BLACKPINK誕生と成長を映したドキュメンタリーを日本のバンドマンはどう楽しんだのか

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2020年10月28日 18:00  M-ON! MUSIC

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写真掲載:M-ON! MUSIC
掲載:M-ON! MUSIC
邦ロック界で一二を争う映画論客とも言われるBase Ball Bearの小出祐介が部長となり、ミュージシャン仲間と映画を観てひたすら語り合うプライベート課外活動連載。

【動画】『BLACKPINK 〜ライトアップ・ザ・スカイ〜』予告編

今回は配信がスタートされたばかりのNetflixオリジナル作品、K-POPガールズグループ・BLACKPINKの音楽ドキュメンタリーを観賞。今回もそれぞれの自宅にて「せーの!」で観賞し始めて、直後にオンラインで感想会をやりました。
K-POP好きなメンバーと、そこまでは知らないメンバー、それぞれの受け止め方やミュージシャンならでは感想をお楽しみください!

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みんなの映画部 活動第69回[前編]
『BLACKPINK 〜ライトアップ・ザ・スカイ〜』
参加部員:小出祐介(Base Ball Bear)、福岡晃子、オカモトレイジ(OKAMOTO’S)、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)
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■世界的スターとなったBLACKPINKを知る、初心者には最適なドキュメンタリー

──『みんなの映画部』第69回目でございます。今回はNetflixオリジナルのドキュメンタリー映画『BLACKPINK〜ライトアップ・ザ・スカイ〜』です。ご存じ、全世界で大人気沸騰中のK-POPガールズグループ、BLACKPINKの4人の素顔に迫った一本。前回の『メイキング・オブ・モータウン』に続いての音楽系ドキュメンタリーになりますね。まずは恒例の小出部長からのひと言からよろしくお願いいたします。

小出 面白かったでーす。

ハマ 軽っ。

福岡 軽い。

レイジ あははは。

ハマ いつも部長、本気でお気に入りの作品のときは「最高でした!」から始まりますからね。

小出 たしかに。今回はちょっと軽めの「面白かったでーす」って感じですね。

──小出部長とレイジくんはK-POPに対して情報をしっかり持っているふたりで、ハマくんとあっこちゃんは「知ってます」ぐらいの感覚なんですよね。それぞれの立場から感想をお聞かせいただければと思います。

小出 予備知識の違いでかなり温度差が出るドキュメンタリーかもしれませんね。ハマはどうでした?

ハマ 「あ、こういう人たちなんだな」って感じですね。ミもフタもない感想だけど(笑)。メンバーにタイの人もいるんだ、とか。

小出 リサがね。

ハマ みんなが韓国人ってわけじゃないんだ、ってことすら全然知らなかったので。だから初心者にはもってこいじゃないですか、このドキュメンタリー。「BLACKPINKがどういうグループか」ってことの基本が全部わかるようになっているから。

小出 うん。たぶん入門編っていう目的で作ってる気がする。

ハマ そうですね。あと、「みんな英語でしゃべってるんだ」とか。韓国語での普段の会話も合間に英語が入ってましたね。活動がグローバルだから、英語が必須なのは当然だと思うんですけど、日常会話も英語なのは意外でしたね。

小出 生まれも育ちも韓国なのはジスだけで、ロゼはニュージーランド生まれのオーストラリア育ちだし、ジェニーもニュージーランドに留学していたんだよね。

ハマ メンバー編成の段階からグローバル展開を意識していたってことですよね。結成が2016年で、本当にあっという間のスピードで世界的なスターになったわけじゃないですか。

でもこれだけ大規模のプロジェクトでも、内実は人間臭いというか、急に有名になったことのとまどいとか普通にあるんだなって。映画の最後のステージでのMCがすごい良かったですね。「ステージの上でメンバーと話すことないから」と言って、4人が抱き合って泣いてしまうっていう。

そこからソウルに戻って、なじみの食堂でゴハン食べて終わるのも良かったし。いわゆる等身大っていうか、驕りのない感じも人気の要因なんだろうなと思いました。

小出 なるほど。あっこはどうでした?

