第2戦の予選で躍動したふたりのルーキー。平峰「今はただ、みんなと戦いたい」阪口「自分の守備範囲にマシンがいた」

0

2020年08月08日 22:11  AUTOSPORT web

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AUTOSPORT web

コバライネンの代役として第2戦でGT500デビューを果たす阪口晴南
今年のスーパーGT GT500クラスはルーキーが豊富だ。そのなかでも今回の予選で特に光ったのが、『GT500の初決勝レースを経験する』ふたりのドライバーである。

 ひとりめは今シーズン、GT500へステップアップを果たし、闘将・星野一義監督の期待も高い平峰一貴だ。7月の第3週に行われた開幕戦では決勝レースのオープニングラップで、他車と接触してクラッシュ。カルソニック IMPUL GT-Rはリヤ周りを大破してしまい、1周もしないままレースが終わってしまった。

 このときステアリングを握っていたのはチームメイトの佐々木大樹であり、平峰は決勝でライバルたちと直接対決をすることなく、開幕戦富士を後にしている。

「前回(開幕戦)はマシン自体にトラブルがあり、公式練習からあまり周回を重ねることができませんでした。セッティングを詰めることもできず、予選Q1を任せてもらいましたが、今まで履いたことのないタイヤでのぶっつけ本番。その結果、予選の順位が沈んでしまいました。開幕戦が終わったあとは、いろんな人に『GT500デビューするドライバーのなかでレース走ってないのオマエだけやん』って言われましたね(苦笑)。だからできれば今回、ちゃんとデビューしたいです」

 チームも平峰を走らせてあげられなかったことは悔しかったはずだ。この3週間のインターバルでチームはセットアップを見直したマシンを用意。午前中に行われた公式練習ではあえて平峰をメインにし、「チームの底上げをする機会」を与えた。そこには佐々木のアドバイスとチームの支えももちろんあったが、マシンのセットアップを順調に詰めていけたカルソニック IMPUL GT-Rは、高速コーナーが良くなり、セクター3ではMOTUL AUTECH GT-Rよりも速いタイムを刻めるマシンへと進化した。

 そして、平峰の「早くデビューしたい」という気持ちは結果として現れる。予選Q1担当した平峰は3番手でバトンをつなぐ。Q2でも佐々木が奮起し、ニッサンGT-R勢のエースカーでもあるMOTUL AUTECH GT-Rを抑えて4番グリッドを獲得した。

「とりあえずホッとしています。Q1を突破できたことが本当によかったです。(トヨタGR)スープラ勢とホンダ(NSX-GT)勢が僕らに比べてウエイトを積んでいようと、僕らがQ1を突破できる力があるかは正直、分からなかった。チームと大樹には感謝です。今はただ、みんなと戦いたい。それに尽きますね」

 明日の決勝レースで、カルソニックIMPUL GT-Rは開幕戦と異なり、上位を争えるチャンスを手にし、マシンは確実にパフォーマンスが上がっている。平峰がレースで躍動する姿にも注目したい。

■急きょ代役出場の阪口晴南の一番のサプライズは「GT500に起用してくれたこと」

 ふたりめは開幕戦に引き続き、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で来日できないヘイキ・コバライネンに代わって、急遽DENSO KOBELCO SARD GRスープラをドライブすることになった阪口晴南だ。

 阪口はQ2を担当したが、熾烈なGT500の予選でいきなり3番手グリッドを獲得した。ほぼ練習なしで挑んだ初めてのGT500の予選、当然いろいろなプレッシャーを感じていたはずだが、阪口は「ガチガチになるほどではなかった」という。

「プレッシャーは今までもいろんな場面で感じてきました。今回はそれがGT500だったということだけです。プレッシャーはドライビングに影響しないですし、逆にモチベーションが上がってプラスに働きましたね。GT500は初めてでしたが、速く走らせる方法はイメージがついていた。僕が今持っているドライビングの守備範囲にGT500のマシンはいてくれました」

「それよりも今回、一番のサプライズは(ヘイキ・コバライネン選手の)代役に起用してもらったことです。今季はK-tunes RC F GT3で一年間通して戦うと思っていたので、本当に驚きました」

 阪口は2018年までホンダのサポートのもと、FIA-F4や全日本F3に参戦してきた。しかし、2019年からそのサポートはなくなってしまう。それでもK-tunes RacingでスーパーGT GT300クラスに参戦する機会を手にした阪口は、参戦一年目にしてタイトル争いをし、レースの強さを見せた。

 今回の起用はもちろん阪口の活躍を受け、さらに成長を期待してのことだろう。第1段階の予選はGRスープラ陣営内でトップと十分すぎる結果だったと言える。ただ、明日の決勝はまた新たな未知の世界だ。今までGT500に抜かれる立場だった自分が、GT300を交わしつつ、なおかつ上位争いをしないといけない。「しびれる展開ですね」と笑いながらも、強い意気込みを口にした。

「このチームに1勝ももたらしたい。表彰台を目指して、今までやってきたことを活かして自分のペースで走りたいです」

 果たして阪口は今回の巡ってきたチャンスをどのように活かすことができるのか。振り返れば、今の阪口は7月25日以降、インタープロトの第3戦、第4戦で連勝。フォーミュラ・リージョナル・ジャパンの開幕3戦をすべて勝ち、最後はGTAとグランツーリスモSPORTがともに開催したバーチャルレース『SGT × GTS Special Race』Rd.2も制し、2週間の間に6勝を飾っている。この連勝数がさらに更新される可能性も見えてきそうな予選のパフォーマンスだった。

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定