コロナ禍、遺児家族を直撃「バイトできず、交通費さえ惜しい」「生命保険が頭よぎる」

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2020年11月30日 18:31  弁護士ドットコム

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奨学金を受けている大学生の4分の1が「退学を考えた」——。親を亡くした子どもらを支援する「あしなが育英会」は11月30日、長引くコロナの影響を調査するために実施したアンケート結果を公表し、経済難に苦しむ遺児家庭などの現状を明らかにした。


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アンケートでは、大学生から「1日1食で節約」「バイトできず、交通費さえも惜しい現状」、保護者から「経済面で子供に心配させ、親として申し訳ない」「私が死んだら保険金で家族は生きていけるのでは…なんて考えてしまうこともある」などの声が寄せられた。



あしなが育英会の玉井義臣会長はこの日、都内で開いた記者会見で、「生活が厳しくなると、支えのない人の自殺が増えるのではないかと危惧している。奨学金を受けている学生の実態や保護者の苦労を知ってもらい、少しでもお手伝いしていただければ」と語った。



●「進学より就職のほうがいいのかな」と迷う学生も

アンケートは長引くコロナの影響を調査するため、あしなが育英会の奨学金を受けている高校生、大学生、その保護者を対象に、今年10月23日から11月5日までウェブで選択質問と自由記述の方法で実施。6241人から回答を得た。



その結果、通学・進学することや就職活動に悩む学生の声や、コロナによる収入減少を訴える保護者の声が多く寄せられた。



「親に進学するよう言われているが、働いたほうがいいのでは、と迷っている」(岐阜県・高校2年生)



「就職活動に必要な費用にも困っている」(神奈川県・大学3年生)



「2月に仕事を失ってしまい、お金の工面ばかり考えていて、正直、子どもの高校入学を喜べなかった」(埼玉県・30代母親)



「コロナによる解雇で求職中。学業を諦めさせたくないので、収入を確保したい。これだけが毎日の願い」(兵庫県・50代母親)



●玉井会長「精神的にも非常に怖い状態」

あしなが育英会から奨学金を受けている家庭は、コロナ以前から経済的に楽ではない状況だ。そこにコロナ禍が直撃。保護者の3分の1が「収入が減少した」、9割が「将来の収入に不安」、さらに半数近くが「気分が沈む」と回答した。



玉井会長は「今後さらに経済状況は悪くなると思うが、お金の問題だけでなく、精神的にも非常に怖い状態だ。頼りになる人がいない不安が自殺者の増加につながるのでは」と懸念を示す。



今回のアンケート結果を受けて、あしなが育英会は、あしなが奨学生全員(7612人)に対し、返還不要の「年越し緊急支援金」として20万円の給付を決定した。12月中旬には振り込まれる予定だという。



「年末年始、明るい気持ちで過ごしてもらえればとの思いで決めた。『生活についてはとことん面倒を見るから、死のうなんて思ってはダメだ』と子どもたちや保護者に伝えたい」(玉井会長)



●一番大事なのは「知ること」

あしなが育英会の奨学金は、個人・団体からの寄付のほか、「あしなが学生募金事務局」 による街頭での募金活動などで賄われている。しかし、コロナ感染のリスクから学生を守るため、2020年の街頭募金活動は、春・秋ともに中止となった。



会見したあしなが学生募金事務局の事務局長をつとめる岡本蓮さん(大手前大学3年)は、街頭募金活動ができなかったことについて「とても悔しい」と話す。



「街頭に立って、自分たちの感謝の気持ちや、現状に対する悲痛な思いを伝えられず、また、あしなが育英会や募金活動などに賛同してくれる人の声を聞くこともできず、とても残念です」



今年2020年は、あしなが学生募金がはじまって50年の節目だが、この点、自身も父親を病気でなくした遺児であるという岡本さんは「遺児を取り巻く課題は50年前からずっと続いているということ」と危機感をあらわにする。



「さまざまな可能性や希望を抱いている子どもたちが家庭事情等で自分のやりたいことをできない、こんな悲しいことはありません。



コロナ以前の生活でもいっぱいいっぱいでしたが、もう限界です。自分自身、どうしたらいいのかわからない、それでもなんとかしたいと思って活動を続けています。



一番大事なのは『知ること』だと思います。まずは、多くの人にこの現状を知ってもらいたいです。そのうえで、ひとりひとりが『自分に何ができるか』を考えてもらえればと思います」



あしなが学生募金事務局は、街頭募金活動に代わるものとして、あしなが育英会と協働し、クラウドファンディングによる募金キャンペーン「あしながグローバル100チャレンジ」(https://camp-fire.jp/goodmorning/channels/ashinaga)を実施している。



「クラウドファンディングのホームページでは、自分たちの思いや実際の家庭環境を語るなどして、協力を訴えかけています。多くの学生の声を聞いてもらいたいです」(岡本さん)


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