福岡 私、知らないと思ってたんですけど、結構曲は知ってましたね(笑)。

ハマ それは思いました、俺も。聴いたことあるなって。

福岡 ね。「そっか、この曲もこの子たちだったんだ」とか。あとミュージックビデオも観たことあって、カッコ良いなって気に留めていたことを思い出したり。あとアーティスト・ドキュメンタリーとしてはね、これは本当にすごい良くできた作品だと思いますよ。私もチャットモンチーのときに何本かドキュメンタリーを撮ったんですけど。ウチらは監督さんが引くほど素を見せまくってたので(笑)。

小出 ああ、(高橋)久美子と殴り合いのけんかになったあのシーンね(笑)。

福岡 そうそう、血だらけになって……って、してないよ!(笑) でもこの作品は、どこを観てもBLACKPINKに憧れられるような内容だったから、すごいちゃんとしてるなと思って。「目指したくなる」とか「こういうふうになりたい」とかはもちろんだけど、「努力すると報われる」っていうことが、すごくわかりやすく勇気になるっていうか。頑張ったら夢はかなうよっていうメッセージがあるのって、こういうドキュメンタリーの役割としてはきっと悪いことじゃないなと。

一同 (うなづく)。

■日本人アーティスト4人にはBLACKPINKがどう見えたのか

福岡 私は日本のアイドルグループについてあんまり詳しくはないけど、テレビで観ている限りで言うと、統一されることに美学があるような感じがするのね。だけど、韓国の場合はメンバーそれぞれの個性の出し方がすごく特徴的というか、日本とは全然違うなと思って。BLACKPINKの4人は個人であることにすごい誇りを持ってやってるから、めちゃくちゃカッコ良く見えた。

小出 まさにそこはね、日本と全然違うなぁと思うところで。楽曲で歌われる内容を見てみても、日本のアイドルソングって基本的に“君が好きだ”の世界じゃないですか。でも今の韓国の曲を聴いてると、もちろんそういうスイートな曲もあるけど、“個”について歌ってる曲が多くなってますよね。自分が自分でいることの大切さ、個の尊さみたいなメッセージの曲が多いし、だからこそ世界中の人がグッとくるんじゃないかなぁと。

福岡 あと音楽的にも相当攻めてるなっていうか。このドキュメンタリーの中で、「デビュー曲をどれにするかで迷った」みたいな話が出てたでしょう。あの曲(「WHISTLE」)って、たしかにあんまり煽ってない曲調っていうか、テンポもミドルだし。たぶん2016年だったら、まだ誰もやってないくらいの最新のアレンジだよね。

小出 あれを指してくるのは早いよね。

福岡 そう。今聴いても、カッコ良い曲だなと思って。あれを「絶対デビュー曲にしたい」って言うプロデューサーがいるのは強いなと思いました。「K-POPって言われたくない」みたいなことも発言していたし、本当に世界の最前線で勝負している姿勢がある。

小出 プロデューサー兼ソングライターのTEDDY(パク・テディ。字幕では「テディ・パーク」と表記)は相当やり手ですね。

レイジ あの「WHISTLE」はアコースティックバージョンがEPに入っていて。シングルとして最初に出たのはヒップホップ系のアレンジなんですけど、アコースティックで聴いてもめちゃめちゃ良い曲で。ちゃんと良い曲を作ってから、それを今のトレンドのサウンドに編曲したり、再構築したりっていうのがすごい。

ハマ あのTEDDYさんっていうのはパフォーマー出身で、あるグループのメンバーだった人なんですよね、元々。

レイジ そうそう。1TYM(ワンタイム)っていう、90年代末期にデビューした日本で言うDA PUMPみたいな感じのポップグループのメンバーだったんです。ちなみに途中で一瞬出て来たソテジワアイドゥルっていうグループが、90年代に今のK-POPに繋がる基礎を作ったと言われている人たちで。ソ・テジっていう人が歌っていて、バックダンサーがふたりの編成。

ハマ ZOOみたいな?

レイジ ZOOやw-inds.みたいな感じで、初めて韓国のポップス史上にヒップホップを持ってきた張本人なんですよ。その3人のうちのバックダンサーが(ヤン・ヒョンソク)がYGエンターテインメントの社長なんです。

ハマ なるほど、EXILEのHIROさんみたいな。

レイジ そうそう。そこからヒップホップを主軸に作っていくK-POPの流れが生まれて、YGの第一弾アーティストとしてジヌションっていう男性ヒップホップデュオが出る。その第二弾アーティストでTEDDYがいた1TYMがデビューして、そっから“自作ドル”というか、自分たちで曲も作るアイドルの流れが始まっていくんですよね。

TEXT BY

直人(映画評論家)

熾烈で過酷な部分は見せていないことについて話した[後編](10月29日(木)配信予定)へ続く
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