<純烈物語>夫婦で応援してもらえたら……小田井涼平がコロナ禍で掴んだもの<第69回>

0

2020年10月31日 09:02  日刊SPA!

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

日刊SPA!

写真写真
―[ノンフィクション連載「白と黒とハッピー 〜純烈物語」]―

◆<第69回>日常を晒しても夫婦込みで応援してくれたら……妻・LiLiCoとのユニットに対する小田井の真意

 新型コロナウイルスとの持久戦を迎えた中で止まったこともあれば、それによって得られたものもある。小田井涼平にとってのそれは、妻・LiLiCoと過ごす時間だった。

 2017年に婚姻届を出し、翌年4月に公表した以後もほぼ365日、純烈に生活を奪われ、夫婦として共同で何かをやることがまずなかった。本当に、朝早く家を出て寝るために帰ってくるようなものだった。それが非常事態宣言発令とともに、毎日の三食を家で食べるようになる。

 世の中の空気とともに自分自身の気持ちも閉塞感に見舞われる中で、家に戻れば一人ではないことの大きさを実感させられたと、小田井は言う。そして、こういう状況下だからこそ本当の意味での夫婦による“支え合い”が形となった。

 旦那と嫁が揃って芸能人となると、コロナに関するリスク回避は人一倍細心の注意を払わなければならない。一方がかかると、相手の仕事とそれにかかわる全員に影響を及ぼしてしまうからだ。

「芸能人の夫婦はどちらかが感染したら、確実にもう一方もしばらくは家にいなければいけなくなって、僕がかかっても奥さんの仕事を止めてしまう。僕が奥さんから感染しても、純烈はグループだからまったく仕事がなくなるわけではない。小田井がいなくてもまわせるものもあるはずですから。

でもLiLiCoの仕事が止まると、その全部を止めてしまう。ましてや彼女はレギュラーを持っているから、影響は計り知れない。それは怖いですよね」

 自粛期間中も、YouTube配信だ、打ち合わせだで、事務所にはいっていた。その間は、ほとんど自宅と渋谷の間を行き来するのみだったが、小田井はどの交通手段がベターなのかを考えた。最初はタクシーがもっともリスクが低いと思ったが、さすがに毎日往復で利用するのは経済的でない。それで電車に変えたのだが、こちらはこちらで乗り換えごとの駅における人の出入りが激しい。

 結局、路線バスがそれほど乗車客も多くなく、換気もされている。以前はほとんど使っていなかったのだが、このコロナ禍の中でメインの移動手段となった。芸能人は感染すると裏をとられるから、もしもの場合もやるべきリスク回避はやっていたという足跡は残しておくべきと思い、続けた。

◆コロナをきっかけに、夫婦で出る番組が増えた

 非常事態宣言中、各テレビ局は外でのロケーションができず番組制作に悪戦苦闘する。その中で、リモート出演するタレントが増える。そこで出演者は、プライベートとの境界線である自宅を世間に晒すか否かの選択と向き合った。

 LiLiCoが『王様のブランチ』(TBS系)にレギュラー出演しているため、リモートの画面に小田井が映り込む。それが2人にとっての日常なのだから、逆にいない方が不自然。だが、酒井一圭がそれに食いつかぬはずもなくMCやトークコーナーで「何、出演してんねん」と恰好のネタにされた。

「僕もテレビに出る以上は仕事として考えないといけないので、そこはプロ意識を持ってやっていますけど、あれは別にギャラが出ているわけではないんです。だけど、夫婦で何かを一緒にやっていることで僕自身は楽しいんで。そういう時間が持てたのはある種、貴重だと思うぐらいで。

 おかげさまで、夫婦で出る番組も増えたんですよね。それはリモートであることが大きいんですけど、あとは芸能界において事務所が別々で共演OKの夫婦ってあまりいないというのもある。家の中を見せることに関して、ウチはNGにしていないんで。コロナ禍だと、見せるものがないから番組サイドも『家の中を見せてください』と必ず言ってくるんです。そこは、奥さんがOKのところは僕もいいということにしています」

◆「夫婦でイチャイチャしている画を…」と言われ

 自宅や自分たちの日常を公開するのは、ある意味プライベートの切り売りだ。抵抗を覚える芸能人もいるだろう。小田井自身も、そこはなんでもかんでも応じるのではなく、番組側のオーダーを一つひとつ吟味するのを心がけた。

 ある番組からは「ご夫婦がイチャイチャしている画を撮りたいです」と言われたがNGを出した。普通に仲睦まじさが伝わればいいが、それを過剰にやるとファンは見たくないと思うはず。

