楽天モバイルに聞く「Rakuten BIG」「Rakuten Hand」開発秘話 5Gでも独自端末の狙いとは?

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2021年02月16日 10:32  ITmedia Mobile

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写真5Gミリ波に対応した6.9型ディスプレイ搭載スマートフォン「Rakuten BIG」
5Gミリ波に対応した6.9型ディスプレイ搭載スマートフォン「Rakuten BIG」

 MVNOも含めたキャリアの中で今、最も“自社端末”に注力しているのは、楽天モバイルだろう。本格サービス開始前の無料サポータープログラム拡大に合わせて初めて投入した「Rakuten Mini」を皮切りに、5Gのスタートでは、Sub-6とミリ波に両対応した「Rakuten BIG」を発売。さらに、2020年12月には片手で持ちやすい「Rakuten Hand」を送り出している。



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 いずれの端末も、その名称が示すように、楽天モバイルの独自端末。自社ブランドで端末を展開しているような、実績のあるメーカーが開発を担当する。Rakuten Miniでは、周波数の無断変更問題が発覚し、ブランドに傷はついてしまったものの、それを補うコストパフォーマンスのよさで、売れ行きも上々だという。eSIMをいち早く採用したり、低価格ながらおサイフケータイにはしっかり対応していたりと、ユーザーのニーズを的確にくみ取っている印象を受ける。



 とはいえ、Androidのスマートフォンを作るメーカーは非常に多く、コストパフォーマンスのいいSIMロックフリー端末も徐々に増えている。なぜ楽天モバイル自身で独自ブランドの端末を手掛ける必要があるのか。楽天モバイル 営業本部 デバイス戦略部 部長の小野木雅氏と、ネットワーク本部 デバイスエンジニアリング&オペレーション部 部長の塚本直史氏に話をうかがった。



●Rakuten Handはなぜ5G非対応に?



―― まず、発売が近い方から伺いたいのですが、5Gの投入に合わせてRakuten BIGを投入した一方で、なぜその後に4GのみのRakuten Handを発売したのでしょうか。その理由を教えてください。



塚本氏 Rakuten Miniを作った時から、少し長いロードマップがありました。Rakuten Miniより少し画面サイズの大きな端末は、そのロードマップにもともとあったものです。Rakuten Miniに対しては、バッテリーの持ちや、画面サイズに対していろいろなご意見がありました。そういったご意見を反映させていく中で、Rakuten Miniのコンセプトを踏襲しながら、少しだけ画面サイズが大きく、普段使いできる端末としてRakuten Handを開発しています。



 ただ、サイズの制約とバッテリーの制約は必ずあります。技術は日々進化していますが、それがRakuten Handに5Gを搭載できていない理由の1つです。また、技術的な観点では、5Gを意識していなかったわけではありませんが、消費電力の観点で、まだこなれていない部分があります。そうなると、どうしてもバッテリーのサイズが大きくなり、あのサイズに収まりません。ただし、Rakuten Handは4Gですが、当社の採用している4×4 MIMOなどは必須にして、4Gでも最高のパフォーマンを体感いただけるようにしています。



―― 実質価格とはいえ、0円で販売されています。もともとの価格も2万で、スペックに対しては非常に安いのですが、なぜでしょうか。



塚本氏 Rakuten Miniと同じメーカーですが、部材の選定等々まで、一緒にやってきました。そこで、上手にコストダウンができた側面があります。



―― 戦略的に、利幅を削って下げたということではないのでしょうか。



小野木氏 われわれのポジショニングと、今ご加入いただいている方のセグメントを考えると、コストパフォーマンスを良くして、いい意味で驚いてもらえることが必要になります。可能な限り高いスペックでそれなりの品質を保ったものを、いかにリーズナブルにお届けできるかの両輪で企画しました。5Gに非対応というのはありますが、プライスポイントを考えると、現段階で対応していたらあの価格は難しかったと思います。価格の関係もあり、あえて4Gに限定しています。



●横幅ではなく画面サイズから検討した



―― サイズとしては、手のひらにフィットする横幅が印象的でした。あの数値ありきでの企画だったのでしょうか。



塚本氏 まず検討を始めたのは、横幅ではなく画面サイズでした。入り口はディスプレイですね。そこから実現できる横幅を考えていった形です。結果的には、5.1型で一番横幅の狭いものを実現できました。Rakuten Miniの後継のロードマップを描いていた中で、当初の名称もRakuten Mini Plusというものでした。ああいうサイズ感を意識した上で、それを実現できるディスプレイを採用したという流れです。



