【F1第9戦無線レビュー(2)】待望の初表彰台を獲得したアルボン「僕を使い続けてくれて、ありがとう」

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2020年09月18日 12:51  AUTOSPORT web

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2020年F1第9戦トスカーナGP アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
赤旗が出たため、8周終了後に一時中断となったF1第9戦トスカーナGPは、9周目にセーフティカーに先導された後、13台のマシンによってスタンディングスタートが切られた。3番手からスタートしたシャルル・ルクレール(フェラーリ)だったが、その後、ズルズルと後退していく。

フェラーリ(ルクレールへ):プランAまで、あと8周だ。

ルノー(リカルドへ):ルクレールをやっつけようぜ。

ルクレール:タイヤがダメだ。マイナス2だ。

フェラーリ:じゃ、プランCにしようと思うが、どう思う?

ルクレール:失うものはないから、早く決断して。

 ルクレールは次の周にピットインし、ハードタイヤに交換。最後尾まで落ちる。そのころ、優勝を争う2台も激しい駆け引きが繰り広げられていた。最初のスタートで先頭に立っていたバルテリ・ボッタス(メルセデス)は、2度目のスタンディングスタートで今度はルイス・ハミルトン(メルセデス)に先行を許し、2番手へ後退。25周目と27周目にチームメイト同士の2人からこんな無線が。

ボッタス:次のタイヤはルイスと違うコンパウンドにしたい

ハミルトン:まだタイヤはだいじようぶ

 しかし、チームは31周目にボッタスを、そして32周目にハミルトンをピットインさせ、2人ともハードタイヤに履き替えさせ、チームとしてタイヤ戦略をコントロールした。さらに第1スティントで使用したボッタスのタイヤを調査した結果をボッタスに伝え、ハミルトンにも注意を払うよう警告する。

メルセデス:右フロントがゼロで、左フロントが20だった。

ボッタス:じゃ、もう1回セーフティカーが出てほしいな。

メルセデス:ルイス、これは2台に対しての指示だ。縁石をできるだけ使わないように。

ハミルトン:どこの縁石。

メルセデス:すべての縁石だ。できるだけ乗らないでくれ。

 指示に従ったものの、それだとペースが大きく落ちたためハミルトンが無線で不満を訴えるが、チームは指示を変えなかった。

ハミルトン:縁石避けたら、めちゃくちゃ遅いよ。

メルセデス:いいから、2台とも指示を守るんだ。これはバルテリの第1スティントのタイヤの状況を見て、言っている。バルテリはそれで最初のセットのタイヤがダメになっているんだ。

 その後、43周目に4番手を走行していたランス・ストロール(レーシングポイント)が高速コーナーのアラビアータでクラッシュする。

レーシングポイント:何があった?

ストロール:パンクだ。

 ここで12番手を走行していたキミ・ライコネン(アルファロメオ)が緊急ピットイン。

ライコネン:ピットに入ったぞ。

アルファロメオ:OK、準備できている。プラス3で行く。

ライコネン:わかった。

アルファロメオ:いい判断だ。

 しかし、レースは直後に赤旗が出て、再び中断する。

メルセデス:赤旗だ。

ハミルトン:バカな。またかよ。

フェラーリ:赤旗だ。

ルクレール:もうマシンは撤去されているよ。でも、僕たちにとってはいいか……。

フェラーリ:そうだな。自分たちのレースに集中しよう。

ベッテル:あと何レース残っている?

ベッテル:ごめん、あと何周だ(笑)

フェラーリ:14周だ。


■ライコネンが白線カットで痛恨のペナルティ
 2度目の赤旗で中断となったレースは、46周目にセーフティカー先導でフォーメーションラップが始まり、直後のこの日、3度目のスタートが切られた。このスタートで8番手までジャンプアップしていたライコネンだが、赤旗前のピットインの際、セーフティカーラインを越えてからピットロードに入っていたため、レース再開後にスチュワード(審議委員)からペナルティを受ける。

アルファロメオ:5秒タイムペナルティを科せられたから、これはレース後に消化する。

ライコネン:なんで?

アルファロメオ:スチュワード(審議委員)がわれわれに5秒のタイムペナルティを科したから、それはレースに消化しようと……。

ライコネン:だから、なんでなんだよ!!

アルファロメオ:ピットエントリーの白線カットだ。

ライコネン:……。

 3番手から再スタートを切るダニエル・リカルド(ルノー)。2016年に誕生した新生ルノーにとっても、リカルドにとっても、2019年にルノーに移籍後、初表彰台がかかっていた。

リカルド:もうこのレースを終わらせようぜ。

 しかし、そのリカルドとルノーの希望を打ち砕いたのは、自身もまたF1初表彰台がかけて、4番手から再スタートを切っていたアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)だった。

レッドブル・ホンダ:リカルドに集中して行こう。

 そして、ふたりの戦いは51周目の1コーナーで、アルボンがリカルドをアウトから豪快にオーバーテイクして決した。3位でチェッカーフラッグを受けたアルボンに、チーム代表のクリスチャン・ホーナーが直々に無線で祝福する。

ホーナー:よくやった、アレックス。今日の君のレースはとても素晴らしかった。今日の君は強かったよ。素晴らしいオーバーテイクが何度もあった。表彰台に値する走りだった。

アルボン:みんな、ありがとう。

アルボン:そして、僕を使い続けてくれて、ありがとう(笑)。本当にありがとう。

サイモン・レニー(アルボン担当レースエンジニア):いい仕事をしたな。あれはとんでもないオーバーテイクだよ。最高だった。だぶん、これから君はみんなから「ミスター・アウトサイド」と呼ばれるんじゃない?

アルボン:(アウトサイドからのオーバーテイクは)今シーズン、結構やっているからね(笑)

 スタート直後に接触してウイングにダメージを負ったベッテルだったが、フェラーリ1000回目のレースはなんとか10位に入賞し、チームに1ポイントを持ち帰った。

ベッテル:今日はスタートからフィニッシュまで本当に頑張ったよ。終盤はリヤがどんどんナーバスになっていったからね。

フェラーリ:よく頑張った。

ベッテル:もう一回、再スタートがあったりしてね。

フェラーリ:ハハハハ、かもな。

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