スパ24時間:ローヴェ98号車ポルシェが雨中の激闘制す。満身創痍のマシンで薄氷の勝利

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2020年10月25日 23:41  AUTOSPORT web

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ローヴェ・レーシングの98号車ポルシェ911 GT3 R 2020トタル・スパ24時間
10月24日16時に開始された2020年トタル・スパ24時間レースは翌25日15時にチェッカーを迎え、ニュルブルクリンク24時間レースではBMW M6 GT3で優勝したローヴェ・レーシングの98号車ポルシェ911 GT3 R(ニック・タンディ/アール・バンバー/ローレンス・ファントール組)が24時間にわたる長丁場レースの総合優勝を飾った。
 
“世界三大耐久レース”のひとつに数えられるスパ・フランコルシャンでのエンデュランスイベントは、新型コロナウイルスのパンデミックの影響をうけ、当初の予定から約3カ月遅れでの開催となった。

 そんな今大会の決勝はスパらしい不安定な天候のなかでスタートを迎え、前半戦はポールポジションを獲得した88号車メルセデスAMG GT3(メルセデスAMG・チーム・アッカASP)と、63号車ランボルギーニ・ウラカンGT3(オレンジ1・FFFレーシング)の首位争いを中心にレースが展開される。

 しかし、レース折り返しを前に88号車メルセデスがタイヤのバーストに起因するアクシデントに見舞われ戦線を離脱。スタートから12時間後のハーフウェイでは予選7番手スタートだった51号車フェラーリ(AFコルセ)がトップに立ち、63号車ランボルギーニ、98号車ポルシェがこれに続くトップ3オーダーとなった。

 欧州のサマータイム終了日となった24日の深夜は、雨脚が強まり完全なウエット路面に。WEC世界耐久選手権でもお馴染みのAFコルセが走らせるマシンは、そんな難しいコンディションのなかでも安定した走りを披露し、スタートから15時間までトップを維持する。

 続く16時間目は63号車ランボルギーニが首位で迎えたものの、その約20分後、デニス・リンドがドライブするウラカンGT3 Evoはラディオン(オールージュを抜けた先のコーナー)でクラッシュ。優勝候補の一角がまた1台脱落することとなった。

 このアクシデントの約30分後、今度は188号車アストンマーティン・バンテージGT3(ガレージ59)の単独スピンをきっかけにした多重クラッシュが同じくオールージュで発生し、ふたたびフルコースイエロー(FCY)後にセーフティカー(SC)が導入される。

 レースは残り6時間強となったところで再開に。すると虎視眈々と上位進出を窺っていた25号車アウディR8 LMS(アウディスポーツ・チーム・サンテロック)と66号車アウディR8 LMS(アウディスポーツ・チーム・アテンプト・レーシング)がトップグループに顔を出し優勝争いに加わっていく。

 雨が降り続くレースはその後、2台のアウディと51号車フェラーリに98号車ポルシェ911 GT3 Rも混じっての先頭争いが繰り広げられ、ピットインタイミングごとに首位が入れ替わる。

■勝負を分けた最終盤の緻密なピット戦略

 勝負を分けるポイントとなったのはスタートから22時間40分過ぎに導入されたFCYのタイミングだ。この時点で首位に立っていた66号車アウディをはじめ、上位陣では98号車ポルシェ、51号車フェラーリがピットに飛び込むとポルシェが先頭でコースに復帰する。

 しかしこの3台は最後のスティントが65分の連続走行時間を超過することから、もう1度ピットに入る必要があった。当該レギュレーションに正攻法で対応し、残り時間に合わせてピットインした25号車アウディだったが、対する98号車と66号車はピットアウト後にふたたびピットインしてこの規定をクリア。SCラン下のピット作業となり順位を下げた前者を尻目に総合首位、2番手でコースに戻った。

 一方、AFコルセは残り65分を切るのを待って51号車をピットアウトさせる戦略をとるも最適解とはいえず。3番手でのコース復帰となっている。

 チェッカーまで残り55分でリスタートが切られるが、直後にスタックした車両を回収するため、ふたたびFCY/SCが導入されたレース終盤、残り時間35分となったところでレースが再開される。

 トップはタンディ駆る98号車ポルシェ、これを66号車アウディのパトリック・ニーダーハイザーが追う。24時間レースのフィナーレを飾るトップ争いは一時、両者の差が2秒を切る接戦となり、ファイナルラップ直前には98号車ポルシェのオンボード映像において“異音”が響き緊張感が漂うなか、最後は2015年のル・マン総合ウイナーが逃げ切ってトップチェッカー。レース後、98号車ポルシェのギアボックスが壊れていたことが明かされている。

 4.6秒差の総合2位は66号車アウディ、3位には残り15分で51号車フェラーリをオールージュで交わした54号車ポルシェ911 GT3 R(ダイナミック・モータースポーツ)が入り、4位にも12号車ポルシェ911 GT3 R(GPXレーシング)が続いたことでポルシェがワン・スリー・フォー・フィニッシュを達成した。レース折り返しをトップで迎え終盤まで表彰台を争った51号車フェラーリは5位でチェッカーを受けている。

 プロ・アマクラスはバーウェル・モータースポーツの77号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo(サンディ・ミッチェル/リッキー・コラード/ロブ・コラード/レオ・マチツキー組)がクラス優勝を達成。シルバーカップではHRTの5号車メルセデスAMG GT3(ガブリエル・ピアナ/ミケル・ベレッタ/セルゲイ・アファナシエフ/フバート・ハウプト組)が、アマクラスはラトン・レーシングの129号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo(クリストフ・レンツ/マイケル・プチ/ステファノ・コスタンティーニ/ルーカス・アイルトン・モーロン組)がクラスウイナーとなった。

 小林可夢偉を擁して参戦したハブオートの27号車フェラーリ488 GT3はレース中盤以降、総合16〜18番手で走行を続けていたものの最終的には総合23位でレースを終えた。もうひとりの日本人ドライバー、濱口弘が乗り込んでスタートした19号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo(オレンジ1・FFFレーシング)は、レース序盤に接触を受けてクラッシュを喫したことでリタイアとなっている。
 
 この他の日本車勢では、チーム・ホンダ・レーシングの29号車ホンダNSX GT3が総合9位でフィニッシュし、テック1・レーシングの15号車レクサスRC F GT3は総合44位/シルバーカップ9位でレースを終えた。

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