知ってる? 「とんでもございません」を使わない方がいい場面

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2020年10月30日 08:12  マイナビウーマン

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知ってる? 「とんでもございません」を使わない方がいい場面

「とんでもございません」という言葉は、目上の人から褒められて返す時などによく使われる謙遜の表現です。

本来「とんでもございません」は文法上の法則から外れた用法ですが、現在では相手からの褒めや賞賛などを軽く打ち消す時の表現で使うことは問題ないとされています。

果たして、全てのビジネスシーンに当てはめていいものでしょうか?

■「とんでもございません」の意味とは?

まずは「とんでもございません」の意味を解説します。

◇「とんでもございません」は「そんなことはない」の謙遜表現

目上の人から褒められた時などに使う「とんでもございません」の元になっている言葉は「とんでもない」です。

次のような意味があります。

とんでもない (ト(途)デモナイの転) (1)とても考えられない。思いもかけない。途方もない。 (2)(相手の言葉を強く否定して)そんなことはない。冗談ではない。

▽いまは「とんでもありません」「とんでもございません」の形でも使う。 (『広辞苑 第七版』岩波書店)

上記の意味から判断すると、目上の人から褒められた時の「とんでもない」は、(2)の意味です。

褒められたり、賞賛を受けたりした時に、「いえいえ、それほどのことではありません」と謙遜して使います。

◇「とんでもない」を丁寧に言うための「とんでもございません」

「御社は名実ともに業界ナンバー1だね」と褒められた時に、「とんでもございません。まだまだ及びません」とか、「スタッフさんたちが素晴らしいね。あなたの教育のたまものだね」に対して、「教育などとんでもございません。スタッフ達に助けられてばかりです」など、会社や自分自身を謙遜する言い方は、よく使われます。

「とんでもございません」の「ございません」は「ありません(ない)」をより丁寧にした言葉で、「とんでもない」を丁寧に言うための表現です。

■「とんでもございません」は誤用なのか?

ここでは「とんでもございません」が文法的に間違った表現なのか、日常生活で使用してはいけないのかどうかを解説します。

◇「とんでもございません」は伝統的用法ではない

「とんでもない」は、「とんでも」に打消しの助動詞「ない」が付いたものでもなく、あくまで6文字でひと続きの言葉です。

「もったいない」「切ない」「みっともない」が分割できないように、「とんでもない」も「とんでも」と「ない」に分けることはできません。

また、「とんでも+ある」に分けられるものでもなく、そもそも「とんでも」という単語はありません。

したがって、「とんでもございません」は、本来ひと続きの言葉である「とんでもない」を誤って2つに分けて丁寧な敬語表現に変換したものであり、成り立ちから考えると文法的に正しいとは言い難いのです。

◇普段のビジネスシーンでは問題なく使える

前述した通り、本来であれば文法的には正しいとは言いにくいのですが、昨今では日常的な場面で使うには問題がないと許容されるようになっています。冒頭でも書いたように、第六版以降の『広辞苑』にも、“「とんでもございません」の形でも使う”と載っています。

また、2007年に発表された「敬語の指針」(文化審議会答申)でも次のように容認されています。

「とんでもございません」(「とんでもありません」)は、相手からの褒めや賞賛などを軽く打ち消すときの表現であり、現在では、こうした状況で使うことは問題がないと考えられる (「敬語の指針」【29】解説1より)

この解説にある「軽く打ち消すとき」の想定に個人差はあるかもしれませんが、次のような日常的な会話では「とんでもございません」と答えて差し支えないでしょう。

なお、「とんでもございません」だけだと、まれに「褒めたことがいけなかったのかな?」「気に障ったかな?」と勘違いする人もいるので、下記例文のように後に一言付け加えるといいでしょう。

☆取引先の部長から褒められて謙遜する場合

A部長「担当の○○から、Bさんはできる人だと聞いていますよ」 Bさん「とんでもございません。まだまだ至らないことばかりです」

☆上司から感謝された場合

A部長「この間は、○○さんを手伝ってくれてありがとう。助かったと感謝していたよ」 Bさん「とんでもございません。お安い御用です」

「とんでもございません」を正しく言い換えると?

「とんでもございません」を正しく言い換えると、次の通りです。

・「とんでもないです」 ・「とんでもないことです」

この後に、「ありがとうございます」「皆さんのおかげです」「ご指導のおかげです」「一層精進いたします」などの言葉を付け加えると、さらに好ましいでしょう。

ちなみに、「とんでもないことでございます」も文法的には正しいのですが、まわりくどく感じられます。

また、「とんでもございません」を使わなくても、次のように謝辞を述べることができます。

☆例文

・お褒めいただき、ありがとうございます。スタッフのみんなが支えてくれたおかげです。

■「とんでもございません」を使わない方がいい場面

以上のように、「とんでもございません」は、謙遜する際の言葉として許容され、広く使われるようになりました。

とはいえ、公式な席ではやはり控えた方がいいでしょう。

なぜ控えた方がいいのか、理由とあわせて2つの場面を紹介します。

◇賞賛を受ける場面

大勢の人の前で壇上に上がって賞賛を受けるような場面では、「とんでもございません」と打ち消すのを避けた方が無難でしょう。

『敬語の指針』文中にある「相手からの褒めや賞賛などを軽く打ち消すときの表現」のくだりに着目すると、表彰式などのシチュエーションでは、集まった賞賛を「軽く打ち消すとき」には当てはまらないからです。

また、せっかくのフォーマルな場を、謙遜だけに終わるのはもったいないからです。

謙遜することは日本の美徳かもしれませんが、これからは周囲への感謝を表現しつつ、さらなる意欲をアピールする姿勢も、グローバルスタンダードとして好感を持たれるでしょう。

◇多くの人が集まる場面

多くの人が集まる場面では、参加者・列席者の中に「正確な表現」にこだわる人がいる可能性があります。

実際、文化庁の「国語に関する世論調査」(平成25年)によれば、「とんでもございません」という言葉が気になる人は調査人口の4分の1ほどで、過去の調査よりも増えています。

それを考えれば、「軽く打ち消すとき」には当たらない公式な場面では使わない方が無難でしょう。

■「とんでもございません」に代わる謙遜表現

謙遜の言葉である「とんでもございません」に代わる言い換えの言葉を紹介します。

褒めてくれた相手に対して、どのような気持ちを伝えたいかによっても、選ぶ言葉が変わりますね。

◇「恐縮です」

恐縮している気持ちを表す時に使います。

☆例文

・お褒めいただき、恐縮です

◇「もったいないお言葉です」

褒められたことを「もったいない」と表すことで、相手に対する敬意も表せます。

☆例文

・ありがとうございます。もったいないお言葉です

◇「温かく、励みになります」

褒められてうれしい気持ちを率直に伝える言い方です。

☆例文

・お言葉温かく、励みになります

◇「お褒めに預かり光栄です」

フォーマルな場にもぴったりです。光栄に思う気持ちを表しています。

☆例文

お褒めに預かり光栄です。さらにご期待に応えられるよう頑張りたいと存じます

正誤を知った上で使う「とんでもございません」

「とんでもございません」という言葉の変遷は、伝統的用法でなくても慣用的に使われ続けると市民権を得るという見本です。

普段は「とんでもございません」を使っても問題はありませんが、公式な場では「とんでもないです」「とんでもないことです」を使い、臨機応変に対応するのがいいでしょう。

(前田めぐる)

※画像はイメージです

元の記事はこちら

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  • 「恐縮です」、「畏れ入ります」、「ありがとうございます。」で、いいのでは。(とんでもないことを、しでかしてしまったわけではない場合)
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