欅坂46、新曲はセンター不在問題に対するひとつの解答に? 今、「誰がその鐘を鳴らすのか?」を歌う意味

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2020年07月29日 06:01  リアルサウンド

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写真欅坂46『欅共和国2019』(通常盤)
欅坂46『欅共和国2019』(通常盤)

 欅坂46の新曲『誰がその鐘を鳴らすのか?』が8月21日に配信リリースされる。


(関連:欅坂46、改名という決断は“英断”となるかーー新たなグループに向けたメンバーの心情


 同曲は改名前の欅坂46としては最後のシングルとなり、配信限定でのリリースの予定。今年3月よりイオンカード「わたしの道」篇のCMソングとして放送されており、7月16日の配信ライブで初披露、続く18日放送の『音楽の日』(TBS系)で5枚目のシングル「風に吹かれても」とともにテレビ初パフォーマンスされた。作曲は辻村有記と伊藤賢の共作。


 8枚目のシングル『黒い羊』(2019年2月発売)以降、長らく目立ったリリースの動きがなかった同グループにとって、久しぶりの新曲でもあるため期待の大きかった今作。名曲「あの鐘を鳴らすのはあなた」のタイトルを連想させるこの曲の解釈について、そしてこの曲を彼女たちが歌う意味について考えてみたい。


●これまでとは真逆のメッセージ
 事前にCMが何度も放映されていたため、サビの部分が記憶に残っていた人も多いだろう。したがって、イントロや序盤の方であったり、どのような振り付けがされているのかに注目が集まっていた。まさにそのイントロが非常に印象的なのである。曲の導入は、以下の言葉を一人のメンバーが静かに語り、徐々に隊列を広げながら、雪崩れ込むようにしてスタートする。


〈耳を澄ますと聴こえて来る
色々な声や物音
人は誰もその喧騒に
大事なものを聴き逃している
ねえ ちょっと静かに…
ほんの少しでいいから
自分の話じゃなく 他人の話 聴いてみて欲しい
冷静になろうって
合図をくれればいいのに…〉


 欅坂46といえば、多くの人が思い浮かべるのが「サイレントマジョリティー」や「不協和音」「ガラスを割れ!」といった楽曲。どれにも共通するのは、聴き手の積極性や行動を促すような力強いメッセージである。


 しかし、今曲で歌われているのは〈冷静になろう〉〈みんなで黙ってみよう〉〈際限のない自己主張はただのノイズでしかない〉などといった、ある意味これまでとは真逆とも言えるメッセージだ。この曲の歌詞についてキャプテンの菅井友香は、ラジオで次のように話している。


「今までとはまた違うというか。(中略)今までは”僕”の主張だったりとか、思いが真っ直ぐ来る曲が多かったんですけど、この曲はもっと逆に、みんなの話を聞こうとか、平等なんだよとか、君の味方がいるんだとか、そういう気持ちが入ってて」(7月20日放送の文化放送『レコメン!』より)


 このように本人たちもこれまでの楽曲との違いを感じているようだ。この印象的な導入部の後、フォーメーションは目まぐるしく変化し、激しい動きもありつつ、途中で静まるような場面も挟み、彼女たちらしく一曲の中に静と動の同居した、抑揚のあるパフォーマンスが展開されていく。


●センターのいない曲
 また、同番組で「この曲はセンターがいなくて。みんなで支え合いながら見せ場があって、新2期生とかも出てきたりするところがあったりして」と明かされていたように、本曲には明確なセンターポジションがない。センターのいない/入れ替わる曲は、過去に「太陽は見上げる人を選ばない」や「東京タワーはどこから見える?」といったものがすでにあったが、表題曲としては初めて。


 いわゆるセンターはいないものの、ほぼ中心的な役割を担っているのが小林由依。その小林を、近くで支えるのが渡邉理佐(小林の肩にやさしく触れるシーンが象徴的だ)。2人を常に見守るような菅井と守屋茜。指を差し合う振りなど多くの場面で異様な存在感を放つのが、後ろで控える2期生の山天。さらにダンススキルの期待されている新加入の遠藤光莉も目立つ場面がある。このように、メンバーたちが現在のグループ内における役目や立場を暗喩するようにして入れ替わり立ち代わり登場していくのが面白い。


 誰かが中心に立ちながらも、それを支える存在がいて、多くのメンバーに見せ場が設けられている。こうした曲の作りに彼女たちも心から共感して取り組めるはずだ。ここ最近の欅坂46の話題の中心は、平手友梨奈が脱退した後のセンターに誰が立つのかであった。その問題に対して、この曲はひとつの解答を示していると言えるのではないだろうか。全員が輝けるグループ作りへの糸口となるような一曲。それを改名前の直前にリリースすることに意義があるのだろう。


 加えて、少し話を広げれば、皆が好き勝手言い合っているような今のネット社会。誰も他人の声に耳を傾けることなく、自分の言いたいことを声高に叫んでいる……この曲はそんな世の中に対する、ある種のアンチテーゼとしても解釈できるかもしれない。(荻原 梓)


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  • "あの鐘"なら鳴らすのはあなたなんだろうが、"その鐘"を鳴らすのは誰だろうか。
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