「コロナ騒ぎで医学の無力さ」思い知る 帯津医師「西洋医学の限界」を説く

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2020年07月13日 07:00  AERA dot.

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写真帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中
 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「医学の無力さ」。

*  *  *
【発展途上】ポイント
(1)コロナ騒ぎで医学の無力さを思い知らされた
(2)人間の尊厳を引き裂くような治療法が存在する
(3)西洋医学はまだまだ発展途上にある

 今回のコロナ騒ぎでは、医学の無力さを思い知らされました。確かに医学は患者さんの重症化をくい止め、死者を減らすことに貢献したかもしれません。しかし、それ以前に甚大な経済的損失を社会に与えざるを得なかったことを考えると、ウイルスに対して力が及ばなかったと言わざるを得ません。

 死者を減らすことはできても、社会を守ることはできなかったのです。本来、西洋医学が得意とする感染症の分野でこの有り様ですから、残念な限りです。

 ただ、医学の力はその程度なのだと知ることも大事なのかもしれません。現在の医学の主流である西洋医学は目覚ましい発展をしているように見えて、実はそれほどでもないのです。

 私が提唱するホリスティック医学では、人間を三つの要素でとらえます。体(BODY)、心(MIND)、命(SPIRIT)です。体と心はわかりやすいと思います。命は生命力の根源のようなものです。

『癒す心、治る力』の著者として知られる統合医療の第一人者、アンドルー・ワイル博士は、現在の西洋医学について「体についてはそれなりの成果をあげているが、心についてはリップサービス程度、命に関してはまったくの手つかずだ」と語っています。まさにその通りだと思います。

 体については、確かに医学の進歩とともに多くのことがわかってきました。すべての臓器の機能が明らかにされ、損傷の程度が数値化されることで、治療効果が評価できるようになりました。それによって、客観的で再現性のある治療ができるようになったのです。

 治療薬についても、より合理的に病状に合わせて適量を用いることができます。けれども、その薬剤のほとんどは化学合成品であるだけに、副作用が少なからずあらわれます。

 私が専門とするがんの分野では、抗がん剤の副作用に辟易(へきえき)とします。もとより、抗がん剤はがん細胞とともに正常細胞も攻撃してしまうものですから、副作用が前提なのです。嘔吐(おうと)のために食べる楽しみを奪われる、頭髪が抜ける、肌がかさかさになる、倦怠感(けんたいかん)にさいなまれるなどします。

 私は長年、医療に携わってきて「医療とは、患者さんがたとえ病の中にあろうとも、人間としての尊厳を保ち続けるのをサポートするのが本分。治したり癒やしたりするのは方便にすぎない」と考えるようになりました。しかし西洋医学には、いまだに人間としての尊厳を引き裂くような治療法が存在しているのです。

 外科手術もそうです。最近は安全性が高まりましたが、いくら治療のためとはいえ、全身を切り刻むのはいかがなものでしょうか。私も昔は外科医で、それに全力を傾けていたのですが……。

 抗がん剤にしろ、外科手術にしろ、ずいぶん乱暴な治療法で、いつかは廃れるべきものだと思います。進歩しているように見えて西洋医学はまだまだ発展途上なのです。それを踏まえた上で、適切な治療法を選んでいくことが大切です。

※週刊朝日  2020年7月17日号

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