―― 縦長で、アスペクト比は19:9になっていますが、これも意識的にそうしたのでしょうか。



塚本氏 これも、横幅が大きいですね。5.1型でああいうアスペクト比だと、横幅を狭くできます。モックアップを手に取ったときも、なじみやすかった。縦長は狙ったわけではありませんが、うまく商品のコンセプトが作れました。



―― ユーザーインタフェース(UI)は、標準だとAndroid標準に似ていますが、これはRakuten HandがRakuten Miniより一般的なスマートフォンに近いサイズだからでしょうか。



塚本氏 実は、Rakuten HandにもRakuten Miniと同じランチャーを搭載しています(変更が可能)。根強いファンがいるかどうかは分かりませんが(笑)。ただし、あくまで普通のUIに主軸を置いていたのも事実です。



●5Gのローンチモデルが必要、ミリ波は絶対に搭載



―― 次にRakuten BIGのお話を伺いたいのですが、各メーカーとも5Gスマートフォンの開発には積極的で、ミドルレンジモデルも増えてきています。あえて自社開発する必要性はどこにあったのでしょうか。



小野木氏 5Gを始めるにあたってのローンチモデルが必要でした。その中でも、ビジネス側の観点として気にするのは、やはりプライスポイントです。他社のものは、軒並みそれなりの価格になっていたので、同じプライスポイントで出してどれだけ売れるのか。どれだけ価格を下げられるのかを考えました。また、楽天モバイルは、Sub-6とミリ波を同時に展開しているので、両方に対応することを模索しました。その結果、独自ブランドで出すことが最適となりました。



塚本氏 小野木の強い要望で、何とか安い5G端末を出せないかを考えました。ミリ波搭載は絶対として、4GもBand 3の4×4 MIMOなどのネットワーク機能は十分実現した上で、なるべく安く開発するというのがコンセプトです。



―― やはりミリ波はマストだったんですね。



塚本氏 ミリ波は絶対に搭載するということで、当初から仕様を検討していました。ネットワーク側にも、絶対にミリ波をやるという思いがあったからです。



―― Rakuten MiniやRakuten Handとは違い、メーカーがZTEで、しかもZTEの「AXON 20 5G」に近いようにも見えます。これはなぜでしょうか。



塚本氏 技術面で言うと、ミリ波はまだ特殊で、ベンダーを選ぶ際に、より技術力が高いところということでZTEとお話ししました。どういうアセットを持ち、どういう技術でどういう端末を作れるのかというのはメーカー次第です。ミリ波対応を実現できるメーカーを探し、それをベースにカスタマイズをしていきました。



●FeliCaやeSIMも搭載も必須に



―― ベースモデルをそのまま持ってくるという判断はなかったのでしょうか。



塚本氏 ミリ波が絶対に必要だったというところ(AXON 20 5GはSub-6のみの対応)と、FeliCaやeSIMもわれわれがこだわっているところです。仮にAXONとしての提案があり、検討したとしても、そういったカスタマイズは入れていたと思います。



―― なるほど。独自ブランド端末を投入する上で、FeliCaやeSIMもマストなんですね。



小野木氏 eSIMやFeliCaと、難易度は上がりますが防水、防塵(じん)はマーケティング側が定義して、開発側に(必須仕様として)渡しています。eSIMは、業界のトレンドとしてやらなければいけない機運になってきました。楽天モバイルは、良く悪くも、そのトレンドを先取りできています。



―― 確かに、eSIMオンリーのスマートフォンは、まだ日本では珍しいと思います。



小野木氏 eSIMに関しては、鶏と卵の問題だと思っているからです。われわれからすると、卵から鶏に孵化させるために、まずはやらないといけない。とにもかくにもで始めています。その他のOEMパートナーモデルにも搭載していただき、卵から孵化させる機運を作っています。追い風として、総務省が環境を推進していることもあり、業界の共通認識として(eSIMが)広がっています。eSIMの基盤が広がれば、顧客流動性を高めるファクターの1つになり、いろいろな端末を選びやすい環境になります。



―― ミリ波対応で苦労はありましたか。



塚本氏 機能を実現すること自体に大きなハードルはありませんでしたが、やはりパフォーマンスをどう出せるかが重要です。ネットワークと突き合わせていく中で、いかにパフォーマンスを出せるかのチューニングはしていきました。ここは、思ったよりうまく立ち上がったと思います。



