四千頭身、3時のヒロイン 続々台頭”新世代トリオ芸人”の新しい可能性

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2020年07月11日 11:30  AERA dot.

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写真男性トリオ人気ナンバーワンの四千頭身(C)朝日新聞社
男性トリオ人気ナンバーワンの四千頭身(C)朝日新聞社
 日本のお笑い界では、ほとんどの芸人はコンビを組んで活動している。コンビの次に多いのはピン芸人だが、ピン芸人の多くはコンビを解散してピン芸人に転身しており、初めから1人で活動している人はあまりいない。

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 そんなピン芸人よりもさらに珍しいのが、3人で1つのグループを作っているトリオ芸人である。そもそもトリオとして活動する人が少ないのは、それだけデメリットが多いからだ。

 トリオだとギャラを三等分することになるため、ピン芸人やコンビ芸人よりもそれぞれの分け前が減ってしまう。交通費などの必要経費が3人分かかってしまうため、営業やロケなどの仕事にも呼ばれづらい。

 また、トリオのネタ作りにはコンビとは違う難しさがある。特に、漫才の場合はそれが深刻だ。てんぷくトリオ、シティボーイズ、東京03など、歴史に名を残すトリオ芸人の大半がコントを持ちネタにしている。コントであれば、それぞれに役柄を割り振ることで比較的ネタが作りやすい。

 だが、漫才はそうはいかない。漫才は会話劇であり、ボケとツッコミの一対一の関係性が基本である。そのため、トリオで漫才を演じるときには、ボケとツッコミ以外の3人目にどういう役割を与えるべきかを考えなくてはいけない。そこに独特の難しさがある。

 だが、最近、「お笑い第7世代」と呼ばれる若手芸人の中でも、トリオ芸人が急速に台頭しつつある。彼らはそれぞれのやり方でトリオ芸の新しい可能性を切り開いている。

 いま最も勢いのあるトリオ芸人と言えば、福田麻貴、ゆめっち、かなでの女性3人から成る「3時のヒロイン」である。彼女たちは昨年末の『女芸人No.1決定戦 THE W』で優勝したことをきっかけに、一気にブレークを果たした。ニホンモニター株式会社が発表した『2020上半期タレント番組出演本数ランキング』では「2020上半期ブレイクタレント」の1位に選ばれた。

 派手な外見で底抜けに明るいゆめっちと、ぽっちゃり体型でダンスが得意なかなでの強力無比なWボケに対して、福田のキレのあるツッコミが炸裂する。漫才もコントもこなせる上に、歌、ダンス、ものまねなどの特技も多い。エンターテイナー気質のマルチな才能を持ったトリオ芸人である。

 一方、男性トリオで現在人気ナンバーワンの芸人と言えば、脱力系漫才で知られる四千頭身だ。彼らは、漫才の枠組みそのものを壊すようなネタを得意としている。1つ1つのネタに新しい発明があって飽きさせない。一般的には「トリオで漫才は難しい」と言われるが、四千頭身はむしろその常識を逆手に取って、トリオだからこそできる実験的な試みを繰り返している。ネタ作りとツッコミを担当する後藤拓実がトリオの頭脳として機能している。

 さらに、昨今にわかに注目を集めているのが、4人組の女性ユニット「ぼる塾」である。彼女たちはもともと「しんぼる」と「猫塾」という別々のコンビで活動していたのだが、2019年に合流して新たに4人組になった。現在、メンバーの1人である酒寄希望が産休に入っているため、その間はトリオとして活動している。

 ぼる塾がトリオとして漫才を演じるときには、きりやはるかがボケ、あんりがツッコミを担当する。そして、そこに割って入るようにして田辺智加が大ボケをかます。田辺は1人だけ年齢が一回り上であることをバカにされたりするが、おだてられると「まあねー」とすぐ調子に乗ってしまう。あんりが巧みなツッコミで2人を操っている。

 トリオ芸という難しい山にわざわざ登ろうとするだけあって、それぞれが全く違ったアプローチでネタを作っているところが興味深い。唯一共通しているのはツッコミの絶対的な安定感である。トリオ芸人は日々進化するお笑い文化の最先端にいる存在なのだ。(お笑い評論家・ラリー遠田)

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