1200万円の女たち。MIGMA SHELTER、コロナとかく戦えり

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2020年09月20日 07:02  日刊SPA!

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 MIGMA SHELTERは2017年に結成されたアイドルグループ。「頭ぶっ壊れるまで踊れ!」をキャッチコピーに持つ彼女たちは、ドラッギーでサイケデリックなトランスミュージックを武器にライブアイドルシーンで大きな存在感を示している。そして2019年11月には、今春リリース予定だったニューアルバム『ALICE』の制作に向けたクラウドファンディングを組成。300万円の目標金額を設定していたところ、今年1月の〆切までにその4倍強となる1203万3000円の支援を集め、大きな話題を呼んだ。

 ところがその直後、世界は新型コロナの脅威に晒されることに。MIGMA SHELTERはアルバムリリースは今夏まで延期され、そのリリースツアーは軒並み中止を余儀なくされた。まさにファンの期待を一身に背負った刹那、活動の縮小を強いられた彼女たちは、今なにを思うのか? 『不思議の国のアリス』の世界をモチーフにしたという力作コンセプトアルバムの聴きどころとは? 現在活動休止中のナーナナラを除く、ミミミユ、ブラジル、ユブネ、タマネ、レーレの5人に聞いた。

◆ブラジル、タマネ&レーレインタビュー あまりある期待に応えたかった矢先のコロナ禍

――今年1月、ニューアルバム『ALICE』の制作に向けて組成されたクラウドファンディングに1200万円もの支援が集まったときってどういうお気持ちでした?

レーレ:「みなさんがこんなにMIGMA SHELTERに期待してくれているんだ」というのが数字として目に見えてわかったので、「いいアルバムにしなきゃ」「MIGMA SHELTER自体ももっと上にいかなきゃ」という、いい意味でのプレッシャーを感じていました。

ブラジル:確かに「売れた! うれしい」みたいなうれしさじゃなくて「こんなに愛されていたんだ」といううれしさと、みんなの期待を裏切りたくないというプレッシャーはありました。

タマネ:私は、ブちゃん(ブラジル)とレちゃん(レーレ)と同じように「これだけ応援してもらえているんだから、がんばらなきゃ」という気持ちにはなったんですけど、それ以上に金額がすごすぎて、なんだかよくわからなくなったというか……。気持ちが現実に追いついてなかったです(笑)。

――ところがそれからほどなく新型コロナの騒動があって、ツアーを全公演中止するなど、グループの活動を縮小せざるを得なくなってしまいました。特に大学受験の準備のために2月まで活動を休止していたタマネさんは出鼻をくじかれたかっこうになってしまった。

タマネ:ようやく復帰できたタイミングだったのに、春のライブの予定がどんどんなくなっちゃったから「どうしよう?」「えっ?????」みたいな気持ちで。クラウドファンディングのときと同じようにやっぱり気持ちが追いつかなかったです。

レーレ: タちゃん(タマネ)が復活したこともあってMIGMA SHELTER自体、すごくいい波に乗っている感じがしていたし、特にツアーって半年とか1年前からいろんなスタッフさんががんばってくれるからできることだから、それがパーになっちゃったのは悔しかったです。

 それに3月21日のツアー初日の大阪・味園ユニバースでのレイブ(MIGMA SHELTERは自身のライブを「レイブ」と称する)が無観客配信になっちゃったときもまだ「4月以降はがんばろうね」「今度はお客さんを呼んで大阪でレイブしよう」って話していたから、4月に入って世間が本格的に自粛ムードになっちゃったのは本当にショックでした。こんなの初めてのことだったから。

――まさか「感染症が流行っているからあんまり外に出ないでください」なんて言われることになるとは思ってなかったですよね。

ブラジル:ただ「結果的に」ではあるんですけど、よかったなって思えることもあって。たとえば味園ユニバースの配信レイブも実際に会場に入れるお客さんの数の10倍くらいの人が観てくれたんですよ。

レーレ:確かに3月の配信レイブを通じてMIGMA SHELTERを知らなかった人たちにも触れてもらえたのは、自粛期間の数少ないうれしいできごとだったかも。

◆「あの授業は出れば単位をくれたはずなのに」(ブラジル)

――一方、プライベートでの心配はなかった?

