次のスーパースター候補を求めるNASCAR。“ポストJJ”はエリオットかラーソンか

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2021年02月01日 15:21  AUTOSPORT web

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2016年にルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得し、昨年24歳でチャンピオンとなったチェイス・エリオット
NASCARカップシリーズでは、ジミー・ジョンソンが今季からインディカーシリーズに転身(ロード戦のみ出場)。カップ戦のチャンピオンに7回(過去にはふたり)も輝いているドライバーがいなくなった。つまり、絶対的なチャンピオン候補が不在。彼に代わってシリーズを背負っていくスーパースターは誰になるのか?

 もっとも近い位置にいるのはカイル・ブッシュ(ジョー・ギブス・レーシング=JGR/トヨタ)だろう。タイトルを2015年と2019年に2回獲っており、才能、実績ともにトップであることは疑いようもない。王座に複数回就いている現役ドライバーは、実はいま彼ひとり。年齢も35歳。あと10年ぐらいは現役を続けられそうだ。

 ヒールキャラクターで人気はいまひとつだったが、近ごろはジワジワと上昇中。そんなことは気にせず、勝ちすぎて嫌われるぐらいになるほうがいいかもしれない。史上ふたり目の7タイム・チャンピオン=デイル・アーンハートもそうだった。それを貫いた彼は晩年、正義の味方的ポジションだったジェフ・ゴードンを凌ぐ人気を博していた。

 カイルよりポストJJ的な“立ち位置”にいるのは、昨年24歳でチャンピオンとなったチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー)だ。父親は1988年カップシリーズ王者のビル・エリオット。ヒール役のアーンハートを打ち負かして喝采を浴びていた。ファイターだがクリーンなイメージ。チェイスもキャラは同じである点も面白い。

 28歳のカイル・ラーソンもポストJJ候補のひとり。才能に恵まれていると誰もが認めていたのだが、昨年参戦したeレーシングで差別用語を発したためにチップ・ガナッシ・レーシング(CGR)を解雇され、NASCARからレース出場を禁じられていた。この冬のあいだにそれが解け、シボレー最強豪のヘンドリックで走るという大きなセカンドチャンスをもらった。

 試練を経験し、悔い改めた態度で真摯にレースに向き合うことになるはず。結果を出せば、アメリカ人好みの更生ストーリーとなるかもしれない。今季のパフォーマンスによっては、ラーソンの未来が大きく拓ける可能性も充分。エリオットとチームメイトでありライバルという構図もお互いにとってメリットになりうる。

 ほかにも、ブラッド・ケゼロウスキー、ジョーイ・ロガーノ(ともにチーム・ペンスキー/フォード)といった元チャンピオン、デイトナ500 3勝のデニー・ハムリン、2017年王者マーティン・トゥルーエクスJr.(ともにJGR)、2014年王者ケビン・ハービック(スチュアート・ハース・レーシング/フォード)など、実力、実績で上回るドライバーは何人もいる。

 しかし、彼らはキャリアの後半から終盤に入っていると目されており、未来を担うのは参戦が増えている若い選手たちのほうだろう。

 最初の7タイム・チャンピオン=“キング”リチャード・ペティ率いるシボレー陣営で今年から走るエリック・ジョーンズ(キャリア2勝)、ヘンドリックが起用してきているウィリアム・バイロン(1勝)とアレックス・バウマン(2勝)、JGRのクリストファー・ベル、SHR/フォードのコール・カスター(1勝)、リチャード・チルドレス・レーシング/シボレーのタイラー・レディックなどだ。

 近年の人気選手と言えば、JJと同時代を過ごし、彼より少し先に引退したデイル・アーンハートJr.が筆頭だった。デイトナとタラデガというNASCARの2大スーパースピードウェイでの強さ、風貌、人間性でファンを惹きつけていた。

 偉大な父と常に比較されるプレッシャーのもとで26勝を記録したが、大きなアクシデントで頭部にダメージを負い、惜しまれながら現役を退いた。二世ドライバーに注目が集まりやすいのは、若さが新しいファンに訴えかけ、名のあるファミリーネームがオールドファンに興味を持たせるからという理由が大きいだろう。

 偉大な先代を超えるキャリアを築き上げた例は多くないが、フル参戦6年目のチェイスは父を超える可能性を秘めている。あとはレース内容でいかにファンを魅了し、記憶に残るドライバーとなれるかどうか。カイル、ハービック、ケゼロウスキーら老獪なベテランたちが、エリオットやラーソンといった若手の前に立ちはだかるという構図がくっきりと浮かび上がってくれば、さらに面白い展開となりそうだ。

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