リスク覚悟のプッシュも、残り8分のパンクに泣いたバン・デル・ザンデ/IMSAデイトナ24時間

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2021年02月01日 12:01  AUTOSPORT web

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レース終盤に2度、右リヤタイヤのパンクに見舞われた01号車キャデラックDPi-V.R。写真はスタートから21時間30分過ぎに起きた1回目のパンクでの緊急ピットインの様子
2021年シーズン開幕戦となったIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第1戦デイトナ24時間レースにキャデラック・チップ・ガナッシ・レーシングから参戦したランガー・バン・デル・ザンデは、タイヤのパンクによって3連覇の夢が潰えるその瞬間まで、最後のスティントは勝利のため全力を尽くしたと語った。

 バン・デル・ザンデがアンカーを務めた01号車キャデラックDPi-V.Rはレース終盤、コニカミノルタ・アキュラARX-05(ウェイン・テイラー・レーシング)の10号車アキュラARX-05と激しい優勝争いを繰り広げる。

 しかし、オランダ人がドライブするキャデラックはフィニッシュまで残り8分となったところで右タイヤがバースト。2番手走行中でありながら緊急ピットインを余儀なくされ、5位でチェッカーを受けることとなった。

 その01号車キャデラックの猛追を受けていた10号車アキュラは最終スティントの開始時に7秒近いギャップを築き、当初はこの差を維持していた。だが、バックマーカーに引っかかるなどしてわずか数分でその差は1秒未満となり、優勝を争う2台はテール・トゥ・ノーズの状態でレース最終盤を迎えていた。

「戦略的には(チップ・ガナッシ・レーシングが)いくつかの動きをみせ、僕らは勝利のために戦うことができていた」とバン・デル・ザンデはSportscar365に語った。

「最後の2時間は、それまでの22時間ではとらなかったあらゆるリスクを犯しながらトラフィックをかき分けていったんだ」

「マシンにはいくつかの問題があった。アンダーステアが強すぎて、何かが完全には正しくなかった。そこでタイヤの空気圧を少し調整してバランスを改善させた」

「最後の2スティントはクルマが少し生き返り、予選のようなラップタイムを重ねてギャップを縮めていったんだ。主にトラフィックのなかで、大きく、大きく前進することができた」

「ストレートではアキュラが速すぎたが、コーナーでは僕らの方がすこしよかった。もし可能性があれば、僕は間違いなく仕掛けただろう」

「実際に1度だけチャンスがあった。だが、それはうまくいかなかった。残り数分に2回目のチャンスが訪れることを期待して待っていたのだけど……これが現実だ」

 バン・デル・ザンデにとって今回、倒すべき相手となったのは昨シーズンまで所属し、ともにデイトナでの連覇を飾った古巣だった。そのチームを最後まで追い詰めた彼は、他のチームのクルマと同じように扱ったと主張している。

「今の10号車(アキュラ)を含め、目の前にいるすべてのマシンを打ち負かしたい」と述べたバン・デル・ザンデ。

「僕が今いる場所はとても居心地がいいんだ。それが一番大事な部分だと思う」

「古巣相手にリベンジをしたいと考えていたりはしない。それはまったくないよ。目の前にいるクルマに勝つために全力を尽くしていた。その相手がたまたま10号車だっただけだ」

「僕は彼らがどのように動き、レースをどのように見ているのかを知っている。そのため、僕はそれに対して少し試してみることができた」

「レースに勝ったのは彼らだから、僕が『彼らのクルマを追い抜けた』と言うのは良くない。彼らは良い仕事をした。おめでとう」

「でももし、もう一度チャンスがあったなら、僕はオーバーテイクするために全力を尽くしただろう」

■トップチェッカーを受けたアルバカーキ「彼は僕よりも速かった」

 2021年のロレックス24ウイナーとなったフィリペ・アルバカーキは、レース終盤のバン・デル・ザンデのペースが自分よりも速かったことを認め、激しいトップ争いのなかで「つねにミラーをみていた」と述べた。

「僕たちが最速ではないことは分かっていた」と2020年のWEC世界耐久選手権LMP2チャンピオンは語った。

「トップに立ってディフェンスをして、片目でトラックを、もう片方の目でミラーを確認しながら全力でプッシュしていた」

「ランガーが背後に戻ってきたとき、僕は『彼のタイヤを使わせてグリップ力を低下させる必要がある』と考えていたんだ」

「自分のドライビングスタイルについて、いつも考えていた。もちろんそれはプッシュすることだけど、同時にフィニッシュしなければならない、ともつねに考えている」

「(ミラー越しに)彼がバスストップ(・シケイン)をどのように通過したのかが見えた。誰もがそれを見たと思うが、それがランガーだった。素晴らしいドライバーだ。彼はとても速く、彼を置き去りにしたくないと思ったよ」

「本当に素晴らしいレースだった。皆におめでとうと言いたいね」

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