BTSの日本語楽曲に欠かせない“KM−MARKIT” 独占インタビュー

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2020年12月02日 11:35  AERA dot.

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写真タワーレコード渋谷店のBTSコーナー (撮影/写真部・小黒冴夏)
タワーレコード渋谷店のBTSコーナー (撮影/写真部・小黒冴夏)
 今やトップスターに上り詰め、世界中を席巻するBTS。韓国語だけでなく、日本語バージョンや日本オリジナル曲が数多くある。2014年の日本デビュー以来、日本語歌詞やレコーディングディレクションなど楽曲制作に携わっているKM−MARKIT(ケムマキ)さんが、本誌の独占インタビューに応じ、日本語バージョンができるまでの過程や、BTSがトップに上り詰めた背景を語ってくれた。

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 KM−MARKITさんは、BTSの楽曲に携わる経緯をこう振り返る。

「BTSが日本デビューする時のレコード会社から、長く付き合える人をBTSの所属事務所ビッグヒットエンターテインメントが探しているという話を頂いたのがきっかけでした。先方が僕の過去の作品を見てくれたのかはわかりませんが、韓国に来てくれと言われ、14年の日本デビューからBTSの楽曲に関わることになりました」

 日本語バージョンの歌詞を作詞する際、KM−MARKITさんは3人の翻訳家から訳をもらう。

「一人の方の和訳ですと、世界観や言葉のチョイスや受け取り方が偏ってしまうので、3パターンの訳を用意して頂き、リズムやラップの韻に合わせて意訳していきます。彼らが韓国語で5文字の韻をふんだら、日本語でもそれを再現させてあげたいから。それをレコード会社や事務所、メンバーたちが確認して修正を加えます。レコーディングの最中に、メンバーから、『歌いにくいのでちょっと変えてください』というのもよくあり、その場で調整しているんです」

 BTSの楽曲を40曲以上手掛けてきたKM−MARKITさんだが、意外なことに、韓国語を話せない。

「何度も韓国に行っていますけど、いまだにしゃべれません(笑)。僕はだいたい英語で話しかけているのですが、メンバーは『日本語で話しかけてもらったほうがいいです』とか、ちょっと間違えると『ごめ〜ん』と笑いかけてくれて、逆に彼らのほうが日本語で話しかけてくれるんです。レコーディングはどこでも手順は同じですし、僕らは音で通じ合っています」

 メンバーがタイトなスケジュールに追われていたのを垣間見たことがあったという。

「音楽番組の収録を終え、僕らとレコーディング作業をして、さらに次の日にまたテレビの収録があるからと、そのままダンスの練習に行っていました。本当に一体いつ寝るんだ、と驚かされるほど、彼らは頑張っていました。多分、今の彼らの成功の理由はそこにあると思います」

 グループとして過密なスケジュールをこなす傍ら、ソロとして楽曲制作に励むメンバーもいる。RMが15年にミックステープ『RM』をリリースしたのを皮切りに、16年にSUGAがAgust D名義で『Agust D』を、18年にJ−HOPEが『Hope World』を発表した。

「デビュー当初、RMはラッパーのリック・ロスが好きだと言っていて、よく知っているなと思いました。本当に音楽が好きで追求したいという情熱を持っているから、自分のミックステープを出すのは、彼らにとって当たり前のことのようでした。忙しい合間をぬってソロまで作っていたのは驚きましたけど、誰かから提供される音楽を表現するよりも、彼らは自分たちで作りたいという、こだわりと情熱を持っている。ただのアイドルではなく、デビュー当初から彼らは本気で音楽に向き合ってきているんです」

 BTSの「父親」や「第8のメンバー」とも称されるメインプロデューサーのPdogg(ピードッグ)も並外れた人物だという。「血、汗、涙」「I NEED U」「DNA」「FAKE LOVE」「Boy With Luv」など多くのヒット曲を手がけている。

「Pdoggは、新曲のレコーディングで何カ月ぶりかに会うと、姿が変わっていたことがありました。髪の毛はぼさぼさで、ひげも伸びていて、山にこもって修行でもしてきた仙人のように様変わりしていました。そんな身だしなみすら気に掛ける余裕がないほど打ち込む姿を見て、本当に感銘を受けました。もちろんその度に作る音の精度がどんどん上がっていきました。スタッフを含めて、会社ごととても努力家だと思います」

 ちなみに、Pdoggはトンカツが好きで、東京に来た時は「イマカツ六本木本店」を訪れるようだ。(本誌・岩下明日香)

※週刊朝日  2020年12月4日号

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