ハミルトンが優勝で最多タイ記録に並ぶ7度目のタイトルを獲得。1ストップ戦略を完遂【決勝レポート/F1第14戦】

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2020年11月15日 21:41  AUTOSPORT web

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2020年F1第14戦トルコGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)
11月15日現地時間午後1時10分、トルコGP決勝が行われ、6番手からスタートしたメルセデスのルイス・ハミルトンが優勝を飾り史上最多タイ記録に並ぶ7度目のF1チャンピオンに輝いた。

 決勝の1時間半前から雨が降り始め、路面は完全にウエットに。各車ともグリッドに向かうレコノサンスラップはフルウエットタイヤで走行するが、アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)がターン2でスピンオフしてクラッシュし、リヤタイヤがグラベルに埋まってしまった。しかしピット出口クローズ後にマーシャルに押し出され、フロントウイングを引きずりながらグリッドへつくことになった。

 ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)もピットエントリーで止まりきれず真っ直ぐクラッシュしてフロントウイングを壊し、ピットイン中にピット出口がクローズとなったためピットレーンスタートとなった。ウイリアムズはニコラス・ラティフィもピットスタートを選択している。

 予選15番手のピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)は、予選後にパワーユニット交換を行って4基目を投入しようと作業を開始したが、マクラーレンのカルロス・サインツJr.がセルジオ・ペレス(レーシングポイント)に対する妨害で3グリッド降格、ランド・ノリスがダブルイエロー無視で5グリッド降格を科され、ガスリーが13番グリッドになったことを受けてパワーユニット交換を取りやめ。しかし交換を行ったとみなされて最後尾グリッドスタートのペナルティが科され、19番グリッドとなった。

 決勝スタートを迎える時には雨は上がり晴れ間も見えるが、サーキット周辺にはまだ雲も多くレース中の降水確率は60%。気温は12度、路面温度は15度と低く、路面はウエットでグリップレベルは極めて低い。ピットスタートのウイリアムズ勢だけがインターミディエイトを履き、それ以外の全車がウエットタイヤを履いてスタートに臨んだ。

 スタンディングスタートで各車の加速は鈍く、フェルスタッペンはアンチストールが入り特に大きく出遅れて8番手まで後退。しかしターン1でダニエル・リカルド(ルノー)に接触されたエステバン・オコンがスピン(ルノー)し、バルテリ・ボッタス(メルセデス)も煽りを受けてスピンして最後尾へ。フェルスタッペンは1周目終了時点で4番手までポジションを挽回した。

 ポールポジションのランス・ストロール(レーシングポイント)がポジションを守り、2番手にペレス。3位に浮上したハミルトンはターン9でコースオフを喫してセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)とフェルスタッペン、アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)がこれを抜いてハミルトンは6番手まで後退する。7番手リカルド、8番手キミ・ライコネン(アルファロメオ)、9番手サインツJr.、10番手ケビン・マグヌッセン(ハース)。フェルスタッペンはベッテルに抑え込まれてしまい、レーシングポイント勢が10秒以上逃げていく。

 コース上は極めて滑りやすいコンディションだが、4周目になると路面の水は減っていく。ストロールはファステストラップ連発で5周目までに2番手ペレスに6秒、3番手ベッテルに15秒のギャップを築き上げた。しかし5周目からはペレスがファステストを更新していき、ストロールとのギャップを徐々に詰め始める。

 6周目にシャルル・ルクレール(フェラーリ)がピットインしていち早くインターミディエイトに交換。

 7周目には11番手ジョビナッツィを先頭とするトレインから抜け出せないというボッタスがピットインしてインターミディエイトに交換する。8周目には3番手ベッテルを先頭にハミルトン、ライコネン、マグヌッセンら多くのマシンがピットイン。9周目にはトップのストロール、10周目には2番手ペレスもピットインしてインターミディエイトに履き替えた。

 フェルスタッペンはまだインターミディエイトに換えるには早すぎるとウエットタイヤのままステイアウトして走行。10周目にハミルトンはフェルスタッペンより3秒速いタイムで走り、これを受けてフェルスタッペンは11周目にピットインしてインターミディエイトに履き替えた。

 ピット出口でペレス、ベッテル、ハミルトンとのポジション争いとなったフェルスタッペンは挙動を乱してイン側の白線を踏んでレース後審議となってしまうが、ペレスの後方3番手でコースに戻る。12周目にピットインしたアルボンはハミルトンの後方6番手でのコース復帰となった。

 13周目にジョビナッツィがターン9手前にマシンを止めてVSC(バーチャルセーフティカー)導入。15周目のセクター2で解除となった。首位ストロール、8秒後方に2番手ペレス、その1秒後方に3番手フェルスタッペン。さらに7秒離れてベッテルとハミルトンが攻防を繰り広げ、15周目のターン12でオーバーシュートしたハミルトンをアルボンがかわして5番手に上がった。

