マヂカルラブリーの『M-1』で優勝したネタに、ナイツ塙「俺も本当はやりたい」サンド富澤「怖くてできない」

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2020年12月24日 19:12  Techinsight Japan

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塙宣之と富澤たけし、漫才の定義についてそれぞれ持論を展開
日本一の若手漫才師を決める『M-1グランプリ2020』で優勝したマヂカルラブリーのネタに対して、視聴者による「漫才ではなくコントではないか?」という声が聞かれた。審査員の耳にも入っているようで、ナイツ・塙宣之やサンドウィッチマン・富澤たけし、落語家の立川志らくなどが「漫才」について持論を述べている。また『M-1』を楽しみにしているファンほどこだわりがあるようだ。

12月20日にテレビ朝日系で生放送された『M-1グランプリ2020』決勝のファーストラウンドで、マヂカルラブリーが披露した「フレンチレストランでのマナー」を題材にしたネタについて、審査員の上沼恵美子は「バカバカしくて面白い。バカバカしさが突き抜けるというのはもう芸術や」、中川家・礼二は「野田クリスタルにしかできへん、あのバカバカしいボケ。意外性しかなかった」と評したものである。

ファーストラウンドのネタはボケ担当の野田クリスタルが「デモン」という悪魔のようなキャラクターをしゃべりながら演じたが、上位3組に勝ち残り最終決戦で披露した「吊革につかまりたくない」というネタでは野田がほとんどしゃべらずに電車の揺れに耐える男を演じ、しまいには床に転げてのたうち回った。

最終決戦でマヂカルラブリーに投票した立川志らくは「個人的に一番好きなのは、おいでやすこが」だったと前置きしたうえで「あれだけしゃべらずに笑いを取るって、漫才を超えた喜劇なんですよね。だから一番笑えたマヂカルラブリーに入れました」と話しており、サンドウィッチマン・富澤たけしは「転がってて優勝できるんだったらすごいですよ」、中川家・礼二は「ああいうネタですけど 漫才をやり続けてください」とコメントした。

そんななか、見取り図に投票したオール巨人は「しゃべくり漫才」に対してマヂカルラブリーのネタを「自分の世界で行く」漫才とたとえ「非常に楽しく見ましたけど、僕は漫才師やからしゃべりを重点的に見てしまいました」という。オール巨人の視点からすると「しゃべくり漫才」とそうでない漫才に映ったのだろう。

ナイツ・塙宣之は『M-1グランプリ2020』が終わって、YouTube「ナイツ塙の自由時間」チャンネルに動画『M-1審査員の本音を語ります…【ナイツ塙】』をアップした。そのなかでマヂカルラブリーのネタについて「漫才の定義なんかない。めちゃくちゃ面白ければ全然いいと思う」と話している。

塙は野田クリスタルのようなボケを「俺も本当はやりたい」と明かしており、自分も過去にわけのわからないバカバカしいネタを見せて怒られたことがあるから躊躇してしまうという。かつてナイツが『M-1』で岡村孝子のヒット曲『夢をあきらめないで』を延々と歌うネタを披露した際に、会場は大爆笑だったにもかかわらず落とされてしまい、審査員から「だって漫才じゃないじゃん」と言われたそうだ。

マヂカルラブリーは、そんな自分に改めて「何でもいいじゃん面白けりゃ」と思わせてくれたというナイツ塙。このたびの『M-1』最終決戦では見取り図に票を投じていたが、野田のボケだけでなく村上のツッコミも「ネタの線を太くしている」と解説して「そういうところで、マヂカルラブリーは文句なしの優勝だと思う」と納得していた。

サンドウィッチマン・富澤たけしは22日にブログで、マヂカルラブリーが最終決戦で見せたネタを「ほぼ喋らずに転がってるネタをやる勇気は凄い。怖くて自分ならできません。一歩間違えば大惨事になる可能性もあるネタです」と評しており、ナイツ塙が明かした「俺も本当はやりたい」けどやれない心境と似ている。

また富澤は「僕らの漫才もよく『コントじゃん』という方もいます」とサンドウィッチマンを引き合いに出して、マヂカルラブリーに対する「漫才ではなくコントではないか?」論争に触れている。漫才について調べ「ネタ中に『何をやっても許される』つまり幅は広いわけですね」と説き、さらに『M-1グランプリ』の参加規定、審査基準は「とにかく面白い漫才」であることから「『点数をお願いします』と言われた以上、審査員は漫才として審査します」とマヂカルラブリーのネタが「漫才」である理由を並べた。そのうえで「変化と進化を止めないからM-1は、漫才は面白い」と主張しつつ、最後に「あ、これから転がる漫才が増えたらどうしよう!?」とオチも忘れていない。

「一番笑えたマヂカルラブリーに入れました」という立川志らくは21日にTwitterで「落語もそうだが『形』にこだわりすぎると崩壊が始まる」とツイートしており、師匠・立川談志さんが古典落語について「江戸の風を感じるものが落語だ」と話した言葉を思い出し、たとえ落語家の格好をしていても「江戸の風」(本質)を感じねば、それは落語もどきなのだという。「漫才も同じ。形にこだわって本質を語るのを忘れている。漫才は何の風なのか」と投げかけた。

2016年、2017年と『M-1』の審査員を務めたことがある博多大吉(博多華丸・大吉)は、23日放送のラジオ番組『たまむすび』(TBSラジオ)でマヂカルラブリーのネタについて「漫才だと思いますよ」と言い切った。漫才には定義がなく演者が「漫才です」と自己申告すれば漫才であり、「それをお客さんが観て、漫才かコントかを決めるだけ」と話していた。

博多大吉が「お客さんが観て決めるだけ」というように、Twitter上では視聴者による「漫才とは?」論争が盛り上がっている。

マヂカルラブリーのネタを「漫才ではない」という意見に対して、「しゃべくり漫才がメインの関西勢の意見でしょ。昔から関東の漫才はコントまじりの漫才ぞ!」、「サンドウィッチマンやNON STYLEもネタにコントを取り入れるが、漫才ではないというのか?」などの声がある一方で、マヂカルラブリーは好きだが「アレは漫才やないよなぁ。キングオブコント寄りでは?と思った。漫才とコントの定義が崩壊してるのかな」と複雑な心境を吐露する人もいた。なかには「正統派の漫才が好きでコント漫才はコントだと思う。でも別に面白かったから良いじゃん。コント漫才は認めてるくせにマヂカルラブリーは漫才なのか?って意味わかんなくない? みんなサンドウィッチマン好きでしょ」という声も見受けられた。

そうなるとオール巨人が「しゃべりを重点的に見て」選んだ見取り図が「正統派漫才」で、マヂカルラブリーやサンドウィッチマンは「コント漫才」になるのだろうか。ただ今回のマヂカルラブリーに限ってはサンド富澤が「ほぼ喋らずに転がってるネタをやる勇気は凄い」と表現したように、野田クリスタルがほとんどしゃべらなかったことが注目されて論争に火がついたのかもしれない。

画像2枚目は『nodagames 公式 2020年12月21日付Instagram「ジム子です マヂカルラブリーM-1優勝」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)
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