タマネ:特に私と同じ新入生……あと新社会人の人もそうだった思うんですけど、せっかくの「新生活が始まるよ」という時期だったのに、とにかくなにも始まらなくて。私生活でも「あれっ? なにもない」っていう不安に襲われていました。

――今、大学の講義ってどうやっているんですか?

タマネ:オンデマンドですね。ネットに上がっている先生の講義の映像を観て、レポートや課題を送ってます。

――ブラジルさんも大学生ですよね?

ブラジル:私はZoomでのリアルタイムのオンライン講義とオンデマンドの講義を半々で受けてます。ただ、授業がオンラインになったら逆にヒマじゃなくなっちゃって。大学に通えていたときなら、数学の授業は出れば単位をくれていたはずなのに……。

――出席さえしていれば楽勝だからって選択した授業なのに、その出席確認のためにレポートなんかを提出しなきゃいけなくなった?

ブラジル:だから忙しいんです……。

――レーレさんはこの自粛期間、なにをしてました?

レーレ:なにをしてたんですかね?

――知りませんよ!(笑)

レーレ: MIGMA SHELTERくらいしかやることのない毎日を送っているから、もともとプライベートらしいプライベートはあまりなくて。自粛期間中もツイキャスとかでの配信をいっぱいやっていただけですし。

 あとはオンライン特典会で買ってもらったチェキにサインを入れたり、なんかそういう通販の準備みたいな作業をひらすらやっていた気がします。……あっ、でも時間ができたから、ちょっとネイルをがんばってみました。

――でもそれも「かわいくい続ける」という、ある種アイドルの務めですよね。だからみなさんがやっていたことは、基本的にお勉強かMIGMA SHELTERとしての活動か。マジメだなあ、という印象があります。

タマネ:いや、みんなは違うと思うんですけど、私は、レちゃんが言っていたチェキにサインを書いたり、クラウドファンディングのリターン用の動画を撮ったりっていうことが、なぜかとにかくできなくて……。「まだチェキの宿題が残ってるのに」という罪悪感と義務感が常にあったから「時間があるからゲームだ!」って気持ちになれなかったんです(笑)。

――そして7月9日に、3月の味園ユニバース公演以降、約4カ月ぶりとなる無観客配信レイブ「RAVE AGAINST 01」が東京・LIQUIDROOMで行われました。

一同:はい。

――その公演はたくさんの視聴者を集めたし、ステージでのみなさんの姿をダイナミックに切り取った映像とPAは大きな話題を呼びました。

レーレ:でもそれはLIQUIDROOMさんやカメラマンさんや音響さんや照明さんが素晴らしいから評価していただいていることであって、ウチらのパフォーマンスで盛り上げたわけではないんですよね。

 私たち自身はひさしぶりのレイブを楽しめたし、ナちゃん(ナーナナラ)の活動休止前最後のレイブだったから、彼女に「ゆっくり休んでね」って言えてよかったなとも思っているんですけど、課題もたくさん見つかりました。

ブラジル:あと『ALICE』の収録曲を何曲か初披露したことを喜んでもらえたというか。やっぱり私たちの実力をホメていただいたわけではないな、と思ってます。

◆「配信レイブが私たちの取り組み方を変えてくれた」(タマネ)

――もともとステージ映えするグループという印象があるし、7月のLIQUIDROOMもカッコよかった気がするんですけど……。

ブラジル:でもアーカイブの映像を観てみたらまだまだすぎて……。

レーレ:ダンスの揃え方がイマイチだったり、声をムリヤリ張っちゃったりしてたんです。お客さんの入ったレイブなら、それも「ノリ」とか「勢い」って言えちゃうのかもしれないんですけど、画面越しに観ちゃうと雑に映っちゃって。ただ、課題が見つかったということは成長できるチャンスだとも思うので、そういう“うれしみ”はありました。

