住居被害で最大300万円支援も 知らないと損する「災害給付金」

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2020年09月25日 08:00  AERA dot.

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写真台風10号の影響で崩れた長崎県佐世保市の仮設トイレ (c)朝日新聞社
台風10号の影響で崩れた長崎県佐世保市の仮設トイレ (c)朝日新聞社
 今年も台風の季節がやってきた。近年は特に豪雨による災害が増えており、浸水や土砂崩れで住宅が被害を受けるケースも多い。被災したとき、どうすれば速やかに生活を立て直せるのか。使える支援制度と手続きの方法をまとめた。

【一覧で見る】自然災害で被災したときに受けられる主な支援制度

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 今月6日、非常に強い勢力をもった台風10号が九州に接近。北九州に住む60代の女性は、「これまでに経験したことがない暴風になると聞いて、とても不安だった」と話す。

「台風がくる前日には、ホームセンターの入り口に車の長蛇の列ができて、菓子パンからカップ麺まで全てなくなってしまいました。幸い、うちはたいした被害はありませんでしたが、家ももう古いですし、最近は台風の勢いも強くなっている気がするので、不安で仕方ありません」

 豪雨による災害は年々増えている。国土交通省資料によると、1時間降水量50ミリ以上(河川の氾濫や土砂災害が発生するレベル)の豪雨の年間発生件数は、30年間で1.4倍に増加。今年7月には、熊本県を中心に各地で集中豪雨が発生し、死者83人、重軽傷者29人のほか、6千棟近くの住居が全壊・半壊するなど、甚大な被害をもたらした。

 こうした自然災害によって、家族や住居、財産を奪われたとき、生活再建の足掛かりになるのが公的支援制度だ。しかし多くの人は、支援制度があること自体を知らない。

 ファイナンシャルプランナー及び社会福祉士で、災害時の対応に詳しい清水香さんは、「被害を受けても、自分で申請しなければ原則支援は受けられません。そのため被災したときは役所に行って被害状況を伝え、受けたい支援を申し出る必要があります」と語る。

 例えば、地震や豪雨などによって住居に大きな被害を受けた方には、「被災者生活再建支援制度」が用意されている。

「これは住宅の被害の程度に応じて支援金が給付されるもので、基礎支援金として『全壊』の場合は100万円、『大規模半壊』の場合は50万円が給付されます。さらに新しく住居を建設・購入する場合は、加算支援金として200万円が給付され、最大300万円の援助を受けることが可能です」(清水さん)

 ほかにも住居に関しては、「災害救助法に基づく住宅の応急修理制度」や「災害復興住宅融資」などの支援制度がある。ただし、こうした公的支援を受けるためには「罹災証明書」の提出が必要だ。これは「住居の被害の程度」を証明するもので、証明書をもらうためには役所に申請して、専門調査員による被害認定調査を受ける必要がある。また、このときの調査によって、被害の程度が「全壊」「大規模半壊」「半壊」「準半壊」「一部損壊」のどの区分になるかで、受けられる支援や支援の手厚さが変わってくる。

「大規模災害が発生した場合は、人手が足りなかったり、交通手段が断たれたりして、申請から調査完了まで数週間〜1カ月以上かかることもあります。そのため災害によって受けた被害の程度を正しく伝えるために、被災した直後は“片付ける前にまず写真を撮ること”がとても大切です」(同)

 写真は、家の内と外を両方撮るほか、損壊した箇所や浸水した深さなど、被害の程度が正確にわかるように撮る必要がある。

「撮り方については、内閣府が作成した『住まいが被害を受けたとき最初にすること』というチラシに詳しく書いてあります。インターネットで検索すれば、誰でも無料で閲覧できるので、ぜひ確認をお勧めします」(同)

 住居の再建以外にも、災害で家族を亡くした場合は「災害弔慰金」、会社が倒産・休業して給与が受け取れない場合は「雇用保険の失業等給付」など、利用できる支援制度は生活全般に及ぶ。しかし災害からの復興は10年単位の長期戦であり、「公的支援だけでは全く十分とは言えない」と清水さんは言う。

「公的支援で現金が給付されるのは一部のみで、ほとんどは使途が限定された現物給付か、融資が基本。生活再建の費用は、貯蓄や民間会社の保険金に頼らざるを得ないのが実情です」

 被災後、直近の生活資金として頼りになるのは、やはり貯蓄だろう。だが大規模災害時は、家屋の倒壊や浸水によって通帳や印鑑、キャッシュカードを紛失する場合も多い。

「それについては心配ありません。災害時は、通帳やキャッシュカードがなくても、本人確認ができれば預金を引き出せるように、金融庁から各金融機関に通達があるからです。ただ、本人を証明するものは必要なので、これだけは準備しておいたほうがよいでしょう」(同)

 証明能力がある書類としては、運転免許証や健康保険証のコピーなどが挙げられる。また、被災者生活再建支援制度の支援金を受け取る場合にも、罹災証明書のほか、住民票、預金通帳の写しなどが必要になる。これらの書類は、あらかじめ複写して非常用持ち出し袋に入れておくか、離れた場所に住む家族や親戚、友人などに預けておくと安心だ。

 また、生活再建を図る上で、給付金や融資とともに活用したいのが猶予や減免措置だ。

「今回の新型コロナでも、感染により経済的被害を受けた方やその家族を対象に、税金、年金、保険料など、さまざまな猶予あるいは減免措置が講じられています。また、災害救助法が適用された災害では、『被災ローン減免制度』を申し出ることで、住宅ローン等についても減額、免除してもらえる可能性があります」(同)

 これらの支援制度や減免対象の情報は、内閣府作成の「被災者支援に関する各種制度の概要」という冊子に詳しくまとめられている。内閣府のサイトから、無料でPDFを閲覧、ダウンロードできるのでチェックしてみてほしい。

 中小企業庁の発表によると、1995年から2017年にかけて、ほとんどの都道府県において災害救助法が適用されており、大きな自然災害は全国各地で発生する可能性があるといえる。清水さんは、「日本に住む限り、ほとんどの人が災害とは無縁ではいられない」と語る。

「福祉制度や社会保障は特殊なものではなく、誰がいつ世話になるかわからないもの。自分が支援を受けることを前提にリテラシーを高めておくことが、実際に災害に直面したときに心強い支えになります」(同)

 しっかり備えよう。(ライター・澤田憲)

※週刊朝日  2020年10月2日号

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  • 災害給付金 全壊と半壊とではかなりの差が出てくる 中途半端で保険おりないともよく聞くし 役所仕事は住民が聞かないと教えてくれない場合が多かったりする。
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