AKB48卒業から4年……前田亜美が語る、芸能活動を続ける理由 「ファンの人が家族みたいな存在ってことに気づいた」

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2020年10月16日 12:01  リアルサウンド

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1stフォトブック『AMI』をリリースした前田亜美

 前田亜美が10月7日に、初となるフォトブック『前田亜美1stフォトブック AMI』をリリースした。AKB48卒業からおよそ4年、前田が自分自身で全面プロデュースした本作への想いから、作品に込められた家族やファンへの熱い感謝の気持ちを語ってもらった。(編集部)


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■夢がひとつ叶いました


ーー以前から「写真集を出してほしい」という声がファンの方からあったそうですね。


前田亜美:そうなんですよ。私が10代の時にメンバーが、10代最後とか20歳のタイミングでみんな出していたので。私はそういう機会がなく、握手会でファンの人に「写真集いつ出すの?」と言ってもらうことが多くて。私も写真集はいつか出してみたいという夢がありました。今年25歳を迎えて、人生においても節目の歳にKADOKAWAさんから「出しませんか?」という声をいただいて。こういう時期なんで不安もあったんですけど、思い出に残したいなと思い、挑戦しました。


ーー現役の頃から、思い描いていた夢なんですね。


前田:自分の写真集があるってだけで自信に繋がりますし。当時、AKB48にいた時はメンバーも多いので、みんなで雑誌に出て写真を撮ることも多かったんですけど、私自身がソロで載ってる本がなかなかなく、そういうものがあれば嬉しいなと思っていました。夢がひとつ叶いましたね。


ーー節目の歳ということですけど、25歳になって何か思うところもあったんですか?


前田:11歳から芸能生活を始めて青春をAKB48に捧げていたので、普通の生活が出来ない分、違った経験から得られたものは大きかったんですけど、私の中で25歳になって芸能で活躍する機会がなかったら芸能界を辞めようと思っていたんですよ。だけど、AKB48の経験も活かしていろんなことをやるにつれて、こういう楽しいことがあるんだとか発見があるし、これにも挑戦したいという思いも増えていって。毎回が新しいゼロからのスタートで、それが楽しくてやっぱりやめられないし、ファンの人に求められている以上、今回写真集を出すことで恩返しにもなればいいなと思いました。


ーーフォトブックという形式にしたのはなぜですか?


前田:私の中で写真集を出すなら男性向けでもあるし、女性にも手を取ってほしいなと思ったんです。可愛らしさも残しつつ、ストーリー性を大事にした、ひとつのムービーに見えるような写真集を作りたくて。プラス、エッセイを入れたいなと思ってフォトブックという表現にしました。色合いとかも、全部プロデュースさせてもらって。


ーープロデュースしてみていかがでしたか?


前田:初めてのことだったので、こんなに大変なんだと思って(笑)。全部で96ページあるので、出来上がりを想像しながら一つひとつ写真選びをするのも大変でしたし、前後のバランスを見ながら繋ぎかえてみたり、見開きにしてみたりと考えながら作っていきました。でも、一生で一度の1stですし、妥協はしたくないなと思って。家で写真を選んでいたんですけど、ずっと自分の写真を見ていたらどれがいいのか、分かんなくなってきちゃって(笑)。妹が的確なことを言ってくれるんですよ。「この写りはよくないからやめた方がいい」とか、「こっちの方が可愛い」とか。妹と一緒に朝まで見たり。この表紙を決めたのも妹なんです。私の中では違う候補だったんですけど、妹は「これがいいと思うよ」って言ってくれたので。


ーー表紙のショットは亜美さんとしては新鮮な表情ですよね。


前田:私だったら選ばない。あまり見たことのない一面というか。妹が「本が置かれた時に目が合うやつがいい。目力が大事だと思う」って話していて。あとは脚だけのページもあったり、花もメインにして、花とテーマと花言葉も合わせて撮ったりしています。


 何かの時にお祝いにもらったりするお花がすごい好きで。お花も生き物じゃないですか。見ると楽しくなったり、嬉しくなったり、一緒にいると落ち着くし、癒されます。


ーー花言葉とテーマについて教えてください。


前田:一番分かりやすいのは「家族」がテーマの、赤いカーネーションです。お母さんを思い浮かべながら楽しい表情で撮影したり。衣装も自分で選んだんですけど、赤が目立つように、お母さんを抱きしめて、話しかけている感じで。


ーーカーネーションといったら「母への愛」が花言葉ですもんね。生けたりもするんですか?


前田:しますね。小学校の夏休みに生け花を習っていたので。花を見ると元気が出るし。上を向いて歩こうって意識しがちなんですけど、意外と下を見てみるとお花が咲いていたりする光景が好きで、下を見ることも大事だなと思って。お花も頑張って生きてるんだなと思ったら元気をもらうことも多くって。たんぽぽも可愛らしく咲いてるのにその美しさは一瞬だし、足元を見ることも大事だなと思いますね。


ーー素晴らしい考え方です。フォトブックには花やエッセイなど様々な見どころがありますが、ランジェリーカットもそのひとつですよね。“最初で最後の”というのは、亜美さん自身が決めたんですか?


