【気になる一言】核心に迫る質問にも誠実な対応。レッドブル&アルファタウリ代表が見せた名回答

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2020年12月05日 19:41  AUTOSPORT web

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2020年F1第16戦サクヒールGP金曜会見 左からフランツ・トスト(アルファタウリ・ホンダ チーム代表)、クリスチャン・ホーナー(レッドブル・ホンダ チーム代表)、オットマー・サフナウアー(レーシングポイント チーム代表)
F1第16戦サクヒールGPのサポートレースとして行われているFIA-F2は、今週末がシリーズ最終戦。気になるのは、角田裕毅(カーリン)だ。というのも、最終戦で行われる予定になっているふたつのレースが始まる前の段階で、角田はまだF1のレースに参加するために必要なスーパーライセンスの発給を申請できるポイント数に達していないからだ。

 角田の現在のスーパーライセンスポイントは22点。スーパーライセンスの発給を申請するために必要なポイントは40ポイント。つまり、18ポイント以上が必要となる。FIA-F2は、シリーズランキング1〜3位に40ポイント、4位に30ポイント、5位に20ポイントが付与されるため、角田は最終戦をランキング5位以上で終えなければならない。

 最終戦のレース前の時点で、角田のランキングは5位。このままの順位でシーズンが終われば、角田のスーパーライセンスポイントは42点となり、スーパーライセンスの発給を申請することができる。

 しかし、ランキング6位以下が僅差で続いているため、今週末の2つのレースで6位以下に滑り落ちる可能性がないわけではない。

 そこで、金曜日の会見に出席していたレッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表と、アルファタウリ・ホンダのフランツ・トスト代表に、「もし、角田が6位以下になった場合のプランBは用意しているのか?」という質問がとんだ。

 まだFIA-F2のレースが行われる前だけに、本音はしゃべりたくない。かといって嘘はつけないし、「答えられない」と言えば、逆に意味深になってしまう。しかし、百戦錬磨のホーナーとトストは、この難しい質問の回答を拒絶することなく、上手にかわした。

 まず、トストの回答だ。

「我々はプランBを持っている。来年のメルボルンのスターティンググリッドにふたりのコンペティティブなドライバーが並ぶことは間違いない」

 トストの回答が素晴らしいのは、プランBを持っているが、それが何なのかは明かさなかったこと。プランBがないと言ったら、嘘になる。また、角田以外の選択肢があるといったら、角田を傷つける。この回答なら、プランBはFIA-F2で6位以下になった場合の秘策のことを指しているようにも思える。

 さらなる名回答を行ったのが、ホーナーだ。ホーナーはまず質問者に逆質問をして、笑いをとった。

「君の口ひげに見とれてしまっていたよ。でも、今日はもう12月4日だよ。モベンバーはもう終わっているよね」

 モベンバーとは、男性特有のガンなどの撲滅と健康支援を、男性を象徴する口ひげでアピールする運動のこと。それが11月に行われるため、11月の『November』とヒゲを意味するスラングの『Mo』を掛け合わせてモベンバーと呼んでいる。この運動に賛同する男性は11月に口ひげを生やすのだが、それは12月に剃ることになっている。ホーナーは質問者が11月から口ひげをたくわえ、それを12月になっても剃らないことに目をつけ、指摘したわけだ。そして、こう続けた。

「で、なんだっけ、質問は? ああ、あれか。でも、今日の予選で彼はポールポジションだよ。いい仕事をしているじゃないか。フランツがしっかりと計画しているはずだよ」

 質問に対して嘘をつくなど不誠実な対応をとることなく、角田に対しても余計なひと言を口にしてプレッシャーを与えたり、傷つけることなく、それでいて、しっかりと質問者とキャッチボールをする見事な受け答えだった。

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