戸田恵梨香の出演作はなぜ再放送されるのか? “挑戦”の連続となった『SPEC』から考える

40

2020年06月12日 10:21  リアルサウンド

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

リアルサウンド

写真(c)TBS
(c)TBS

 『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)、『大恋愛〜僕を忘れる君と』(TBS系)、『鍵のかかった部屋』(フジテレビ系)に続き、6月11日から『SPEC一挙放送SP』(TBS系)と題し、『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』(以下、『SPEC』)の再放送が決定。戸田恵梨香の出演作が相次いで放送されている。ある意味“再放送ヒロイン”とも言える戸田にとって、中でも『SPEC』は代表作とも言える作品だ。


参考:ほか詳細はこちらから


 『SPEC』が放送されていたのは、2010年10月期のTBS金曜ドラマ枠で、戸田が22歳のとき。当時は、1999年にカルト的人気を博したドラマ『ケイゾク』(TBS系)の同一世界観であることから、続編としての期待をする視聴者が多かったが、『ケイゾク』からドラマの趣は大幅に変わった。警視庁公安部の未詳事件特別対策係(通称ミショウ)が、特殊能力を持つSPECホルダーと対決していく『SPEC』は、『ケイゾク』とは異なり、サイコサスペンスではなく、SFドラマになっていること。監督の堤幸彦が『ケイゾク』以降『TRICK』(テレビ朝日系)などを経験し、コメディ要素や超常現象などのSF色が色濃くなっていることも原因だろうが、『ケイゾク』は刑事ドラマ的緊張感が魅力だった。一方、『SPEC』は超能力バトルという何でもありの世界なので、楽しみ方が大分違う。ただ共通しているのは、役者同士の独特のかけ合い。『ケイゾク』は、緊迫する事件の中で、柴田(中谷美紀)と真山(渡部篤郎)の会話が場を和ませていたが、『SPEC』もまた、戸田恵梨香と加瀬亮の軽快なやりとりが、ドラマを面白くしている。


 これまで戸田が演じてきた役柄は、『野ブタ。』では、女子バスケ部のキャプテンで学校のマドンナ的存在であったり、『LIAR GAME』(フジテレビ系)では、健気で純粋すぎる「バカ正直のナオ」などヒロインらしい役柄が多かった。ただ、2017年11月7日に放送された古舘伊知郎のトーク番組『トーキングブルース』(フジテレビ系)で、女優人生を振り返った戸田は、20歳の頃から作品を自分で選ばせてもらえるようになるまでは、純粋で、間違ったことに戦っていく少女のような役が多く、本来自分が持っているものとはギャップがあったという。その女優としての苦しみの中で22歳のときに話が舞い込んできたのが『SPEC』。「この作品で戸田恵梨香という女優業を変えられる、自由が手に入るかもしれないっていうのを直感的に感じて、やったことないお芝居を全部詰め込んだんです」と語るほど、戸田にとってターニングポイントとなった作品なのだ。


 そんな『SPEC』で戸田が演じる当麻紗綾は、ミショウの捜査官で、IQ201の天才。左手を三角巾で吊るし、赤いキャリーバッグを持ち歩き、本人も死者を蘇らせることができるSPECの持ち主という、普通ではないキャラクター。鼻をほじったり、大食いだったり、横柄な態度だったり、これまでの戸田のイメージにはないガサツな性格で、戸田が公式サイトのインタビューで、この作品を引き受けたことが「挑戦」と言うように、髪の毛はボサボサで、ほとんどノーメイクで演じ、「無限大に広がるこのキャラクターをどこまで演じられるかが挑戦」と語っている(引用:インタビュー【戸田恵梨香さん】|TBSテレビ:金曜ドラマ「SPEC 〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜」)。また、映画公開時のインタビューでも、当麻は左手が利かない状態の役なので、あえて役づくりのためにむしろ自分から筋トレをやめて撮影に挑むなど、女優として本気の役作りが、IQ201の天才の変人・当麻に見事に反映されている。


 また、堤監督らしいギャグが満載で、シリアスの中にも平気で笑いを入れてくる自由な演出でも、堂々と受け入れて演じきる戸田。一十一(神木隆之介)との過去を思い出す度に、学生時代のメガネでおさげの姿で登場するが、見た目が面白いシーンのときに真面目に演じきり、本当にシリアスなシーンは変顔でごまかし、そしてアクションシーンでの迫力のある演技など、戸田が女優としての引き出しの限界に挑戦しているように感じる。『SPEC』の第1話を観ると、一見キャラが掴めていないように見えるが、戸田も言うように、一つのシーンの中に、様々な表情を持っていて “成立していないこと”が当麻というキャラクターだということが徐々に分かってくる。


 そして何より一番魅力的だと感じるのは、戸田の主演としてのカリスマ的な存在感。これにより、加瀬演じる瀬文の真面目すぎるキャラや、神木演じる一十一の狂気がより映えるのだ。この貫禄は若手俳優にはなかなか出せないもので、『SPEC』は戸田が本当の意味での「主演」女優となった作品だと言える。『SPEC』の反響を受けてか、以降はキャラクターの強い役が多くなっていく戸田だが、しっかりと役を受け止め、どれも作品の世界観と違和感のない自然な演技がハマっている。だからこそ戸田の出演作品は心に響く名作が多く、再放送が多いのかも知れない。


 24歳で最後のシリーズを終えて「私の役者人生の第1章を今、終えたんだなと思ったときがあった」(『トーキングブルース』より)と言うほど、女優・戸田恵梨香を変えた『SPEC』を、この機会に改めて味わいたい。 


このニュースに関するつぶやき

  • SPEC 再放送を見始めているけど やはり面白い。 昭和のやり取りがあるから 共感するのかも。
    • イイネ!0
    • コメント 0件
  • この頃がピークだったな、笑うと歯茎見えると美人に見えんからな
    • イイネ!18
    • コメント 2件

つぶやき一覧へ(23件)

あなたにおすすめ

ニュース設定