SEVENTEEN、高い身体能力と表現力でリードするパフォーマンスチーム HOSHIによるユニークな振付とフォーメーションに注目

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2020年09月20日 10:01  リアルサウンド

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SEVENTEEN『24H』

 SEVENTEENによる日本2ndミニアルバム『24H』が、「Billboard JAPAN 総合ソングチャート“JAPAN HOT 100”」、「週間アルバムセールスチャート“Billboard JAPAN Top Albums Sales”」で1位を獲得。「オリコン週間アルバムランキング」「オリコン週間合算アルバムランキング」でも1位を獲得し、4冠を達成した(いずれも2020年9月21日付)。


(関連:SEVENTEEN、鍛錬を重ねたラップと愛らしさを兼ね備えたヒップホップチーム 人気曲「表情管理」からメンバーの個性を考察


 9月11日には『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)、12日には『THE MUSIC DAY』(日本テレビ系)への初出演を果たし、さらなる注目を集めた印象だ。ボーカル、ヒップホップ、パフォーマンスと、チームごとに才能と個性を伸ばしながら、作詞作曲そして振り付けを自ら手がけるSEVENTEEN。そんな「自主制作アイドル」を貫いていく彼らの魅力を振り返る第3弾。ラストを飾るのは、ダンス面をリードするパフォーマンスチームだ。


 SEVENTEENのステージパフォーマンスは、シンプルに楽しい。13人という人数を活かして、複雑なフォーメーションを次々に披露するさまは、まるでミュージカルを見ているような躍動感にあふれている。ときにはメンバーを持ち上げたり、メンバーが連なって龍のようにうねったり。単に動きをリズムに当てはめるのではなく、形や動きのすべてに意味を感じられるため、一つの作品としての完成度がグッと高まる。


 例えば、音楽番組で見せた「24H」のパフォーマンスでは、放射状に並んだメンバーの直線的な動きにステージ全体でひとつの時計を表しているように感じられる。サビ部分で腕を組み、グッグッグッとロックさせるように上げていく動きからは、チクタクというリズムが伝わってくるようだ。そして顔の前で指を構える長針と秒針のポーズ、さらに1人が中央に立ち12人が横たわって円になるフォーメーション……と、実に様々な動きで“時計“というモチーフをドラマチックに表現していく。


 もちろん複雑なフォーメーションチェンジには、多くの移動が伴う。限られた拍数で移動を間に合わせるためには、一つひとつの動作を速くしなければならない。手足を動かす筋肉に加えて、身体を支える体幹も強くなくては対応できない。また、ダンスとは不思議なもので人数が多ければ多いほど、一人ひとりのちょっとしたズレや緩みはまぎれるどころか際立って見える。動きを大きく保ちながらも、スマートに移動し、一糸乱れぬ動きを実現する難しさ。それをSEVENTEENは、いとも簡単にクリアしているように見えるからたまらない。


 このユニークな振り付け、巧妙なフォーメーションを考案しているのは、パフォーマンスチームのリーダーを務めるHOSHIだ。もともとテコンドーを習っていたという彼は、プルセという型を音楽に合わせていく面白さに気づき、そのままダンスの道へと進んだという。そのまま中学校でダンスサークルを作ると、市の大会で1位を獲得。その後、道(日本でいう県)大会にてスカウトを受ける。


 そんな抜群の才能を持つHOSHIだが、事務所に入ると存在感の薄さを感じ、練習に明け暮れたというシビアな一面も。その厳しい姿勢はメンバーにも遠慮はなく、熱血指導を繰り返したとトーク番組『ラジオスター』(KNTV)で語っている。だが一方で、メンバーのおもしろ写真を集めたり、イタズラを仕掛けるようなムードメーカーな顔もあわせ持ち、バラエティに出演すると、メンバーがHOSHIの発言で大笑いするシーンも多数。


 テコンドーから始まった強いフィジカルを前提としたパワフルな動き。冷静に自分の立ち位置を判断し、その先の動きを模索する全体視点。そして、周囲を楽しませようというサービスマインド。HOSHIの生き様そのものが、SEVENTEENが踊るステージの楽しさにつながっているのがよくわかる。もちろん、HOSHIが思い描いた振り付けも他の12人が体現しなければステージとして成り立たない。「Left & Right」の遊び心溢れるMVを見ていると、HOSHIのセンスの良さと、SEVENTEENの仲睦まじさがあってこそ完成される作品だと改めて思う。


 なかでも、パフォーマンスチームのメンバーは、高い身体能力と表現力で全体をリードしていく。中国メンバーのJUNはもともとK-POPへの憧れが強く「中国と韓国で愛されるアーティストになりたい」という夢を語っていた(参照:Kstyle)。それゆえに誰よりも、パフォーマーとしての魅せ方を知っている。顔の角度ひとつから、指先に至るまでのシルエット、ジャンプしたときの足先……と、どこから見られても抜かりのない完成度の高さだ。


 同じく、中国メンバーのTHE 8(ディエイト)も「小さいころからスーパースターになりたかった」という自己研鑽を欠かさない1人(参照:Kstyle)。ステージ経験を重ね、ブレイクダンスや武術にも長けている。そんな強さを持つからこそ、THE 8の動きはよりソフトに進化を遂げた印象だ。身体を速く自在に操ることができる余裕から生まれる、余韻たっぷりの動き。顔をサッと動かすのか、頭を残して残像を描くように動かすのか。そんな小さな動きにも彼の品が垣間見える。


 そしてSEVENTEENのマンネ(末っ子)でもあるDINOは、両親がダンサーというサラブレットだ。幼少期から父が経営するダンススクールで見学してきたDINOは、マイケル・ジャクソンをリスペクトし「Billie Jean」を真似しながら、骨盤を動かす練習をしていたという。SEVENTEENのYouTubeチャンネルには、DINOが踊る「DINO’S DANCEOLOGY」シリーズも。体重を感じさせない軽やかなステップなど、ダンス好きなら胸躍ること間違いなしの動画なので要チェックだ。


 改めて振り返ると、「自主制作アイドル」SEVENTEENの強みは、他ならぬ自分たちが表現したいものを歌い、踊っているということに尽きる。作品一つひとつの中に、彼らの訴えたいものが刻まれている。ヒットのための作品ではなく、作品ありきでヒットがついてくるのだ。


 インターネットが身近になり、誰もがセルフプロデュースできるこの時代。可能性が広がる反面、自分が何をもって世界に価値をもたらすのか迷い多き時代とも言える。そのなかで、SEVENTEENのように、才能溢れるメンバーが13人も集まり、その多様性を活かしながら作品を生み出していくというのは、大きな希望ともいえる。これからもSEVENTEENは、決して踊らされることなく、自分たちのステージを創り上げていく。(佐藤結衣)


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