タマネ:実際レイブそのものやレッスンの取り組み方もちょっと変わりましたし。私たちはこれまで3回、同じ映像チーム、音響チームの方々と配信レイヴをさせていただいているのですが、「配信ではこう見えるから、こうしよう」みたいな話し合いをよくするようになったし、実際配信レイブの見せ方も最近は7月9日のときよりはいい感じになってきていて。メンバーの気持ちの入れ方が変わってきている感じもしています。

ブラジル:うん。私はカメラがすごく苦手で、特に3月の味園ユニバースのときはカメラを完全に無視して踊ってたんですけど、最近は「カメラの向こうにはお客さんがいるんだ」って意識できるようになったし、けっこうカメラ目線も送れるようになりました。

レーレ:私も自分の表情の変化にビックリしてます。もともと踊ったり歌ったりするのに真剣になりすぎて無表情になりがちなのが悩みで。それでも今までのレイブなら「雰囲気がある」って思ってもらえていた。「キリッとしているね」なんて言ってもらえたりしたんですけど、無表情で歌って踊ってる人の映像って本当につまらなそうなんですよ。

――ドラマや映画はもちろん、バラエティ番組やワイドショーですら、出演者って普通の人に比べると明らかにオーバーリアクションですもんね。

レーレ:ちょっと大げさにしないと伝わらないんですよね。それで表情ってめっちゃ大切なんだなということをあらためて意識できて。しかも配信レイブを重ねるごとに自然と感情を表情に出せるようになっているのが自分でも驚きだし、うれしいし、楽しいんですよね。

――先ほどブラジルさんがおっしゃっていたとおり、特に7月9日の配信レイブ以降、みなさんは『ALICE』の収録曲をどんどん解禁していて、そのレイブや7月末の先行配信された音源で新譜を聴いたいろんな人たちが、これまたかなりザワっとしてましたよね。

ブラジル:確かにエゴサしてても私をフォローしていない人が反応してくれていたり、海外の方が反応してくれたりしている気はします。そういう人が『ALICE』をきっかけにオンライン特典会でチェキを買ってくれたり、今までのシングル以上に大きな反応がありました。

レーレ:関係者の人……照明さんやPAさんやカメラマンさんが、曲が解禁されるたびに「めちゃめちゃカッコいい」「ほかの曲はどんな感じ?」って言ってくださったりもしましたし。ほかにも全然アイドルのことは知らなそうな方、たとえばDJさんなんかの「こんな子たちがいたんだ」の声も見つけたし、今までにないザワザワ感は感じています。

◆「アリスのおかげで私たちの世界が拡がった」(レーレ)
――その『ALICE』はルイス・キャロル『不思議の国のアリス』を下敷きにしたコンセプト盤です。グループのディレクターの田中(紘治)さんや、サウンドプロデューサーのタニヤマ(ヒロアキ)さんからコンセプトを聞かされたときの感想は?

タマネ:「MIGMA SHELTERとアリス?」「どういうこと?」ってビックリしました。

ブラジル:私も『不思議の国のアリス』をまったく知らなかった……ただのかわいい物語だと思っていたから、サイケデリックトランスをやっている私たちとくっつくイメージが全然なくて。「あっ、MIGMA SHELTERはもうサイケデリックトランスをやめるのか」と思ってました(笑)。

――ところがかわいらしくもグロテスクで、日常と非日常のあわいみたいなアリスの物語と、「頭ぶっ壊れるまで踊れ!」をキャッチコピーに持つみなさんの相性はというと……。

タマネ:原作小説を読んだり、ディズニー版のアリスの映画(『ふしぎの国のアリス』)を観たり、デモを聴いたりしているうちに「すごい! ぴったりハマってる!」ってなりました。

レーレ:私もアリス映画をいくつか観て「これは絶対にいい感じになる」っていうワクワク感が大きくなりました。

――ブラジルさんはいつごろMIGMA SHELTERとアリスの印象のズレを解消できました?

