抗アンドロゲン治療の早期開始によってPCOSの女性の自然妊娠可能性は改善する

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2021年01月25日 11:01  妊活・卵活ニュース

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PCOSの治療開始タイミング
ウプサラ大学(スウェーデン)の研究チームは、「Human Reproduction」にて、アンドロゲン過剰症である多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)では、思春期早期(18歳以下)に抗アンドロゲン治療を開始することにより、自然妊娠可能性が高まると発表した。

PCOSの女性において、抗アンドロゲン治療の早期開始と自然妊娠可能性の改善には関連性が認められ、思春期の抗アンドロゲン治療には、PCOSの女性の自然妊娠可能性を改善する効果があるという。

PCOSと特徴的な症状
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は内分泌障害であり、妊娠適齢期の女性に影響を与える。アンドロゲン過剰症(アンドロゲンの過剰分泌)や月経不順は、PCOSの特徴的な症状であり、思春期前期に現れる。

先行研究では、25歳以下でPCOSの診断を受けた場合、25歳以上での診断に比べ、PCOSとアンドロゲン過剰症および月経不順における関連性が高くなると報告された。

PCOSに対する抗アンドロゲン治療効果と治療開始タイミング
研究チームは、スウェーデンのナショナルレジストリ5つを用いて、1987年から1996年の間にPCOSの診断を受けた女性15106人、PCOSでない女性73786人を対象に、PCOSに対する抗アンドロゲン治療効果を検証した。なお、追跡調査は、被験者が18歳を迎えるまで、あるいは2015年末まで、最長10年間に亘って実施された。

PCOSでない女性と比べ、アンドロゲン値が正常状態であるPCOSの女性における自然妊娠の出生率は11%、高アンドロゲン状態(アンドロゲン過剰産出状態)であるPCOSの女性では40%低下した。また、深刻なアンドロゲン過剰症が認められたPCOSでは、アンドロゲン値が正常状態より出生率は低くなった。

今回、アンドロゲン過剰症の症状が認められたPCOSの女性に対して抗アンドロゲン治療を行ったところ、抗アンドロゲン薬と低用量経口避妊薬(OC)の併用により、アンドロゲン過剰症の症状は軽くなった。

合わせて、研究チームは、Kaplan-Meier(カプランマイヤー法:累積イベント割合を計算する方法)を用いて、抗アンドロゲン治療の開始タイミングと治療効果を比較した。抗アンドロゲン治療を思春期早期(18歳以下)に開始した場合、思春期以降(18歳以上)の治療開始と比べ、第一子の自然妊娠可能性は高まることが認められた。

(画像はHuman Reproductionより)

Human Reproduction

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