WorldRX:FIAが2022年導入予定の電動キット『RX1e』の詳細を発表。約680PSを発生

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2020年12月07日 17:01  AUTOSPORT web

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FIAより2022年からWorldRX世界ラリークロス選手権で採用される『World RX1e』と呼ばれる電動パワーユニットの技術的詳細が明らかにされた
12月4日付で、FIAより2022年からWorldRX世界ラリークロス選手権で採用される『World RX1e』と呼ばれる電動パワーユニットの技術的詳細が明らかにされ、シリーズ全体の電動化に向けた青写真が示されるとともに、現在のスーパーカー・クラスは“RX1”に改称され、ステップアップの『RX2e』や現Super1600クラスの『RX3』を含め、10月にも決定していた各クラスの住み分けがより明確化された。

 世界選手権に向け電動化キットの供給権を獲得していたオーストリアのKreisel Electric(クライゼル・エレクトリック)社は、改めてその供給を担当する新生『RX1e』クラスに向けた電動キットの詳細を、FIAを通じてアナウンスした。

 その内容は、前後アクスルに250kWを発生するモーターを1基ずつ備え、2つのインバーターと革新的な冷却システムを備えた52.65kWhのバッテリーを搭載する、というもの。

 この電動パワーユニットはシステム全体で500kW(約680馬力)を発生し、キット化されたユニット全体は既存のWorldRXスーパーカーの内燃機関をコンバートして後付けすることも可能なら、まったく新しいシャシーに組み込むことも可能となっている。

 電動キットの価格は30万ユーロ(約3800万円)となり、10万ユーロ(約1260万円)の追加コストで4年間の技術サポートが得られる。そのコストは、現在のスーパーカー用ICEを同じ期間走らせるコストより低く抑えられているという。

 そんな『RX1e』のパフォーマンスレベルは既存のICE(内燃機関)RXスーパーカーを上回り、電動バッテリーやモーター類で重量が増加するにも関わらず、パワーとトルクの増大分で大幅に性能向上を果たす。

 高い性能の源となる52.65kWhのバッテリーは独自の安全機能を備え、重量配分を考慮した特別設計とされ、その重量は300Kg。フロントアクスルとリヤアクスルで独立したモーターはカーボンラップされ、プリロードオプション付きの高性能トランスミッションとLSDを備えている。

 これらのシステムは同じく入札で供給権を得たGCKエネルギーと協業で開発され、プロトタイプの『World RX1e』車両はすでにクライゼルによってテスト走行が実施され、印象的な結果が得られているという。

■2021年からは先行して『FIA RX2e』が開幕
「eWorldRXキットの開発が順調に進んでおり、スケジュールどおりに進行していることを確認でき、とてもうれしく思う」と語るのは、クライゼル・エレクトリック社のマネージングディレクターを務めるフィリップ・クライゼル。

「COVID-19の危機により、電動化クラスのシリーズ本格導入が2022年へ延期されたにもかかわらず、パフォーマンスキットの設計を完成させ、こうしてミュールカーでの本格テストを開始することができた。加えて、この画期的なプロジェクトを可能にしたFIAとの卓越したコラボレーションの成果も強調したいと思っている」と語ったクライゼル。

 2020年4月のWMSC(世界モータースポーツ評議会)で実施された電子投票の結果により、COVID-19パンデミックの影響を含めて、このWorldRX本格電動化の動きは当初の2021年から1年延期されることが決まっていた。

 FIAのオフロード・コミッション代表を務めるガルファシュ・オラーも「そう、ご存知のとおりCOVID-19パンデミックによりFIA世界ラリークロス選手権の電化導入は当初の計画より遅れることとなった。にもかかわらず、我々はロードカーをベースとし、巨大なパワーとコスト管理を両立したキットの開発に成功し、新たな電化の未来に取り組んでいる」と自信をのぞかせる。

「クライゼルやGCKと力を合わせ、今後もチームが高いコンペティションレベルを誇る電動レーシングシリーズに参加できるよう、持続可能なパフォーマンスパッケージを開発していきたい。ラリークロスでのスペクタクルなレース展開に慣れているファンは、この新たなRX1eカーの加速力にワクワクするだろうね!」

 合わせて、史上初の“FIA格式電動ラリークロス選手権”となるFIA RX2eは、2021年に先行してシリーズが開幕し、スペインの電動化技術企業であるQEVテクノロジーズ製のキットを搭載したワンメイクマシンで争われる。

 スウェーデンの名門コンストラクターであるオルスバーグMSE製の車体を持つRX2e車両はすでに精力的なテストを重ねており、来季はWorldRXのイベントと併催で全6戦を予定。その暫定カレンダーも、12月16日のWMSCで協議される予定となっている。

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