ブラジル:私も日本語版と原書版のアリスも読んで「なるほど」と思うようにはなったんですけど、アルバムの新曲として最初に送られてきたデモが「It doesn’t matter」だったので、今度は「これ、トランス?」となり……。

――硬質な打ち込みベースではあるものの、アコースティックギターとストリングスを聴かせるメロウな1曲ですもんね。

ブラジル:なので「やっぱりトランスをやめるのか」と思ってたんですけど、2曲目にデモが送られてきたのが「Rabiddo」だったので安心しました。

――キックは四つ打ちだし、ベースはワブルしまくるし、上モノのシンセはキラキラしているし、けっこう正統派のトランストラックだったから(笑)。

レーレ:その「It doesn’t matter」と「Rabiddo」の2曲が最初に届いたことも、めちゃめちゃよかったと思って。これまでもシングルを出すたびに毎回「トランスってこんなに自由なのか」「MIGMA SHELTERの幅がまた拡がったぞ」と思っていたんですけど、その2曲を聴いたとき、さらに自分たちの幅が拡がった感じがしたので。

 実際そのあとに届いたデモ曲には明るさしかないみたいな曲もあれば、暗い雰囲気の曲もあるし、ゴリゴリのギターがカッコいいハードな曲もあれば、ジャズっぽい曲もありましたし。今回のアルバムで、今まで以上にMIGMA SHELTERの世界が拡がった気がします。

――確かに今作には渋いウッドベースとピアノで始まる「Drops」もあれば、ダンストラックに突然ハードロックギターが乗っかる「Road」みたいな曲もあるし……。

タマネ:遊園地のパレードみたいなかわいい音がいっぱい使われている「Egg Head」もあるから、デモが届くたびに「なんかまたまったく違う感じの曲がきた!」って驚いて。でも10曲揃ったら、ちゃんとアリスっぽいし、ちゃんとMIGMA SHELTERっぽかったから、またビックリしました。

レーレ:きっと、そういうアルバムを作れたのは『不思議の国のアリス』をモチーフにしたからで。今までのMIGMA SHELTERだったら、突然ニワトリが鳴きだす「Egg Head」や、トランペットのソロがある「Y」みたいな曲は歌えなかった気がしますし。

――でも、ブラスをフィーチャーするのは今回が初めてではない。去年リリースのシングル曲「TOKYO SQUARE」も後半、派手にラッパが鳴っていましたよね。

レーレ:そんな私たちのやってきた音楽の幅をさらに拡げてくれたのが『不思議の国のアリス』なんじゃないかな、と思っています。「アリスの世界なんだからここまでやってもOK」っていう感じで(笑)。

――で、『ALICE』リリースをきっかけに、今後さらにみなさんに注目が集まる気はするんですけど、いまだに自粛ムードは解消されていません。そういう状況にあるこの秋以降ってなにをしましょう?

レーレ:だんだん配信レイブのクオリティが上がってきていることだし、もっとがんばるべきだな、と思っています。最近はお客さんを入れた対バンライブもちょこちょこ増えているので、配信を通じてMIGMA SHELTERを知ってもらって、現場に来てもらえたらうれしいですし。

タマネ:いずれはやっぱりツアーを復活させたい、お客さんの前でライブをやりたいっていう気持ちがめちゃめちゃあるので、ネットを通じて私たちに期待してもらえるようになりたいし、みなさんのそのワクワクにちゃんと応えられるようになっておきたいですね。

ブラジル:それにオンラインだからこそ反応してくれる方もいらっしゃるので、配信レイブはもちろんだし、ネットでの宣伝のしかたも工夫したくて。あとはボイトレを再開したいです。今、密かにダンススタジオに通っているので、次はボイトレかな? って。

タマネ:エラい!

