【津川哲夫F1新車私的解説】陣営内3番手となって苦しいアルファロメオ。ナロー化されたC41でどこまで巻き返せるか

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2021年02月26日 13:21  AUTOSPORT web

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アルファロメオ・レーシング・オーレンの2021年型マシン『C41』
アルファロメオ・レーシングの立ち位置はとても微妙だ。フェラーリはナンバー2チームとしてハースF1を選び、イタリア・マラネロのファクトリーにはハースF1の起点スペースを接地して、バジェット・キャップで溢れる人材をハースF1に送り込み、人事はマラネロのスクーデリア・フェラーリ内部で完結。結果として、ハースF1をレッドブルのアルファタウリ的な位置づけとなる関係ができてしまった。

 つまり、同じ位置にいたはずのアルファロメオは残念ながら、ハースF1から大きく出遅れてしまったのだ。アルファロメオは前身のザウバー時代からあくまでも独立性を維持してきて、車体は規則通り、独自開発を続けてきた。

 その結果、フェラーリの技術開発とデータ収集はハースF1で行い、アルファロメオの位置づけはフェラーリ・ヤングドライバの育成とグループドライバーの確保の要素がほとんどになってしまった。

 今シーズンもキミ・ライコネンとアントニオ・ジョビナッツィーをキープするためでもある。

 ニューマシンに目を移すと、今シーズンの新車C41は開発トークンの持ち分2枚を使ったものの、基本的にはフロントボディワーク、つまり他チームと同じようにフロントウイングとノーズの開発にトークンが当てられている。

 新規制による後方ナローフロアとスロット等のフロアサイド・ガジェットの禁止で、フロア上・下面の空気流と渦流の調整や確保が難しくなった。したがってこれまでワイドで平坦ながら独特な先端を持つダースベーダー型ノーズは廃棄され、C41にはトレンディなナロー型ノーズ、言わばメルセデス型へと変更された。

 近年は多くのチームが既にナローノーズを選んでいて、新フロア規制はレーキエアロ・コンセプトのマシンにより多くのダメージを与えるからなのだろう。これまでのところ発表されたチームすべてにレーキ角が浅くなった点が見受けられ、メルセデス型の低レーキによるベンチュリー・フロアエアロに帰還している。

 ナローノーズによってより多くのコクピット下への空気流の確保やフロアフロント部の空気流と渦流の制御が可能となり、ポッドサイドやフロア後方へのより効率の良い空気流と適正な渦流を造り出す努力なのだろう。

 あとは型落ちではなく、フェラーリの21年型パワーユニット(PU)が搭載されるならば、多少なりともパフォーマンスの上昇は考えられるだろう。

 ただし、見た目ではサスペンションアーム類を含めて多くが昨年のまま。セッティング幅がそれほど大きくなかった旧型の弱点を、このC41で解消されたとはあまり思えないのだが、その答えは開幕を待たねばならないだろう。

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