 純烈ではなく、LiLiCoとの別ユニットとしての仕事であっても、小田井の頭の中には常に純子さんたちの気持ちがインプットされている。そして、その意図を説明すればテレビ側もちゃんと理解してくれる。

 また、逆に「仲睦まじくは見えていますけどじっさいはこうなんですよとか、このコロナ禍で時間ができて生じたお互いへの不満や不安があったら話してください」というリクエストも断った。それこそ「誰が得すんねん」というやつだったからだ。

 そういったオーダーが出るのも、小田井はわかっている。制作サイドも自粛、自粛でやれることがなく、何をどうやったらいいのかといろいろなことを試行錯誤し、その上でなんとか一本の番組を作ろうとしているのが実情だった。

 その分、オファーが来たからといって無条件で受けるわけにはいかないと思った。もちろんこの現状において仕事の声がかかるのはありがたい。

 だからといって、結果的に誰かのマイナスになることならば、それはやるべきでない。そうした見極めが、コロナ禍の中でできるようになった。

「純烈を応援してくれるファンの人たちのことを考えたら、本来ならば夫婦生活を見せるのはやらない方がいいと思うんです。僕の場合は一般の女性じゃないから、あの人が小田井涼平の奥さんとハッキリわかる。そうすると想像や妄想で具体的に見えてしまう分、嫌な人は嫌になるでしょう。でも、いくら隠したところで結婚している事実は変わらないんだから、それならば出ることによって夫婦込みで応援してくれたらいいなと思うんです。

 ファンの人たちにも家庭があって、家に帰れば旦那がいて子どもがいてっていうことじゃないですか。あなたたちと同じ生活が僕にもありますよというのを伝えたかったんですね。それも、ネガティブじゃない気持ちになっていただきたい。だから僕らを見て、ウチの夫婦も仲よくしようとなってほしいんです。『小田井さんとLiLiCoさんを見て、こうなりたいと思いました』というコメントが、一つでもあれば嬉しいなというノリですね」

◆小田井・LiLiCoの夫婦像

 結婚以来、小田井は夫婦に関する話を山ほど聞かれ、そのつど真摯に語ってきた。だが、このようにユニットとしての意図についてはあまり声高にアナウンスしてこなかった。

 それは「俺はこういう気持ちでやってんねん」というのを言いすぎると、思いの価値が下がると考えたからだ。言葉にするほど、物事は陳腐になってしまう。そこに気づかずなんでも答えを明かすと、もうこれ以上は理解が膨らまない。

 芸能界の人間としての活動が、純烈単位ではできなくなった時、幸いにして小田井にはLiLiCoというパートナーがいた。そのフィールドに足を踏み入れたからには、2人で何ができるかを思考する。それも、コロナ禍の中で生まれた新たなる形の一つだった。

 やるからには、そこで頑張ろうと思うのがこの夫婦の姿勢である。日常を切り売りにするからといってただリモートの前でダベって終わりにする2人ではない。限られた環境の中でエンターテインメントに仕上げようと、どちらかが口にするまでもなく共通認識でその向こう側にいる視聴者の前に立つ。

「LiLiCoに関していえば、あそこまでテレビに出る必要はないんですよ。今頑張っている仕事だけでまわしていけるし、どちらかというと僕のために一緒に出てくれている。だけどそれはたぶん、世の中には伝わっていないし、LiLiCo自身はすごく実感しているんだと思います。別に私は出しゃばって、なんでもかんでも旦那にくっついているわけじゃないっていうね。本人は言わないけれど。

 それが人によってはなんで純烈なのにLiLiCoが出てくるねんってなる。でもウチの奥さんはそうじゃなくて『私が出ることでこの番組からオファーをもらえている』のも当然あるんですよね。純烈をやっている時に夫婦というものを手に入れたんですけど、こうなってみて改めて結婚しててよかったなと思いますよ。もちろんそれは仕事に限らずね。それがなかなか理解されない部分でもあるんですけど」

 他者には伝わらなくとも概念的なものではなく実体験として夫婦による支え合いが成立しているLiLiCoとのユニット。ウェブニュース等では語られぬ夫・小田井涼平の真意をノドに通した今、あなたの目に夫妻の関係性はどう映っているだろうか。

撮影/鈴木健txt.

―[ノンフィクション連載「白と黒とハッピー 〜純烈物語」]―

【鈴木健.txt】
(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月〜’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxt、facebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー〜純烈物語』が発売
    ニュース設定