ブラジル:なんかホメられたので、がんばります(笑)。

◆ミミミユ&ユブネインタビュー 年中無休のアイドルと、バーを開いた人

――去年の秋から今年の頭にかけて実施していた、ニューアルバム『ALICE』の制作に向けたクラウドファンディングには1200万円もの支援がありました。

ミミミユ:あれはビックリしました。特にメンバーがそれぞれ私物をリターンするプランはすごい値段だったから、「あれに支援する人いるのかな?」って思っていたんですけど……。

――全メンバー分とも秒で売り切れました。

ミミミユ:想定外だったし、うれしかったです。

ユブネ:もともと設定していた目標金額(300万円)だって「到達するのかなあ?」「大丈夫かな?」という感じだったから、想像以上にたくさんの方が支援してくださったのを見て「もっとがんばろう!」って思えましたし。

 私はちょうど300万円を超えたあたりの日にソロのトークイベント(2019年11月25日の「ユブネのYour Girly!! vol.2」)をやっていたから、目標達成の喜びをファンのみなさんと共有できたのもうれしかったです。

――そういうファンの期待がプレッシャーになることは?

ミミミユ:クラウドファンディングの最中に、すでに『ALICE』のデモがどんどん届いていたし、どれも最高だったから、あんまり不安はなかったです。

ユブネ:おカネというわかりやすい形で手渡されたからみなさんの期待の重さをずっしり感じたんですけど、それはすごくうれしいことでもありましたし。音楽活動を続けていく上でおカネはやっぱり大切で。あればそれだけできることが増えるし、いろいろなものをみんなに届けられるから、クラウドファンディングをやった結果、可能性が広がったな、楽しみだな、と思っていました。

――ところが、クラウドファンディング〆切直後、新型コロナによってその「可能性」を制限されてしまいました。

ミミミユ:もともとレイブがなければ生きていけないという暮らしを送っていたので、すごく悲しかったです。

ユブネ:しかも自粛期間が始まったばっかりのころはこんなに長いあいだなにもできなくなるとは思ってなくて。わりとすぐに終息するのかな? と思っていたし、私も去年の3月にメンバーになってからは、生活の全部のことを「MIGMA SHELTERのメンバーであること」「ユブネであること」を前提に考えるようになっていたので、自粛期間は「あれっ? 私ってなんなんだろう」ってなっちゃいました。

――グループ名やステージネームを引っぺがされた、本名のおふたりは自粛期間、なにをなさってました?

ミミミユ:あっ、みー(ミミミユ)はMIGMA SHELTERに入ってから本名の自分としているつもりはほとんどなくて。全人格ミミミユのつもりで生活しているので、「ミミミユじゃなくなっちゃう」「MIGMA SHELTERのメンバーじゃなくなっちゃう」という不安はなかったです。

――じゃあ自粛期間の「ミミミユ」さんはなにをなさっていました?

ミミミユ:あんなにあったレイヴが全然なくなっちゃったので、次レイヴするときに体が鈍ってないように筋トレなど体動かすことをいつもよりいっぱいやってました。

ユブネ:私もずっと踊ってたし、ずっとおうちでMIGMA SHELTERの曲を流してた気がする。自粛期間ではあったけど、アルバムのデモは続々と届いていたので、それを聴いていたし、その中でもすでに振りが付いている曲についてはデモに乗って踊ったりもして。とにかくMIGMA SHELTERを身近に感じたかったので。

――本名のユブネさんはなにをしていました?

ユブネ:自炊する機会が増えたから、めっちゃすごいものを作ったわけではないんだけど、ちょっとお料理をがんばってみたり、お酒が好きだからおうちにバーみたいな空間を作ってみたりしてました。ネットでお酒を買いつつ、一緒にバースプーンとかバーメジャーも手に入れて、いつでも好きなお酒を楽しめるようにしています。

ミミミユ:知らなかった! いいなあ……。呼んでほしい。

ユブネ:遊びに来てよ。メニューもちゃんとあるから。

ミミミユ:ガチじゃん! っていうかメニュー、いる?