前田:そうですね。なかなかこういう機会がなかったので、やってみるのもありだなっていう挑戦で。私の良さはそこじゃないのかなと思いつつ、最初で最後ですねって話をしました(笑)。


ーーそれではこれが見納めに?


前田:はい……(笑)。もっと自信が湧いて見てほしいと思ったら分かんないですけど。今のところ私の中では最初で最後かなと思います。撮影には恥ずかしさもあったんですけど、撮られ始めるとその恥ずかしさもなくなるし、むしろどうやったら綺麗に写るんだろうとポーズを取ってみたり。部屋着な感じも出したくて、それがある種ナチュラルな気持ちで臨めたので、普段の私が見られるショットがたくさんありますね。


■25歳ならではの表情になった


ーー篠田麻里子さんからも「すっかり大人の色気も出てきた」というコメントがありました。


前田:13歳ぐらいから可愛がってくれている先輩で、今でもご飯に連れてって行ってもらったり、お家に遊びに行ったりしています。結婚も発表する前に教えてくれたんです。大事な人生の先輩でもあるし、AKB48で昇格したチームにいた先輩で、9歳差の最年少と最年長で話しかけてくれたりして、いい刺激をもらいました。ただ、お茶目な一面もあるので、「亜美やって!」「いいですよ」って色々と任せられたり、友達みたいな感じで接してくれるのも嬉しかったです。当時から本当に可愛がってくれていました。


ーー大人の色気については、自身ではどう思っているんですか?


前田:いやー、なかなか分からなくって。色気とは無縁なので、憧れです。ただ、無邪気さだったり、初心を忘れない心は私の良さでもあると思うので、色気を無理やり出すよりかは、私の良さが出ればいいなと思っています。


ーー見たことなかった表情というのも、その大人の色気なのかもしれないですね。


前田:25歳ならではの表情になったというのもありますね。13歳、14歳の時はこんな顔はしてなかったなと思います。


ーーエッセイの内容についても各テーマごとに教えてください。


前田:「孤独」「悲しみ」「愛」「家族」「夢」というテーマで分けています。私は母子家庭で育ってきたので、「お父さん何歳なの?」って聞かれることもありました。別にそれが苦でもないし、寂しくもなくて。愛情を注いでくれる、好きなように生きていいよっていうお母さんで、10代から芸能界に入って、学校にもなかなか行けない中、支えてくれていたのは家族だったり、周りの人で。そういうのをAKB48の当時は忙しかったのもあって、気づけませんでした。大人になるにつれて気づいていったんです。改めて、AKB48にいた頃の思い、そして家族やファンに向けての思いをエッセイに書きたかったです。


ーーなるほど。


前田:「愛」はファンの方、「家族」は家族に向けてです。「孤独」「悲しみ」に関しては、家族の話や過去の思いを語りました。当時、私はすごく忙しかった時期で、毎日撮影だったりで家にもいられなかったし、お母さんは仕事をしながらというのもあって。妹も学校に行かないといけないし、そういう部分で私が「お仕事しなきゃ」「お父さんにならないと」っていう責任感がありました。そういった思いもファンの人になんにも言ってこなかったし、言うことでもないと思っていました。


 でも、AKB48を卒業してから、ファンの人が家族みたいな存在ってことに気づいたんです。素でいる前田亜美が好きとか、ファンにも頼ってくれる亜美ちゃんが好きっていう人が今も応援してくれているので、そういう人たちには全部言えたらいいなと思って全部書いています。テーマはネガティブな「孤独」「悲しみ」から入るんですけど、最後は「夢」でハッピーに終わるんですよ。ひとつの作品として楽しめる本にしたいなと思っていました。


ーー亜美さんの「夢」というのは?


前田:私は求められると嬉しいことに気づいたんです。ファンの人が言ってくれたこととか、お母さんに頼られるのも好きだし。そういうのを踏まえて、与えられる存在になりたいし、求められる、憧れられる存在になりたいですね。


ーーAKB48卒業から4年が経ちますが、卒業生の一人としてどんな人でありたいと思いますか?


前田:AKB48が有名なだけで個人で有名かと言ったらそうでもないし、自分はどうやったら人気が出るかなって、日々考えて生きてきました。刺激はもらいつつも、ほかと比べられないように、一人の前田亜美として知ってもらえたらいいなと思います。


ーー改めて、亜美さんにとってこのフォトブックはどのような作品になりましたか?


前田:宝物ですね。やっと出せるひとつの夢が叶ったものなので。今までの全部を詰め込んだし、こだわったものなので、手に取ってもらった方の宝物にもなれたらいいなと思っています。満足はしているんですけど、今回を経てこれ以上のものがもっと出来るのかなと思ったりもしていて。これを機に新たなスタート、挑戦をしていきたいなと思っています。


(文=渡辺彰浩/写真=富田一也)


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