 アルボンはさらに翌周のターン7でベッテルも抜いて4番手に上がるが、ブレーキの温度が上げられないハミルトンはペースの上がらないベッテルを抜くことができない。

 18周目のターン11でペレスのインを伺ったフェルスタッペンだが出口でワイドになり、ランオフエリアでスピン。アルボンとベッテル、ハミルトンに先行を許し、フラットスポットを作ったためピットインして再び中古のインターミディエイトに交換し8番手までポジションを落とすことになった。

 これで3番手に浮上したアルボンはファステストラップを刻みながら2番手ペレスを追い上げていき、首位ストロールはアンダーステアが強くなりラップタイムを大きく落としてアルボンより3秒、ペレスより2秒遅いペースでギャップがどんどん縮まっていく。後方ではタイヤに熱を入れられないボッタスがターン2でスピンし17番手までポジションを落とした。

 フェルスタッペンはハイペースで走り6番手リカルドを先頭とするトレインに追い付く。しかし各車とも前走車をフォローして走るのが難しく、オーバーテイクを仕掛けられない。そのなかでノリスだけはラッセル、マグヌッセンを抜いて10番手まで挽回してきた。

 路面は乾きつつあるがセクター3が濡れておりドライタイヤへの交換が難しい。そのなかで各車とも右フロントタイヤの磨耗が進んでグリップを失っている。特にアルボンがペースを落として背後にベッテル、ハミルトンが続く。

 30周目にDRSが解禁となり、これと同時にルクレールがピットインして新品のインターミディエイトに交換し上位勢より3秒速いファステストラップを記録する。

 32周目のターン9〜10立ち上がりでサインツJr.がリカルドに並びかけ、そのままDRSを使ってオーバーテイク完了。これでリカルドはピットに飛び込んで新品のインターミディエイトに交換する。33周目にベッテル、サインツJr.もピットイン。

 34周目のターン4でアルボンが痛恨のスピンを喫してハミルトンが3番手に浮上、アルボンはこの周ピットインする。フェルスタッペンは前がクリーンになりペースアップ。

 首位ストロールは2番手ペレスが背後に迫った36周目にピットイン。首位に上がったペレスの背後にハミルトンが迫り、37周目のバックストレートでDRSを使ってペレスを抜き首位に立つ。ハミルトンと3番手フェルスタッペンだけが古いインターミディエイトで1分41〜42秒台をキープし、2セット目のインターミディエイトに履き替えてグレイニングが出ているドライバーよりも速いペースで走行する。

 グレイニングに苦しむストロールは大きくペースを落として39周目にフェラーリの2台の後方に下がり、41周目までにアルボンとサインツJr.にも抜かれて8番手に後退する。

 ハミルトンは1分39秒台までペースを上げるが、40周目を過ぎる頃にはフェルスタッペンもスライド量が増えてペースを落とす。背後にルクレールが迫り、43周目のバックストレートでフェルスタッペンを抜いて3番手に上がった。フェルスタッペンはここでピットインし新品のインターミディエイトに交換してサインツJr.の後ろ7番手まで後退する。

 サインツJr.は44周目にファステストラップを記録し、アルボンを抜いて5番手へ。45周目にはフェルスタッペンが1分39秒706のファステストラップを記録する。

 48周目のターン12でノリスがリカルドにオーバーテイクを仕掛け、リカルドは単独スピン、これでノリスは労せずして9番手に浮上する。

 フェルスタッペンはアルボンの背後に迫るが、51周目にはターン4で周回遅れのライコネンがコースオフしてスピンしその直後を走っていたフェルスタッペンもスピン。これでアルボンとのギャップが再び広がってしまったものの、すぐに追い付いて52周目のバックストレートでかわして6番手に上がった。ストロールは56周目のターン1でコースオフし、ノリスにパスされて9番手まで後退してしまった。

 最終ラップのターン9でミスを犯したペレスをルクレールがバックストレートでパスして2番手に浮上したものの、ターン12でロックアップ。ペレスが2番手を取り戻し、さらにベッテルがルクレールをかわして3番手に上がり、ふたりともに今季初の表彰台を獲得した。ルクレールは4番手、5番手サインツJr.、6番手フェルスタッペン、7番手アルボン、8番手ノリスは最終ラップにもファステストラップを更新、ポールポジションのストロールは9番手、10番手リカルドという結果になった。

 ハミルトンは後続を寄せ付けることなく31秒差の独走勝利。これでミハエル・シューマッハーの記録に並ぶ史上最多の7度目のドライバーズタイトル獲得を決めた。

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  • ハミルトン。勝って当たり前のマシンに乗ってるだけなんでね。
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