ユブネ:時間があったからつい作っちゃった(笑)。

◆「みんないい子だから、ちゃんと話し合いができるんです」(ミミミユ)

――確かにステージだけに注目しても、3月の大阪・味園ユニバースでの無観客配信レイブから、7月の東京・LIQUIDROOMでの配信レイブまで、ずいぶん時間が空きましたよね。

ユブネ:だからバーが充実することになり……。今度はシェイカーを買う予定ですから(笑)。

――あと、ブラジルさん、レーレさん、タマネさんにも聞いたんですけど、配信レイブって普段のレイブとはけっこう勝手が違ったみたいですね。

ミミミユ:すごいカッコいいカメラワークで撮ってもらったし、音もすごくカッコよかったから、本番のあとアーカイブを観てビックリしたんですけど、(パフォーマンスが)カッコよかったかっていうと……。

ユブネ:うん。7月のレイブはひさしぶりにステージに立てたうれしさや、新曲を歌えた達成感はあったんですけど、生じゃなくて映像だからこその魅せ方や伝え方っていうものがあることにも気付かされました。

 レッスンで準備していたことがちゃんとできている部分もあったし、逆に「ダンスはいつも以上に揃えないとカッコ悪い」みたいなレッスンではわからなかった、配信ならではのことを知らされたりもしましたし。

ミミミユ:で、個人個人気付いたことがあったら、みんなでそれを確認し合って次のレッスンまでには直せるようにしています。

――そうやってメンバー間でこまめにディスカッションをするようになったのは配信レイブが始まってから?

ミミミユ: いや、MIGMA SHELTERがデビューしたとき(2017年)からそういう感じだったし、ユブネたちが入って今の体制になってから(2019年)は、それをさらにちゃんとやれるようになった気がします。

――それはリーダー(ミミミユ)の腕によるところ?

ユブネ:そうだと思います。みーちゃんがすごくストイックだから、みんな「リーダーがちゃんとやってるんだから、私たちもちゃんとしなきゃ」って思えるし、そうやってみんなががんばってるから、私が足を引っ張っちゃいけないっていう気持ちになりますから。

ミミミユ:(ニヤニヤしながら)いや、みんながいい子だから、ちゃんと話し合いができてるだけで……。みんな、ありがとう!

ユブネ:どういたしまして(笑)。あとMIGMA SHELTERってダンスの先生がいないんですよ。振り付けの先生はいるんですけど、毎回レッスンのときにダンスを見てくれる人はいなくて。だから自分たちで「ここはこうだよ」「そこはこうしたほうがよくない?」って話し合う環境がナチュラルにできあがっていたんです。

 ダンスの先生がいればいたで、またいろんな発見もあるのかもしれないんですけど、みんなが自由に意見を言い合える今のMIGMA SHELTERもいいなと思っています。

◆「アリス? 私、かわいい系できるかな?」(ユブネ)

――で、7月の配信レイブでニューアルバム『ALICE』の楽曲が披露されて以降、アイドル界隈だけでなく、いろんな人の口の端にMIGMA SHELTERがのぼるようになりました。

ユブネ:特に『ALICE』が配信リリースされてからエゴサしていると、これまでMIGMA SHELTERにあんまり興味はなかっただろうな、という感じの人たちの中でも私たちの順位が上がっている印象は受けました。ただ、直接みんなに会って声を聞けているわけではないから、実感はあまりないかもしれないです。

ミミミユ:でも「Rabiddo」っていう曲のMVが公開されたとき、知らない外国の人がYouTubeにコメントを付けてくれていたのは驚きました。

――みなさんがネット中心の活動を余儀なくされていたように、リスナーもライブハウスやCDショップではなく、ネットで音楽に触れるようになっているからこそ、意外な出会いがあった、と。

ミミミユ:それがすごくうれしかったです。ただ、アルバムについては最初「『不思議の国のアリス』をイメージしたアルバムになります」って聞かされたとき、全然意味がわからなくて……。

――キャロルの原作小説やアニメ版、実写映画版のアリスの世界にあまりおなじみはなかった?

