより面白くなる」


 制作統括の土屋勝裕氏によれば、一つの節目を迎える裕一の人生が描かれる第11週と戦争など激動の時代に突入する物語後半を繋ぐ“遊びの週”に当たるという。ヒロインらを支えるキャラクターに光を当てることで、不思議とヒロインの人生に新たな見方を与える。『エール』第12週もまたそんな役割を持つ物語である。


 第12週は、音の父・安隆(光石研)があの世から帰ってくるという突飛な物語の「父、帰る」、喫茶バンブーの2人・保(野間口徹)と恵(仲里依紗)の馴れ初めを描く「古本屋の恋」、環(柴咲コウ)がフランス・パリにてオペラ歌手として成功するまでを描き出す「環のパリの物語」の3編に分けられる。各ストーリーの主人公、安隆、保、環をそれぞれ支えるのが、今回初登場となる3人の登場人物だ。


●閻魔様(橋本じゅん)


 あの世には年に2回、ジャンボ宝くじがある。閻魔様はその主催者で、安隆は一等の「一泊二日地上に帰る権利」を手に入れるのだ(『わろてんか』(NHK総合)で藤吉(松坂桃李)が幽霊となって、度々てん(葵わかな)の前に現れていたこともあった)。


 白装束姿の安隆に負けない、強烈なメイクと衣装。嘘をつくと舌を抜くと言われる、あの閻魔様であるが、どこか茶目っ気溢れるキャラクターで「行ってらっしゃーい!」と安隆を温かく地上に送り届ける。これから解説する2人と比べると登場シーンはそこまで多くはないものの、第12週の幕開けとしては強烈なインパクトを与えてくれる役だ。


 橋本じゅんと言えば、『なつぞら』にてなつ(広瀬すず)が初めて作画監督を務めることとなる「キックジャガー」の制作を持ちかけてくる制作部長・佐藤を好演していた。約30年前放送の朝ドラ『ひらり』で、古関裕而が作曲した「六甲おろし」を大合唱していたというエピソードもあり、今回の『エール』にかける思いは人一倍強い。


●木下一(井上順)


 10年ほど前、神田辺りの古本屋街で喫茶店を営んでいたのが木下。かつて、古本屋の店主だった保にコーヒーの入れ方を教え、店の外に出ること、そして客としてやってくる恵との恋路を後押しするキーパーソンとなる。


 木下は、演じる井上順のイメージそのままのスーツにハット、蝶ネクタイといった紳士的でお洒落なナイスミドル。約50年前、ザ・スパイダース解散後にソロとして活動していた井上が、古関裕而から実際にエールをもらっていたという話には、運命的な巡り合わせを感じさせる。


 ユニークなのは、木下があの佐藤久志の親戚のおじさんという設定だ。山口太幹演じる子ども時代の久志と共に、お揃いの蝶ネクタイで保へとエールを送る。木下の存在あってか、聡明な久志の鋭い観察眼が保の人生を変えることに。


●今村嗣人(金子ノブアキ)


 春夏秋冬で区切られた物語に、フランス語の縦字幕と、まるでフランス映画を観ているかのような錯覚に陥る「環のパリの物語」。オペラ歌手を夢見る環が、フランス・パリのホームパーティーで出会い、恋人になるのが嗣人だ。


 賞を取った天才画家で、今最も期待される男。さらには男前で家は大金持ちと、若き日の環にとっては完璧過ぎる嗣人との運命的な恋愛がスタートしていく。環は歌手としてオペラハウスに立つことを、嗣人は世界を代表する画家をそれぞれ夢見るが、季節が移ろぐ毎に2人の立場は徐々に逆転していくこととなる。


 才能への嫉妬と自分に嘘をつくこと。荒々しい気迫ともの悲しさ、セリフとは相反した心情を映し出す金子の表情が、歪んだ愛の形を示していく。環の過去を描くことで見えてくるのは、音への生き方を示した言葉の力強さだ。


 本線からは一旦外れるが、『エール』に欠かせない登場人物たちのオムニバス、しかも個性的なゲストの登場と、早くも再来週の放送が楽しみだ。(渡辺彰浩)


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