宮迫博之は、なぜ吉本興業・大崎会長を不快にさせたのか? 今田耕司に見習うべき「世渡り術」

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2021年02月26日 00:02  サイゾーウーマン

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羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の有名人>
「常にどっかから見張ってる、一人とは思えない」今田耕司
『伯山カレンの反省だ!!』(テレビ朝日系、2月20日)

 「芸能人が事務所を独立すると干される」という話を聞いたことがある人は、多いのではないか。

 実際のところ、どうなのかはわからないが、ある程度の苦労は覚悟しなければならないようだ。例えば、宝塚歌劇団を首席で卒業し、業界最大手の渡辺プロダクションに所属していた小柳ルミ子。『NHK紅白歌合戦』に18年連続で出場するほどの人気者だったが、独立後、その姿をテレビで見ることがなくなった。

 久しぶりのテレビ出演は『セイシュンの食卓』(テレビ朝日系)で、ルミ子は当時の夫で13歳年下のダンサー・大澄賢也と踊りながら料理をしていた。大物歌手をちょっとバカにしたような企画だと私は感じたが、同番組のゲストいわく、ルミ子はテレビ局から実家に電話をかけ、「お母さん、テレビに出られるよ」と報告していたとのこと。「あの小柳ルミ子が、テレビに出るくらいで電話をするなんて」と驚いたそうだが、それだけ当時のルミ子は仕事を干され、追い詰められていたのだろう。

 もっとも事務所の立場になって考えてみれば、新人の頃から、場合によっては衣食住の世話までしてきたタレントに、やっと売れて利益が出る頃に独立されたら、たまったものではない。スターが移籍したら、古巣と新しい事務所間の関係も悪化する。となると「事務所から抜けたら、干す」と暗に規則化することは、芸能界全体の“平和”を保つためには、有効な策なのかもしれない。テレビ局も事務所同士のいざこざに巻き込まれたくないだろうから、ルールがあるほうがありがたい面もあっただろう。

 しかし、2019年に公正取引委員会が、芸能人の活動にも独占禁止法を適用すると発表したことで流れが変わる。また、最近は企業の広告費に関して、ネットがテレビを逆転するなど、テレビがメディアの王様とはいえなくなっている。テレビに出るためには、事務所に所属していたほうがいいだろうが、すでに知名度があったり、テレビに出ることに固執しない芸能人であれば、事務所を辞めたり、事務所に所属しない決断をしてもおかしくないだろう。

 その一方で、雨上がり決死隊・宮迫博之のように、ネットの世界からテレビの世界に戻りたがっている人も存在する。

 反社会的勢力の忘年会に出演したことがきっかけで、吉本興業から契約解除となった宮迫。当初は、宴会先が反社会的勢力とは知らなかった、報酬ももらっていないと主張していたが、確かに相手については知らなかったものの、ギャラは受け取っていたそうだ。

 2019年6月30日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、ダウンタウン・松本人志は宮迫と直接電話で話したことを告白。「『それ(ノーギャラであるという宮迫の主張)は無理やで。世間は誰も信じない。そこでウソをついたら、何もかもウソやと思われる』と言いました」「俺はあいつのことを思って、結構電話でも説得したというか、だいぶ言ったんですけど、わかってもらえなかったのでさみしい」と発言しており、これは宮迫に対する決別宣言といっていいのではないだろうか。

 こうして、吉本を解雇された宮迫はYouTubeを始め、それなりに成功しているが、テレビの世界に戻りたい気持ちは変わらないようだ。2月10日に配信された、宮迫のYouTube動画には、島田紳助さんが電話出演。宮迫が「吉本に戻りたい」と訴えると、引退した今でも吉本興業の大崎洋会長とゴルフをする仲だという紳助さんは「会社と話をするなら、俺が間に入るしな」と仲介を申し出た。

 しかし、実際はそう簡単な問題ではないらしい。「フライデー」(講談社)が大崎氏を直撃したところ、「いや、もう戻らんでええと思うで」「辞めてまで吉本のことをネタにすんなよって」と不快感をあらわにした。一般人でも会社を辞めるときに「言えないこと」はたくさんある。このあたりのことは当事者でなければわからないが、一つ言えるのは、宮迫は大崎氏という人を理解していなかったのではないか。