ミミミユ:それもなかったし、コンセプトアルバムというものを知らなかったので、なんじゃそれ? って。

――よもや10曲全部でアリスのことを歌うことになろうとは。

ミミミユ:全然思ってなかった……。

――ユブネさんはアルバムのコンセプトについて、どう思いました?

ユブネ:私の中の勝手なイメージなのかもしれないんですけど、アリスはちょっと不気味なんだけど、やっぱりかわいいもの。だからすごくアイドルっぽいなとは思っていたんですけど、MIGMA SHELTERってアイドルではあるんだけど、みんなの思うようなアイドルなのかと言われると……。

――いわゆる「アイドル」とはやっている音楽が全然違いますね。

ユブネ:サイケデリックトランスだし。だから「MIGMA SHELTERとアリス?」「サイケデリックトランスとアリス?」「私、かわいい系できるかな?」って感じで全然想像できなかったんですけど、デモが届くたび、振り入れがあるたび「あっ、面白れえ!」ってなって(笑)。

「It doesn’t matter」みたいな曲もあれば、「Egg Head」みたいな曲もあったから、今までの私たちにはできなかった新しいことに挑戦できたかなと思っています。

――ミミミユさんはさっき「デモがどれも最高だった」とおっしゃっていましたよね。

ミミミユ:それにコンセプトの話を聞いたあと原作の小説も読んでいたので、デモが届くたびに自分の中でだんだんアルバムへの理解が深まっていく感じがして楽しかったです。

――それは確かに楽しそうですね。1曲目「In Wonderland」の〈さし絵の無い本も たいくつな時間も 私いらないの〉という歌詞は、まさに原作冒頭。「さし絵も会話もないない本なんて、なんの役に立つのかしら?」と思っているアリスのことだし、「It doesn’t mat-ter」はアリスとチェシャ猫の禅問答みたいな会話中のフレーズだし。

ミミミユ:作詞・作曲のタニヤマさんがそういう歌詞の意味を丁寧に教えてくれたので、すごく歌いやすかったです。あと、今までのみーはただのミミミユでしかなかったのに、曲ごとにアリスのいろんなキャラを歌やダンスで表現できるのも新鮮でした。

――でも「Rabiddo」では懐中時計片手のウサギ、「QUEEN」では女王と、1人で複数のキャラクター像を歌うのって素人目には大変そうですけど……。

ミミミユ:確かに。レコーディングが楽しかったのはウソではないんですけど、曲に憑依しがちなタイプだから歌うたびにひどい頭痛に襲われてました。

――うわー……(笑)。ユブネさんは、その“誰かの物語”を歌うことについて思うところはありました?

ユブネ:私はアリスやクイーンみたいな女の子のことを歌うパートじゃなくて、基本的に人間以外。チェシャ猫とかハンプティ・ダンプティについて歌っているパートの歌割りをもらうことが多かったので、その実在しないキャラクター像を作るのが楽しかったです。

◆「絶対にバンジーを飛んでもらいます」(ミミミユ)

――一方、曲については?サイケデリックトランスに軸足を置きつつも、レゲエやジャズやマーチを下敷きにしてみたり、ピアノやストリングスやアコースティックギターといった生楽器をフィーチャーしてみたりと、だいぶん振り幅の大きなアルバムになりましたよね。

ミミミユ:デビューしたころの曲と比べると、去年の「TOKYO SQUARE」なんかもあのころの曲とはだいぶん違っているので、そんなに違和感はなかったです。

ユブネ:私が入って以降のMIGMA SHELTERの曲って、それ以前の曲とはけっこう違うテイストになっていますから。「今のメンバーでMIGMA SHELTERのアルバムを作るとなると、こういう感じになるよね」と思っています。

ミミミユ:それに「the Answer」(2019年3月発表)もおしゃれな曲だと思うんですけど、あれは実は旧体制のころから歌っている曲なので。新体制になって劇的に曲の雰囲気が変わったのか? というとそうでもなくて。今回、いきなりイメージが変わった感じはしないですね。

――『ALICE』は3年間のMIGMA SHELTER楽曲の集大成であり、その最新型という感じ?

