BTSは個人のアカウントなし 理由はファン“巻き込み”戦略

1

2020年12月02日 11:35  AERA dot.

  • 限定公開( 1 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AERA dot.

写真BTS (GettyImages)
BTS (GettyImages)
「21世紀のビートルズ」(BBC)と称され、世界を席巻する韓国出身の7人組男性グループ「BTS」。アイドルとは一線を画す彼らの魅力を探るべく、本誌はアンケートを実施。5615件もの回答から導き出された答えとは──。

本誌アンケートARMY5615回答から徹底分析! 世界を席巻するBTSの魅力

*  *  *
 国内外のポップカルチャーに詳しい武蔵大学非常勤講師の松谷創一郎さんは時代背景にも着目する。

「K−POPは、日本を中心としたアジアのマーケットが97%を占めていたので、海外進出を前提としたインターネット対応を早くから取り入れてきました。BTSのデビューは13年で、ちょうどSNSとスマホの普及した時期です。SNSは集団性を帯びたファンの強いネットワークを築き上げるのに役立ち、グローバルに広がる波にうまく乗ったと思います」

 さらに、YouTubeにより、音楽は聴くだけでなく、MV(ミュージックビデオ)で見るものに変わった。

「BTSはダンスでも圧巻のパフォーマンスをしますが、彼らに限らず、K−POPのMVはクオリティーが高い。MVは、PVのように単なるプロモーションだけではなくなり、ダンスやフォーメーションで視覚的に惹きつける役割を持つようになっています」(松谷さん)

「Dynamite」のMVは、「24時間の最多視聴YouTubeビデオ」など3部門でギネス世界記録を更新し、11月17日時点で6億回再生を突破した。これまでも、「DNA」が11億回、「Boy With Luv(Feat・ Halsey)」10億回、「FAKE LOVE」8億回超えなど、再生回数を誇る作品が多数ある。

「韓流ぴあ」の露木恵美子編集長は話す。

「BTSのパフォーマンスは、ダイナミックで楽曲によってガラッと変える表現力の高さがある。簡単ではない振り付けを完璧に踊るのに、オフの時は年相応の青年の顔を見せる、そこのギャップに引き込まれる人が多いと思います」

 ドキュメンタリー映画『BRING THE SOUL : THE MOVIE』には、バックステージで、メンバーが体にテーピングを貼って、マッサージを受ける姿が映し出され、ダンスの激しさを物語っている。

 10月10、11日に開催されたオンラインコンサートでは、191カ国・地域で約99万3千人が視聴したことも話題になった。

「コロナ禍、BTSもツアーを中止しました。ただ、BTSは、もともと世界中の音楽ファンをターゲットにし、ネットでの地盤を固めていたので、コロナ禍でも勢いが衰えなかった」(ビルボードジャパンの高嶋直子さん)

 BTSはSNSの発信の仕方にも特徴がある。一般的に、グループの場合は、メンバー一人ずつがSNSのアカウントを持ち、全体のものをスタッフが運営する。だが、BTSは個人のアカウントを設けていない。

「メンバーの中に特に気になる人がいても、BTSの場合はメンバーが参加しているアカウントは一つしかありません。ですので、結果的に自分の推し以外のメンバーにもSNSを通じて触れることができ、よりメンバー全体を好きになるという巻き込み方を展開しています」(同)

 そんなBTSを支えるのが「A.R.M.Y.」(アーミー)の存在だ。A.R.M.Y.とは、BTSファンの愛称。A.R.M.Y.は、メンバーの誕生日になると、お金を出し合って広告を打つ。韓国の金浦空港にポスターを貼り出したり、ニューヨーク・タイムズスクエアの巨大電光掲示板に映像を流したり、世界規模でメンバーの生誕を祝うことでも知られている。

 アンケートの回答にある「紫(ムラサキ)する」とは、「大好きよりもっと気持ちを表現できる言葉」としてVが編み出した。そこで本誌表紙も「紫」してみました。(本誌・岩下明日香)

>>【後編/BTSの日本語楽曲に欠かせない“KM−MARKIT” 独占インタビュー】へ続く

※週刊朝日  2020年12月4日号より抜粋

    ニュース設定