御殿場市の「一見さんお断り」ポスターに批判殺到 店には「差別だ!」と抗議のはがきも

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2021年01月18日 18:15  AERA dot.

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写真14日に変更された「一見さんお断り」のポスター(画像は御殿場市のHPより)
14日に変更された「一見さんお断り」のポスター(画像は御殿場市のHPより)
 静岡県御殿場市が13日までに飲食店に配布した「一見(いちげん)さんお断り」のポスターが波紋を呼んでいる。文面が8日に緊急事態宣言が発令された一都三県からの客を指していると受け取られ、市には否定的な意見が多く寄せられた。そうした思わぬ反響や、緊急事態対象地域の拡大を受け、その後内容は変更されたが、ポスターを貼った飲食店には「差別だ」などと抗議する内容のはがきが届いているという。

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 ただ、首都圏の飲食店でも言い回しの違いこそあれ、一見の客を断っている店はある。その店主たちは、過剰な「御殿場叩き」に複雑な思いを吐露する。

*  *  *
 御殿場市が当初作成したポスターには、一都三県の緊急事態宣言に触れたうえで、店主と御殿場市の連名の形で《主に該当地域からお越しのお客様等、一見さんお断りとさせていただいております。緊急事態宣言が解除された折には、皆様のお越しを、心よりお待ちしております》と書かれていた。すでに市内約200店の飲食店に配布された。

 市によると、昨年8月、御殿場駅そばの飲食店街にあるキャバクラで新型コロナのクラスターが発生。感染対策が不十分だったうえに、来店客の名簿も作成していなかったため、店に出入りしていた客を追いきれなかった。この一件を受け、周辺の店主たちから、特に一見の客からの感染を怖がる声が寄せられるようになったという。

「お店の方も、感染者の来店やクラスターの発生を怖がる一方で、自分たちから『お断り』の貼り紙を出すと、お客さんとのトラブルになりかねないと悩んでいました。ならば、市の名前があれば貼りだしやすいだろうと考え、貼り紙を作成したという経緯です。今回の緊急事態宣言を受け、飲食店には感染対策の徹底をあらためて要請するとともに、もし自分たちの感染対策だけでは不安だと感じたらこちらを使ってください、という趣旨で配布しました。市から店に対し、掲示を促すものではありません。一都三県の方たちだけを指したつもりもありませんでした」(担当者)

 これに対し、首都圏の住民を名乗る人たちから「一都三県はみんな感染者だと思っているのか」「差別だ」「二度と御殿場には行かない」「一見さんという表現は不適切」といった否定的な意見が、18日までに市に数十件寄せられた。実際に御殿場に来て店に入れなかった人からの抗議はないが、駅近くの飲食店には、「差別だ」と抗議する内容のはがきが届いたという。そうした反響や緊急事態宣言の対象地域が拡大したことを受け、市では14日に対象地域を示さない内容に作り変えた。

 貼り紙を掲示した御殿場市内の中華料理店の女性店員は、苦しい胸中を語る。

「今の段階で店に直接の苦情はありません。ただ、インターネットのようですが、うちの店が『なんであんなものを貼るんだ』とかいろいろ言われていると、常連さんから聞いて怖くなりました。コロナを何とか防いで、お客さまとお店を守りたい。ただ、その一心で決断したのですが……」

 店側の心情を差し置いて、「差別」という言葉が一人歩きしているようにも見える。だが、そもそも一都三県の飲食店でも、言い回しは工夫しているが、一見の客を断っている店は昨年からある。店主らの目に、御殿場の事態はどう映るのか。

 東京の東部にあるバーは、昨年から《会員の方に限り》との看板を出して営業している。厳密に会員制にしているわけではなく、一見さんはお断りという意味合いであえて出したという。店主はこう話す。

「去年、何軒かはしごをしてから来店された一見さんのグループがいて、酔って声が大きいので、静かに飲んでいる常連さんで嫌がる方がいました。店の売り上げがかなり落ちており、常連さんが来なくなればうちは終わり。いろいろ悩んだ末に、この看板を出しました」

 そのうえで、御殿場の店主たちを思いやる。

「あそこは観光地ですよね。本当は一見さんの観光客にどんどん来てほしいでしょうから、どの店も悩み抜いて貼り紙を出すか判断していると思いますよ。市だって、お金を落としてくれる観光客を差別したいはずはないでしょう。これを差別というなら、うちの店もお客さんを差別しているということになるんでしょうか。このつらい状況でそんなことを言われたら、本気で心が折れますよ」

 一見の客が来ないように、《完全予約制とさせていただきます》との貼り紙を昨年から出している、都内のスナックのママも本音を漏らす。

「『お断り』という言葉が強いから、差別されたと思うんですかね。この不況で、どこの店に、そんな上から目線をお客さんに向ける余裕があるというのか、あるわけないでしょう。きついこと言われて大変だけど、頑張ろうねって言ってあげたいよね」

 コロナ後に、また一見さんが来てくれるか不安を抱えながら掲示している店もあるだろう。言葉は強いかもしれないが、それが店の「真意」ではないということも覚えておきたい。(AERAdot.編集部)

このニュースに関するつぶやき

  • 正しい事は信念をもって、淡々とバカの言う事は無視すればイイだけ。電話やハガキだと年寄ね。京都じゃ「一見さんお断り」珍しくないから、京都観光に行かないんだよね。
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  • 差別じゃなくて区別。
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