GT3を進化させた『マクラーレン720S GT3X』登場。規則に縛られないトラック専用モデル

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2021年03月19日 16:01  AUTOSPORT web

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ベース車はFIA-GT3カーのマクラーレン720Sだが、ホモロゲーション登録がなされておらずGT3カテゴリーへの出走は不可能だ
マクラーレン・カスタマーレーシングは3月17日、モータースポーツのレギュレーションによる制限を受けずに開発された新たなサーキット専用マシン『マクラーレン720S GT3X』を発表した。

 マクラーレン・オートモーティブのモータースポーツ部門であるマクラーレン・カスタマーレーシングによって設計・開発されたこのクルマは、同社のFIA-GT3カーである720S GT3がベースとなっている。

 トラックパフォーマンスを新しいレベルに引き上げることが目指された720S GT3Xでは、GT3レギュレーションに縛られない開発が行われた。そのひとつはエンジン性能の向上で、搭載されるハンドビルドの4.0リットルV8ツインターボエンジン“MB40T”は最高出力750PSにパワーアップした。

 通常はロードカーと同じ720PSを発揮するが、ドライバーがステアリングホイールに取り付けられた“プッシュ・トゥ・パス”ボタンを操作することで、30PSの追加ブーストを利用することができる。

 マクラーレンの中核であるカーボンファイバーシャシーが用いられた車体の重さは、可能な限り無駄なものを省く軽量化によって1210kgを実現。これによりパワー・トゥ・ウエイトレシオは1トンあたり620PSとなっている。

 エアロダイナミクスの開発ではGT3カーで磨かれた空力を最適化。ボディワークの流れるようなラインはCFDとF1カーの開発にも用いられる風洞を使って開発された。

 その外装はメタリックMSOカーボンブラックペイント仕上げとなるが、こちらもエンジンと同様に手作業で行われる。ボンネットのエアインテーク周りと車両下部に引かれたオレンジのピンストライプは、1960年代に優勝したマクラーレンF1カーへの敬意を示したものだ。

 徹底した軽量化が行われたキャビンは軽量カーボンファイバーが多用され、シートにはFIA国際自動車連盟の承認を受けたレーシングシートが採用されている。また、人間工学に基づいて設計されたステアリングホイールはレーシングカーと同様に、ロータリースイッチとボタンを配置しほぼすべての主要機能を集約。ドライバーは指先だけの操作で各種の設定が可能となり、その分ドライビングに集中することができる。

 さらに720S GT3Xでは6点式ハーネスを備えた助手席の設置も可能となっており、ドライバーだけでなくスリルを求める友人など同乗者とともにスピードの爽快感を体験できる。

■ラップタイムはGT3基準から大幅に短縮

「GT3のパフォーマンス・バランスを考慮すると720S GT3カーは、ロードゴーイングカーの720Sスパイダー、および720Sクーペよりも出力を下げて走らなければならない。GT3Xプロジェクトの概要は、大幅に増加した出力を使用して720S GT3の可能性を最大限に引き出し、クルマの空力特性とシャーシダイナミクスを充分に活用することだった」と語るのは、マクラーレン・カスタマーレーシングのディレクターを務めるイアン・モーガン。

「さらに、特注のロールケージと助手席の取り付けを可能とする再設計のおかげで、初めて乗客を運ぶことができるようになった。ブレーキの冷却も改善されスピードの向上と乗員分の重量追加に対応している」

「720S GT3Xは本格的なGT3カーを体験するユニークな機会を提供する。標準出力の大幅な向上と、プッシュ・トゥ・パス・ボタンによる30PSの追加によりラップタイムはGT3ベンチマークから大幅に短縮される。その結果、本当にユニークな体験ができるクルマになっているんだ」

 キャノピー上部には特徴的な『X』のグラフィックが広がるマクラーレン720S GT3Xは、マクラーレン・モータースポーツ・リテーラーネットワークを通じて注文が可能となっている。

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