 大崎氏について、2月20日放送の『伯山カレンの反省だ!!』(テレビ朝日系)に出演した今田耕司が、こんな話をしていた。

 司会の神田伯山が、「昔のダウンタウンさんや今田さんは怖かった」という話をすると、今田は「特殊な時代のせい」とし、今では優しい大崎氏も、かつては怖かったエピソードを明かす。

 ダウンタウンが出演する心斎橋筋2丁目劇場での生番組の前説と後説をしていた今田と東野幸治。番組が終わった後に「じゃんけんに勝った人に、ダウンタウンさんのサインが入った台本をプレゼント」という企画をやっていたそうだが、これは番組を終えてスタジオから出るダウンタウンを観覧客が追いかけないよう、スタジオ内に足止めするための時間稼ぎだったそうだ。早くスタジオを出たい観覧客は、全然ノってこない。なので、東野が手を抜いてやっていたところ、当時、劇場支配人だった大崎氏が、舞台の袖から東野を手招きする。東野が舞台の袖にひっこんだところ、大崎氏が東野の腹に蹴りを入れる姿を、今田は目撃したという。

 そんな大崎氏を、今田は「激高する」「常にどっかから見張っている、一人とは思えないくらい」と証言していた。これらのエピソードから推測すると、大崎氏は気配りが細かく、カンが良いゆえに仕事ができるものの、キレたら手が付けられない性格ということだろう。こういう人は一度怒らせると面倒なことは想像に難くない。

 怒りの熱が冷めにくいタイプの人に、大崎氏が無下にできない、紳助さんのようなビッグネームを使って外堀を埋めるような行動を取ると、宮迫に対する印象はますます悪くなり、復帰も遠のくのではないか。

 世渡りがうまい人の条件として、「人を怒らせるけれど、許されるのがうまい人」と「人を怒らせないのがうまい人」が挙げられると、私は思っている。前者は頻繁に問題を起こすが、かわいげがあるので「悪気はないんだよね」となぜか許されてしまうタイプ、後者は「絶対に怒らせてはいけない人を知っているタイプ」なので、厄介ごとには最初から巻き込まれない。今田は後者のタイプなのではないか。

 同番組内で、今田は鬼越トマホークに「お前、永遠に二番だぞ」と言われたことがあると明かしていたが、野球チームが4番打者だけでは成り立たないのと同じで、誰もが一番手になる必要はないだろう。「〇番手」であるかにこだわるより、「〇番手のトップ」になったほうが、芸能人生命は長くなるのではないだろうか。大崎氏とダウンタウンは盟友関係といわれ、ダウンタウンは吉本興業の「一番手」格に当たるが、今田は「二番手のトップ」として、間近でダウンタウン、そして大崎氏を見ていたからこそ、芸でも身の振り方もやっていいこと、悪いことを見極められたのかもしれない。

 今田にはこんなエピソードもある。番組名は失念したが、今田は関西ローカルの番組で、「いろいろな番組に出たいから、あえてギャラを上げない」主義であると話していたことがある。ある意味、「自分で自分を安売り」していたわけだが、今田の作戦は吉と出る。リーマンショックの際の不景気で、ギャラの高い司会者は続々とリストラの対象になったが、「あえて安売り」していた今田はその対象にならず、仕事が減らなかったそうだ。

 「自分は一番手の人間だ」という自負のある人や、「人にどう思われてもかまわない」という覚悟があるのなら話は別だが、そこまでの主義はなく、組織に属していたいのなら、あえて一歩引いて物を見るというのも重要だろう。今田風の「二番手力」は、吉本に戻りたいという宮迫、そして一般人にとっても、お手本になるのかもしれない。

このニュースに関するつぶやき

  • 宮迫はやることなすこと裏目に出るタイプ。それにしても大崎洋がまさか社長会長になるとはね。順当にいけばやすきよマネージャーだった木村政雄だと思っていたのに退社したというのも意外だった。
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