 また、ミリ波対応はメーカーにとっても1つのチャレンジでした。通信速度もそうですし、発熱もそうです。ですから、設計や機構も含め、一緒に考えてきました。結果的にスムーズに立ち上げることができたと思います。



●OSバージョンアップは検討する



―― 価格帯で言うと、確かにミリ波対応では安いかもしれませんが、絶対値はRakuten MiniやRakuten Handより高くなります。売れ行きはいかがですか。



小野木氏 ハイエンド級のスペックをお求めになる方には、想定以上に売れています。顧客層はプライスポイントで変わってきますが、6万円台というところでは、期待を超えていました。



―― Rakuten Miniでは、基本的にOSバージョンアップはしないというお話がありましたが、この2機種はいかがですか。



塚本氏 具体的なプランが今あるわけではありませんが、検討はしていきます。まずは、お客さま目線でどんなメリットがあるか、です。カスタマイズ端末なので(あまりバージョンアップはしない)というベースはありますが、どういったメリットをご提供できるかで判断します。



●楽天オリジナルブランドの端末は積極的に推進していく



―― Rakuten BIG、Handで、いったんラインアップは完成と見ていいのでしょうか。



小野木氏 2021年は競争環境がガラリと変わります。標準サイズとは何ぞやというのは、時々刻々と変わっていきますが、ストライクゾーンのスマートフォンはもっと多く作っていきたいと話しています。Rakuten MiniやRakuten Handの系譜に連なるものも、ポートフォリオの多様化という観点で、可能性を模索しています。いずれにしても、楽天オリジナルブランドの端末は、積極的に推進していきます。



―― 一方で、いわゆるメーカーブランドの端末も取り扱っていますが、こことのすみ分けはどうされていくのでしょうか。



小野木氏 お客さまの嗜好(しこう)もあります。このメーカーの、この機種が好きという方は一定数います。OEMパートナーのモデルをご提供することで、そういった方も幅広く取り込んでいきたい。お客さま層を多様化するためには、メーカーとのパートナーシップも引き続き継続していく必要があります。



―― 全体で見ると、5G端末がまだ少ない印象もあります。ここはどのように拡充していくのでしょうか。



小野木氏 5Gが今後主流になるのは自明です。5G搭載は基本路線として、4Gもコンパチブルな状態でどんどん拡大していきたいと考えています。マーケットのトレンドはありますが、われわれが気にしているのはプライスポイントです。全ての端末を5G対応にして、この2つが成立するならやりたいのですが、まだ確約が取れません。



―― ちなみに、Rakuten BIGやHandが出て、初代のRakuten Miniはそろそろ役割を終えてフェードアウトしていくことになるのでしょうか。



小野木氏 いえいえ。1月22日から大きなキャンペーンを開始していますから。Rakuten Miniは、具体的な販売数はお話できませんが、かなり売れた端末になります。



―― 最後の質問で恐縮ですが、Rakuten Miniつながりでお聞きすると、Rakuten BIG、Handの対応周波数は大丈夫でしょうか。



塚本氏 個別の話としては言いづらいですが、全社的に、再発防止策としていろいろな取り組みをしています。皆さんにご不便をおかけしないよう、商品を提供していきたいと考えています。



●取材を終えて:“普通の端末”をもっと拡充させる必要あり



 ミリ波やeSIM、FeliCaといったキャリアが推進したい機能を普及させる上で、オリジナル端末は有効といえそうだ。eSIMについては、その後シャープやOPPOが対応したことからも分かるように、波及効果も出ている。いずれのモデルもコストパフォーマンスが高く、料金の安さにひかれて楽天モバイルを契約するユーザーにフィットしそうだ。



 正直、Rakuten Miniはメインで使う1台目の端末にするのは厳しいと感じたが、Rakuten BIGやRakuten Handであれば、その心配は不要だ。ただ、大画面のミドルレンジモデルのような“普通の端末”はまだまだ少ない。小野木氏も語っていたように、「ストライクゾーンの端末」は今後も拡充していく必要がありそうだ。


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  • でも楽天独自端末にはSIMスロットが無いから他のMNOでは使えないのがネックなんだよな。もっとも楽天MNOがお得すぎて他にMNPする人はいないはずだが。
    • イイネ!2
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