ミミミユ:そうですね。でも今回は歌詞がちゃんと日本語っぽいのに驚きました。今まではいつもよくわからないことを歌っていた気がするんですけど……。

――聴き手がいかようにでも解釈できる抽象的な歌詞が多かったですよね。

ミミミユ:でも『ALICE』はちゃんと日本語の意味がわかる曲が多いな、という気がします。

――『不思議の国のアリス』のお話をベースにしているだけあって、どの曲の歌詞もちゃんと物語的になっている。

ミミミユ:そこが新しいな、とは思ってます。

――その「MIGMA SHELTER、日本語の意味がわかる曲を歌う」という挑戦もした野心作をリリースした今、やってみたいことってあります?

ユブネ:まだお客さんを入れたレイブができるかどうかはわからないので、配信に力を入れたいな、と思っています。

――具体的なアイデアってあります?

ユブネ:いつも配信レイブやオンライン特典会をやっていて思うことなんですけど、このままずっとカメラを回していたらどうなるのかな? って。別に配信レイブの前後の様子でなくてもいいんですけど、カメラがずっとメンバーを追うみたいな企画をやってみたいです。「24時間MIGMA SHELTER」!

ミミミユ:それ、やりたい!

――お話を聞くに面倒くさそうだけどなあ……。ミミミユさんはこの秋以降にやりたいことってあります?

ミミミユ:これはこの秋以降っていうか、ずっと言っていることだし、みーがやることではないんですけど、MIGMA SHELTERって加入したらバンジージャンプをするルールになっていたはずで……。

――3年前、ミミミユさんは旧メンバーと一緒に紫色のジャージ姿で飛んでいましたよね。

ミミミユ:なのにユブネたちが飛んでないのは不公平なのではないか? と。なんでお前らは飛んでいないんだ? と。

ユブネ:えーっ……。だって新メンバーとして契約するとき、バンジーのことなんか言われなかったよ。

ミミミユ:みーの契約書にも書いてなかったけど飛んだ。

ユブネ:みんなでメンバーカラーのジャージを着てボーリング大会とかじゃダメ?

――それ、ただのユブネさんのやりたいことですよね?(笑)

ユブネ:じゃあみーちゃんも一緒に飛ぼうよ。

ミミミユ:ヤだよ! みーはもういいですよね?

――だと思います(笑)。

ユブネ:でも私、バンジーなんてやったら心臓がはかはか(東北の方言で「ドキドキ」)して死んじゃうと思うんだけど……。

ミミミユ:でも絶対に飛ばせます!

取材・文/成松哲

##(プロフィール)
●MIGMA SHELTER(みぐま・しぇるたー)
ミミミユ、ブラジル、ユブネ、タマネ、レーレ、ナーナナラからなるアイドルグループ。2017年4月、ミミミユら6人で活動を開始し、本格的なサイケデリックトランスを歌い踊るアイドルとして大きな注目を集める。同年7月に初のシングル「Svaha Eraser」を発表し、以来コンスタントに楽曲を発表し、ハイペースで“レイブ”を展開するも、2018年春から夏にかけてミミミユを除く全メンバーが卒業、他グループへの移籍をし、8月よりミミミユ、ブラジルの2人体制で活動を展開する。2019年2〜3月にはユブネ、タマネ、レーレらが加入し、9月にはナーナナラも合流。その後、メンバーの卒業を経て、2020年6月より現体制に。そして2020年8月26日に初めてのフルアルバム『ALICE』を発表した。
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