データで振り返る!メジャー日本人選手の2020年 〜秋山翔吾 編〜

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2020年12月26日 17:11  ベースボールキング

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レッズの秋山翔吾
◆ 日本人未踏の地でデビュー

 メジャー30球団で唯一、日本人選手が所属したことがなかったシンシナティ・レッズ。昨年オフ、秋山翔吾はそのレッズに加入した。

 西武時代は安打製造機と呼ばれ、3年総額2100万ドル(約23億円)という大型契約で渡米。リードオフマンとして期待されたが、開幕戦はまさかのスタメン落ち。それでも代打で出場すると、初打席で初安打を放ち、初打点もマークした。

 その後は、メジャーの投手相手に苦しみ、8月下旬には打率1割8分台まで低迷。シーズン終盤に盛り返したものの、最終的には54試合に出場して打率.245、本塁打はゼロで9打点、7盗塁という成績で1年目を終えた。

 ただでさえ慣れないメジャー1年目。コロナ禍が追い打ちをかけたが、9月に月間打率.317をマークしたのはさすが。加えて、シーズン出塁率を.357まで伸ばしたのは、来季に向けて大きなアピールになっただろう。


◆ 近年注目「バレル率」

 データ面で最も特徴的だったのは、打球方向別の成績だ。

 左中右の3方向に打球が飛んだ時の打率を比較すると、右方向に打球が飛んだ時、つまり引っ張った時は.238と打ち取られることが多かった。

 ところがセンター方向だと.303、さらに左方向に飛んだ時は.382と高打率を残している。パワー面で劣る秋山がメジャーで成功を収めるためには、いかに強い当たりを左方向に打てるかがカギとなる。


 秋山が来季、打率をさらに向上させるためには、打者有利のカウントでしっかり結果を残す必要があるだろう。

 投手有利のストライクが先行するカウントでは.246で、メジャー平均の.210を上回っていたが、ボール先行のいわゆるバッティングカウントで打率.128と抑え込まれた。ちなみに、平行カウントでは.327と3割を超えている。


 最後に触れておきたいのは「バレル率」について。

 バレルというのは近年耳にする機会が増えた新たな指標で、打球の優劣を判断するのに用いられる。具体的にいうと、打球速度と打球角度の組み合わせで、安打になりやすい当たりを“バレル”としている。すなわち、バレル率とは「全打球のうち、いい速度、かついい角度で飛んだ打球の割合」ということになる。

 秋山の今季のバレル率を見てみると、わずか0.5%。全183本の打球のうち、「バレル」は1本だけだった。これは、今季180打席以上の157打者中ワースト3位の数字だ。

 長距離打者ではないが、メジャーで生き残るためには単打を積み重ねるだけでは厳しいだろう。本塁打はなくとも、二塁打、三塁打の増加が来季への課題となる。


文=八木遊(やぎ・ゆう)


◆ 秋山翔吾
ポジション:外野手
投打:右投左打
生年月日:1988年4月16日(32歳)
身長・体重:183センチ・86キロ
出身地:神奈川県

<今季成績>
出場:54試合
打率:.245(155-38)
出塁率:.357
長打率:.297
OPS:.654
本塁打:0本
打点:9点
得点:16点
盗塁:7個

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