“もみじ”と“カエデ”のはなし 気象予報士・蓬莱大介の【お天気ライブ ほうらい屋】【13】

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2020年11月25日 17:32  TVerプラス

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「もみじとカエデ」なんか映画のタイトルみたいですね。2人の女の子の物語のような…。晩秋深まり、紅葉の季節。今回は、もみじとカエデの違いについて解説します。まず共通点からいずれも植物の分類としてカエデ科カエデ属で同じです。漢字で「紅葉」と書いて「もみじ」と当て字で読む時は広い意味になります。「木の葉が黄・赤色に変わること」という意味で、どんな種類の植物でも葉が色づくことを指します。もみじについてここからは狭義のもみじです。葉の見た目の切れ込みが深いもの。〇〇モミジと種類はいくつかありますが、代表的なイロハモミジなら、とんがりが7つで手のひらサイズの形です。「もみじ」の語源は「もみづ」という動詞からきています。平安時代より染料として使われてきたベニバナなどから水につけて染料を揉み出すことを「もみづ」といったそうです。「揉み出づ」→「もみづ」秋が深まり寒くなってくると、朝晩の冷え込みで露(つゆ)や霜(しも)が現れます。その水分に洗われた木の葉から、鮮やかな紅や黄色が揉み出されて葉の色が変わる…と昔の人は考えて、木の葉の色が変わることを「もみじ」というようになったとか。カエデについて葉の見た目の切れ込みが浅いもの。例えば、ハウチワカエデなら、とんがりが9〜11でその名の通り、うちわのように丸っこいです。カエデは英語でmaple(メープル)。カナダの国旗にデザインされているメープルは、確かに日本の「もみじ」とは形が違って、切れ込みが浅く丸っこい感じです。日本語のカエデの語源は、蛙(カエル)の手に似ていることからきています。「かへるで」→「かえで」となったそうです。違いは童謡『もみじ』にも小学校の時に唄ったあの童謡『もみじ』の詞をみると、たしかに区別されています。秋の夕日に 照る山紅葉(もみじ)濃いも薄いも 数ある中に松をいろどる 楓(かえで)や蔦(つた)は山のふもとの 裾模様どちらも素敵な漢字カエデは「楓」と書きます。木へんに風。枝で色づく様子よりも、落葉がじゅうたんのように敷き詰めた様子よりも、「木枯らしに吹かれて、ひらひらと舞う様子」こそが楓なのです。もみじは「椛」とも書きます。木へんに花。「秋に木々が花のように変化する様子」からこの漢字になったそうです。「椛」という漢字は、中国から伝来されたのではなく、日本独自で生み出された漢字なんですって。「楓」も「椛」もとても素敵な漢字ですね。近年の紅葉について紅葉の色づきが良くなる条件が3つあります。「寒暖差」「湿気」「日照時間」近年、都市化の影響で昔よりも鮮やかさが損なわれているのではないかと指摘されています。ヒートアイランド現象によって、特に最低気温が昔より高くなっています。また、アスファルトやビルによって、街の湿度が低くなっていることが、影響しているかもしれません。気象庁のデータによりますと、京都の紅葉は50年前に比べると約2週間遅くなっています。都市化で気温が高く、色づく時期がズレてきているのです。そんな中、今年は、10月から寒気が流れ込み、1日の寒暖差が大きくなっています。晴れる日もありつつ、そこそこ雨も降っている。近年のうちで条件は割と良いように思えます。なにより台風が1度も上陸しておらず、風の影響を受けていません。ただ今年は、かつて経験したことのないコロナ禍での秋。ほかの人との距離をとりつつ、マスクや手指消毒も徹底しつつ、ひととき「大変な1年になったな…」と紅葉を眺めながら息をついてみてはいかがでしょうか?
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