俳優陣も驚嘆した“渋谷完全再現セット”の裏側 VOD時代に広がる新たな表現の可能性とは?

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2021年01月26日 08:40  ORICON NEWS

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写真栃木県足利市に建設された大規模スタジオ©ASHIKAGA SCRAMBLE CITY STUDIO
栃木県足利市に建設された大規模スタジオ©ASHIKAGA SCRAMBLE CITY STUDIO
 Netflixで配信され世界中で人気を博している『今際の国のアリス』や、映画『サイレント・トーキョー』、さらには乃木坂46のMVにも使用されており、「こんなセット見たことない」と話題になった足利スクランブルシティスタジオ。1.5万平方メートルの敷地に繁華街のスクランブル交差点を再現した実用サイズの撮影スタジオで、改札や道路標識といった外見だけでなく、駅内のトイレや切り替わる信号、道路のゴミなどを精巧に再現。CG技術が発達している現代において、あえて実物にこだわったセット制作の裏側や、セットがもたらす映像作品への効果について聞いた。

【フォトギャラリー】落書きにシミ、劣化感なども完全再現した日本最大級のセットの全貌

■山崎賢人「渋谷じゃん!」 実際の業者に道路工事まで依頼したスクランブル交差点

 渋谷スクランブル交差点としてスタジオを利用している『今際の国のアリス』で主演を務める俳優の山崎賢人は、「『渋谷だ! 渋谷じゃん!』って思いました」と驚きを隠せず、共演する町田啓太は「規模感に本当に圧倒的され、そしてあの中でお芝居できたことに興奮しました」とコメントするほど、同スタジオは大規模に、そして精巧にセットが作られている。

 このセットの制作に携わった株式会社ヌーヴェルヴァーグの担当者に話を聞くと、建設されたのは2019年。もともとは中国の映画が建設のきっかけだったが、『今際の国のアリス』、『サイレント・トーキョー』が同セットに出資。大規模なスクランブル交差点の建設が実現した。

 建設に向けて重要なポイントだったのが“場所”だったそう。

「広大な敷地の確保や、需要の高い首都圏からの距離もふまえ、足利市とも協議を重ねて現在の場所に決定しました。」

 これだけ大きなセット建設には市の協力が不可欠。工事から撮影までの騒音にも対応する必要があるため、場所選びは慎重に行った。

「その後、設計図面の段階で交差点を敷地に収めるために測量と調整を繰り返し、試行錯誤を続けて施工に入ります。通常は図面をもとに映画セットの製作を行う方々が建物を建てていきますが、今回のセットでは交通インフラに携わる会社様にご協力を頂き、実際の道路工事が行われた事が大きな特徴です。」

■破損や落書き…人為的な劣化を違和感なく表現 セットは作品に応じてアップデートも 

 『今際の国のアリス』のメイキングを見ると、改札や公衆トイレ、交番、広場に展示されている元東急5000系の車両にいたるまで、細部にこだわって制作されているのが分かる。

「駅の改札やトイレ・道路の汚れなど、実物の再現性にこだわって制作しました。綺麗な素材に、あえて汚しを施す作業をしています。塗料を使うことが多いですが、実際に飲み物をこぼしたり、乱暴に扱って意図的に破損させたりすることもあります。また、時間の経過とともに風雨や排ガスで色あせていく自然な劣化と、多くの人々が行き交うゆえに発生する破損や落書きといった人為的な劣化を違和感なく表現しています」

 セットの増築やアップデートも作品に応じて行われている。一番最初の撮影の際には、着工から撮影開始までは概ね3カ月程度かかったが、大規模なセットがゆえに一部を作りながら撮影を行っていたそう。その後、作品を撮影するたびに少しずつセットが追加されて今の状態になっている。

■すべてをCGでという流れには懐疑的…セット活用したVODの可能性「新しい映像作品を発表できるきっかけに」

 CG技術が発達している現代で、これほど大規模なセットを建設した理由は何だろうか。

「すべてをCGにするのではなく、実際のセットと併用することでよりダイナミックな映像表現が可能となりました。時間をかけて撮影をする際に人や車の流れを止めるわけにはいかないので、それを可能にするセットが必要でした。例えば実際に車を走らせる、爆破をする、時代を変えるなどの撮影が可能となることで、CGにはない絶対的な臨場感が表現できると思います。またエキストラも大人数を入れられるので、規模の大きな撮影にも対応ができ、作品のクオリティも上げられると考えます」

 『サイレント・トーキョー』では観光バス10台を出して、1000人以上のエキストラが何日もこのセットに集まった。監督も「このオープンセットがなかったら映画はできなかった」とコメントを残している。

 当初は予定していた作品の撮影のためだけのセットであり、撮影終了時に取り壊す予定だった。しかし、各制作会社からの要望や足利市との協議の中で、「この財産を是非映像制作の今後の可能性に役立てたい」との考えが現在のスタジオとしての運営に繋がっているという。

 最後にセットを活用したメディアの可能性について聞くと、映画だけでなく、近年登録者が急増しているVODへの可能性を示唆した。

 「日本の映像配信サービスでもオリジナル作品の制作が盛んになり、母数増加に伴い撮影の需要が高くなることは想定されます。実際にNetflixの作品も当スタジオで撮影が行われました。また、VODは地上波などに比べると表現の自由度が高い媒体だと思いますので、これまでは映像化が不可能と思われていた作品や、全く新しい映像作品を多く発表できるきっかけになると考えています。制作者にとっても、新しいことにチャレンジできる場があることは嬉しい状況です」

 近年テレビなどの予算は縮小している中で、各VODでのオリジナルコンテンツの制作にはかなりの予算が投じられることも多い。特にNetflixは世界規模で配信していることもあり、『今際の国のアリス』は全8話というドラマ仕立ての作品に惜しむことなく予算をかけられている。同作品の監督である佐藤信介は「Netflixでやれるならこの作品は躊躇なく作ることができるという確信がありました」と述べている。これからも、このような大規模なセットを駆使した、今までに見たことのない映像作品が生まれることを期待したい。

このニュースに関するつぶやき

  • なんか、こういうロケしにくい場所のアセットみたいな感じでいくつか作るのも面白いかもね。現代劇版映画村みたいになるかもよ。
    • イイネ!0
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  • ハロウィンもサッカー応援もここでやれ。テレビカメラがこっちだけを映す宣言すれば、バカも釣られてこっちに来るよ。
    • イイネ!24
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