「スパイス・ガールズ」のメンバーとして人気を博した“メル・B”ことメラニー・ブラウンが、このほど英タブロイドのインタビューに応じた。その中でメラニーは、これまで受けてきたあからさまな人種差別やいじめ体験を語っている。
1996年のデビュー以後、世界中に“ガールパワー”旋風を巻き起こした英女性アイドルグループ「スパイス・ガールズ」。同スーパーグループで“スケアリー・スパイス(Scary Spice)”の愛称で人気を博した“メル・B”ことメラニー・ブラウン(45)は、“ポッシュ・スパイス”ことヴィクトリア・ベッカム(46)、“ジンジャー・スパイス”ことジェリ・ホーナー(旧姓ハリウェル、47)、“ベイビー・スパイス”のエマ・バントン(44)、“スポーティ・スパイス”のメラニー・チズム(46)と他のメンバーが全員白人というグループのなかで唯一、褐色の肌の持ち主である。
カリブ出身の父と英国人の母との間にバイレイシャルとして生まれ、人口の85%が白人という英国の街リーズで育ったメラニー・ブラウンは、肌の色を理由にこれまで何度も理不尽な扱いを受けてきたそうだ。メラニーは、先月に米ミネアポリスで起きたジョージ・フロイドさん殺害事件に絡め、自身が体験したあからさまな人種差別について英タブロイド『Daily Star』に数々のエピソードを披露している。
学生時代は“Nワード”(nigger-黒人に対する軽蔑的な呼び方を表す単語)をはじめ数々の差別用語を浴びせながら追いかけてくるクラスメートから逃れるため、いつも走って下校しなければならなかったというメラニー、しかし「スパイス・ガールズ」のメンバーになってからも人種差別は常に身近にあったようだ。ヒット曲『Wannabe』のミュージックビデオ撮影時、メラニーがヘアスタイリストから真っ先に受けたのは「髪を他のメンバーに合わせてストレートにするように」という指示だったそうだ。だがメラニーはこれを断固拒否、
「私の髪質は確かに他のメンバーとは全く違います。でも髪はいわば私のアイデンティティーでした。」
「『スパイス・ガールズ』は、互いの個性や違いを称え合う、そんなグループのはずだったのに。」
と当時の悲しい思い出を告白した。
またある年には、南アフリカ共和国でのチャリティーイベントで着用するための服を買いに行こうと「スパイス・ガールズ」のメンバーらと高級ブランドへ買い物に出かけたが、メラニーは肌の色を理由に店員から店から出るよう告げられてしまったという。このメラニーに対する理不尽な扱いにショックと怒りを覚えたメンバーらは、彼女のために必死で店員に抗議をしてくれたそうだが、
「私自身はそれほどショックを感じませんでした。悲しいことに、肌が褐色だと何かしらの対立があるかもしれないことは、いつもある程度想定内なのです。」
「白人には、黒人や褐色の人の気持ちを理解するのはほぼ不可能でしょうね。」
と胸のうちを吐露している。
しかしある時、メンバーの1人“ジンジャー・スパイス”ことジェリを連れて、地元リーズにある黒人行きつけのバーへ出かけたというメラニー。「周りを見回してみて。何が見える?」と尋ねるメラニーに「ここにいる人達は、自分以外全員が黒人だわ」と答えるジェリ。そんな彼女にメラニーは、
「それこそが私の日常なの。部屋で唯一の褐色の女の子。」
とマイノリティーであることのリアルを説明したという。
他のメンバーとは違う容姿、異なるアイデンティティーに誇りを持ち「スパイス・ガールズ」の一員として活動を続けたメラニー。そんな彼女には当時、同じマイノリティーの若いファンや母親らからファンレターが寄せられたそうだ。ガールズグループの一員に褐色肌のメンバーが登場したことで、自分や娘にも「やっと演じられるキャラクターができた」と感激する母娘の声に、
「私自身にとっても、大変大きな出来事でした。」
と当時を振り返るメラニーであった。
画像は『Scary Spice Mel b 2019年10月15日付Instagram「Boom ok The secret is out.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 c.emma)