【サイゴンFCの野望 #3】高崎寛之「まずは早めに1点取って、そのままゴールを量産したい」

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2021年03月11日 19:13  サッカーキング

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サッカー界がコロナ禍による財政難に苦しむ中、今オフには長年Jリーグのクラブで活躍してきたベテラン選手たちの退団・引退報道が相次いだ。そんななか、39歳の元日本代表MF松井大輔をはじめとするJリーグ経験者4人(松井大輔/元横浜FC、高崎寛之/元FC岐阜、ウ・サンホ/元栃木SC、苅部隆太郎/元FC岐阜)を相次いで獲得して注目を集めた東南アジアのクラブがある。サイゴンFCだ。

 この連載では、急激に“日本化”が進み、にわかに注目を集めるサイゴンFCの野望に迫る。第3回では、数々のJリーグクラブを渡り歩き、35歳にして初の海外リーグに挑む高崎寛之にインタビューを実施した。

文・写真=宇佐美淳

自信があるからこそ、ここに来た
――日本国内では複数のクラブ(浦和レッズ、ヴァンフォーレ甲府、鹿島アントラーズ、松本山雅FCなど)を渡り歩いていますが、海外移籍は今回が初めて。35歳となる今年に海外移籍を決めた理由を聞かせてください。
高崎 どこか自分の中でもやもやした部分があって、やりがいを求めていました。そのタイミングでオファーをもらい、チャレンジしてみたいという気持ちが強くなって、ベトナムでやろうと決めました。

――もともと海外志向はあったのですか?
高崎 全くありませんでしたね。

――ベトナムに来る以前、ベトナムのサッカーについては何か知っていましたか?
高崎 タイリーグの話はちょこちょこ聞いていたんですが、ベトナムリーグの情報は全然なかったので、来る前に少しだけネットで調べました。

――ベトナム到着後はすぐ隔離に入りましたが、どのように過ごしましたか?
高崎 もちろん外に出られないという不自由さはありましたが、広い部屋を用意してもらって、ランニングマシンや筋トレ器具もあったので、最低限、体を動かすぶんには問題なかったです。食事もデリバリーで日本食を運んでくれたので、そんなに不自由は感じませんでしたね。でも、2週間も部屋から出られないというのは、精神的にきついものがありました。

――第2節のビンディンFC戦で移籍後初出場を先発で飾りました。この試合、チームは0―1で初黒星。個人として、またチームとしての出来はいかがでしたか?
高崎 グラウンドはデコボコで状態が悪かったですし、早い時間帯に失点してしまい、うまくリズムに乗れない試合でした。僕とメルロ(アルゼンチン出身の帰化選手)が前線にいるなかで、なかなかボールを前に運べなかったですし、その部分は課題かなと。まだシーズンは始まったばかりなので、これからしっかりコミュニケーションを取りながら改善して、一つのチームとして機能するよう頑張っていきたいです。

――サイゴンFCのシーズン前期の外国人登録選手4人のうち、FW登録は高崎選手だけで、前線には帰化選手のメルロ(Vリーグ得点王4回)がいます。今後レギュラー争いをするライバルになると思いますが、ポジション奪取に自信は?
高崎 自信があるからこそここに来たわけですし、普段の練習で自分のストロングポイントを出して、しっかりアピールしていけば、試合には絡めると思っています。メルロのストロングポイントも分かっていますし、互いにリスペクトしながら切磋琢磨していけば、チームにもプラスになると思っています。

――特にアピールしたいポイントは?
高崎 FWとしての動きの部分とか、高さの部分というのを生かしていきたいです。そのためにも、まずは自分にボールが入るように、周囲とコミュニケーションをとっていくことを意識していきたいですね。

若い選手には積極的にチャレンジしてほしい
――現在、新型コロナウイルスの再燃によってリーグが中断していますが、ここまで3試合を消化してサイゴンFCは2勝1敗。勝ち星先行ですが、得点数はわずか2点です。攻撃陣の課題は何でしょうか?
高崎 攻撃陣というよりも、ここまでの3試合は相手にボールを持たれる時間帯が多くて……。勝った2試合はカウンターで仕留めたという内容だったので、これからはいいところは伸ばしつつも、自分たちがボールを保持する時間を増やしていかないといけません。コロナでリーグが中断していますが、時間を与えられたと思ってプラスに捉え、この期間にもっともっと改善していかなきゃいけないと思います。

――高崎選手は日本でJ1、J2、J3と異なる3つのカテゴリーを経験しました。率直に言ってVリーグのレベルをどう感じていますか?
高崎 まだ3試合だけなので、答えるのは少し難しいんですが、初戦のホアン・アイン・ザライ(HAGL。元水戸のグエン・コン・フオン、元横浜FCのグエン・トゥアン・アインを擁する)はボール回しもうまかったし、後方からのビルドアップも出来ていて、ちょっと日本のサッカーに似ている気がしました。

――サイゴンFCは昨年4月のFC東京との提携に続き、今年2月にはFC琉球との提携を発表しました。(チャン・ホア・ビン)会長は年内に琉球に選手を送り出す方針を示していますが、チームの中で可能性を感じる選手がいたら教えてください。
高崎 若い選手が多いので、若いうちにチャレンジできるのであれば、行くといいと思います。成功するかどうかはわかりませんが、それも含めて自分の糧になります。J2、J3もレベルは高いですから、そういう場所で揉まれるのは選手としての成長のきっかけになります。若い選手には積極的にチャレンジしてもらいたいですね。

――新たに始めたYouTuberとしての活動についてお聞かせください。
高崎 現地の生活のことを発信し、海外のことを少しでも知ってもらえればいいなと思って始めました。時間を見つけて試行錯誤しながらやっています。ネタ募集中です(笑)。

――サッカー選手でYouTubeを始める人が増えている印象ですが、YouTuberの活動をすることで、どんな可能性が広がるとお考えですか?
高崎 子供たちの間でYouTubeが人気ということで、将来の夢がYouTuberという子も多いと思うんですが、もっともっとYouTubeを通じて、いろいろな場で活躍している人たちのことを知ってほしいです。自分はサッカー選手なので、これがきっかけで選手のことや海外サッカーに興味を持ってほしいなと思います。

――今シーズンの目標を教えてください。
高崎 まずは早めに1点を取って、そのままゴールを量産したいですね。チームを1試合でも多く勝たせることが目標ですから、それに向かって日々努力していきます。

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