2022年のBTCC共通ハイブリッド供給に向け、コスワースがバッテリー企業を買収

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2021年02月16日 15:11  AUTOSPORT web

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2020年の7月7〜8日にイギリス・スネッタートンでシェイクダウンを実施した、共通HV機構搭載の『トヨタ・カローラBTCC』
2022年の導入が予定されるBTCCイギリス・ツーリングカー選手権の共通ハイブリッド機構に向け、すでにシステム開発を進めているCosworth Electronics(コスワース・エレクトロニクス)社は、シルバーストンに拠点を置くバッテリーとビークルダイナミクス制御システムを手掛けるDELTA(デルタ)社を買収すると発表。すでに協業に取り組む開発体制を強化する決定を下した。

 また、BTCCのシリーズオーガナイザーであるTOCAは、高性能安全燃料システムのサプライヤーであるAero TecLaboratories(エアロテック・ラボラトリーズ/ATL)社との技術的パートナーシップを、2026年まで延長することに合意したと発表。NGTC規定ツーリングカーの新たな時代に向け、基盤固めを進めている。

 2019年にTOCAが実施した競争入札により、2022年度からの『共通ハイブリッド供給権』を獲得しているコスワース・エレクトロニクスは、設計と製造に続き台上試験を終えた“P2 off-axis”と呼ばれる新システムを、テストベッド車両に指定されたSpeedWorks Motorsport(スピードワークス・モータースポーツ/SWM)の『トヨタ・カローラBTCC』に搭載。2020年7月7〜8日にイギリス・スネッタートンで開催された公式タイヤテストでシェイクダウンを済ませている。

 この“P2 off-axis”は、システム定格60Vで20kgの重量となるバッテリーパックを搭載し、7.5kgの電気モーターとコントローラー、ポンプ、冷却パイプ、配線ケーブル類などを含んでいる。それでもシステム総重量は64kgに抑えられ、TOCAによれば「NGTC規定ツーリングカーの運動性能にはほぼ影響を及ぼさない」範囲に納められたという。

 この一連の開発作業をコスワースとともに進めてきた2005年設立のデルタ社は、バッテリーシステムを軸とした制御システム、電気・ハイブリッドの駆動系システム開発を専門とする世界的な企業として認知されており、コスワースは長期的なパートナーであるHSBC UKの支援を受けてデルタを買収することで、将来的な電動化を見据えた開発体制を強化することとなる。

■2022年度からの“共通”内燃機関、通称『TOCAエンジン』はMスポーツに引き継がれる

 コスワースのグループCEOを務めるハル・ライシジャーは、この決断に際し「我々は数多くの相乗効果と恩恵を高めるべく準備を続けており、デルタをコスワース・グループの企業に迎えることをうれしく思う」と、歓迎の意を示した。

 一方、デルタのマネージングディレクター、サイモン・ダウソンも「コスワースとの協力を開始し、文化、考え方、補完的なスキルセットが完全に一致することを発見した」と、協業の喜びを語っている。

「コスワースのブランドは高品質のパフォーマンス製品の代名詞であり、グループの一員としてデルタの成長を続けることに、心からワクワクしている」

 また、TOCAが用意を進める2022年度からの“共通”内燃機関、通称『TOCAエンジン』も、現在のSwindon Powertain(スウィンドン・パワートレイン)社から、フォードとのWRC世界ラリー選手権活動や、ベントレーとのGT活動で車両設計・製作(コンチネンタルGT3)を担当してきたM-Sport(Mスポーツ)社へと引き継がれる。

 こうした背景も受け、TOCAは2月12日付で2010年からシリーズパートナーを務めるATLとの契約延長を発表。モータースポーツの分野で圧倒的な実績とシェアを誇り、軽量かつ自由度の高い燃料タンクとして数々のレースカーに採用されるATLとのアライアンスを強化する方針を示した。

 ATLのマネージングディレクターであるジル・ドーソンは、BTCCへの製品供給契約延長に際して、次のようにコメントしている。

「チャンピオンシップが2022年に新しいハイブリッド時代に移行するにあたり、完全な“プラグ・アンド・プレイ”の燃料システムをBTCCに供給し続けることを誇りに思う。我々ATLとしても、このBTCCとの関係はフラッグシップ契約と見なしている」

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  • つーか、すげーキャンバーだな
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