写真 水野美紀さん |
42歳での電撃結婚。そして伝説の高齢出産から2年。母として、女優として、ますますパワーアップした水野美紀さんの連載「子育て女優の繁忙記『続・余力ゼロで生きてます』」。今回は、少し早いですが今年一年を振り返ります。
【図解:夫がちびにされたこと】* * *
コロナに圧倒されているうちに、もう今年も残すところわずかに。
世界的にも大変な一年になってしまった。来年はどんな一年になるのだろう。
隣では夫がちびに、
「お口あけて、お口あーーん!」
と強要されている。
そして開いた口にティッシュを詰め込まれている。
考えてみたら、去年の今頃なんてコロナのコの字もなかった。
目に見えないこの未知のウイルスにこんなにも生活を掻き乱され、変化を余儀なくされる日々が訪れるなんて誰も想像しなかった。もう、コロナ前の世界には戻れないのだろうか。
隣ではちびと夫が食事中だ。うどんをすする夫にちびは、
「ごー、よん、さん、にー!」
と大声でカウントし、5秒以内に食べきるよう強要している。
現在私は「突然ですが占ってもいいですか」という番組にレギュラーで参加させて頂いている。占い師の方々が、一般の方から芸能人まで様々な人の過去や未来を占う番組で、私はその様子をスタジオで見守る立ち位置。
その番組にレギュラー出演する占い師さん方はみなさん、口を揃えて、この12月と1月、さらに大きな変化がある、と仰る。まさに、今だ。
今は、何百年かに一度の変化の渦中にあるらしいのだ。
具体的に何がどう変化するのさ、と言われてもよく分からないのだけれど、確かにコロナは我々の生活を大きく変化させた。価値観も変わってしまった。
私の仕事も、大きくコロナの影響を受けているし、それを抜きにしても一つの時代の変わり目というか、大きな変化のうねりの中にいるなと、感じる。
良い変化と受け止められるか、悪い変化と感じるかは人それぞれだろうと思う。
隣ではちびが、
「めめ、あけて! めめ、あけて!」
と、目を開けることを強要しながら、指で夫の目玉を突こうとしている。
だけど今年だけじゃなくて、振り返ってみると時代は常に変化している。
私が生きている間だけでも、バブルが来て、バブルが去って、平成が来て、令和が来て。
大きな変化の中で、ベータビデオは淘汰されていった。
MDも、カセットも、近所のコンビニ「新鮮組」も、牛丼太郎もなくなってしまった。
私が中学生の時には、まだ携帯電話も家庭用のパソコンもなかった。
イケアもコストコも日本になかった。
たかだか30年くらいのあいだにものすごい変化じゃないか。その変化に良いとも悪いとも言い難い。
とにかく、日々、変化の中を我々は生きているのだ。そういうことなんじゃないか。
隣では風呂上りの夫が、
「おへそちょーだい! おへそ取って!」
とちびにねだられている。
さあ、また大きな変化が訪れようとしている。
私にできることは何か。私のすべきことは何か。
皿洗い、洗濯、片付け、ゴミ拾い、おせちのネット注文。
あった。目の前にすべきことがいっぱいあった。
そろそろちびを寝かしつけなければいけないし。
バタバタとこうして1日1日を重ねて、あっという間に月日が経っていく。これが私の目の前の現実だ。
おしゃべりも上手になってきたちびと、クリスマスやお正月などのイベントをしっかり楽しんで心に刻んでいこうと思う。
じゃないと、あっという間にするりと通り過ぎてしまう気がする。
明日は商店街の肉屋に、クリスマスチキンの予約を入れにいく。車に轢かれてザックリいったカエルのぬいぐるみも修理に出そう。
隣では夫がちびを寝かしつけようと、
抱っこして背中をトントンしているものの、
ちびも夫の背中をトントンとしており、
夫の方が先に寝落ちしそうになっている。
夫を翻弄するおもしろいちびの姿も、こうして書き記しておかなければ、あれよあれよと通り過ぎて忘れてしまうだろう。
しっかり目に焼き付けてストックしておこう。
未来を憂いている暇はない。
あ! 夫が寝落ちした。
ちび、夫の寝かしつけに成功しました。
■水野美紀(みずのみき)
俳優。ドラマ・映画・舞台で活躍中。<出演情報>日本テレビ系「マネキン・ナイト・フィーバー」が10月8日スタート。レギュラー番組は、フジテレビ系バラエティ「突然ですが占ってもいいですか?」毎週水曜22:00〜、讀賣テレビ「水野美紀の映画生活(シネマライフ)」毎週金曜22:54〜<関西ローカル> http://www.ytv.co.jp/cinemalife/
【書籍『水野美紀の子育て奮闘記 余力ゼロで生きてます。』好評発売中】