小林可夢偉の走りが冴えた終盤戦。白熱のIMSAセブリング12時間、優勝はデュバル組キャデラック ※追記あり

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2021年03月21日 12:31  AUTOSPORT web

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優勝したマスタング・サンプリング・レーシングの(左から)ロイック・デュバル、セバスチャン・ブルデー、トリスタン・ボーティエ
3月20日、アメリカ・フロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイでIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第2戦セブリング12時間の決勝レースが行われ、DPiクラスに参戦しているマスタング・サンプリング/JDCミラー・モータースポーツの5号車キャデラックDPi-V.R(トリスタン・ボーティエ/ロイック・デュバル/セバスチャン・ブルデー)が総合優勝を飾った。

 2021年大会で69回目の開催を数える伝統のセブリング・ラウンドは現地20日、定刻10時10分にグリーンフラッグが振られ、全37台のマシンが12時間後のフィニッシュに向けてスタートを切った。

 そのスタートでホールショットを決めたウェレン・エンジニアリング・レーシングの31号車キャデラックDPi-V.Rだったがわずか11分後、予選3番手から順位を上げてきたキャデラック・チップ・ガナッシ・レーシングの01号車キャデラックDPi-V.Rに逆転を許してしまう。

 直後、ジミー・ジョンソン駆るアリー・キャデラック・レーシングの48号車キャデラックDPi-V.Rが最終ターン17でスピン。これにデュバルの5号車キャデラックが巻き込まれ両車ともにフロントにダメージを負いポジションを落とす。

 このアクシデントによるコーションのリスタート後には、ポールシッターのピポ・デラーニの31号車キャデラックが首位を走る01号車に仕掛けるも、コーナーの進入で行き場を失いウォールにヒット。足回りにダメージを受け修理に4周を費やすことに。

 その後、ランガー・バン・デル・ザンデからケビン・マグヌッセンに替わった01号車キャデラックを10号車コニカミノルタ・アキュラARX-05が交わすなどコース上での順位変動に加え、アクシデントによるコーション時の“シャッフル”によってマツダ・モータースポーツの55号車マツダRT24-P、小林可夢偉組の48号車キャデラック、マイヤー・シャンク・レーシングの60号車アキュラARX-05がラップリーダーに立つなど、トップが目まぐるしく入れ替わる展開でレースが進んでいく。

 LMP2クラスを戦うタワー・モータースポーツの8号車オレカ07・ギブソンの大クラッシュが発生したスタート9時間過ぎには、01号車キャデラックがふたたび首位に浮上する。スコット・ディクソン駆る01号車は好ペースで後続を引き離しにかかるが、残り時間1時間10分で迎えたピットイン時に、最終コーナーでBMWチームRLLの25号車BMW M8 GTEと接触。勝利が手に届く位置にいながら足回りを損傷する悲劇に襲われる。

 名門チップ・ガナッシに替わってトップに立ったのは、序盤にもらい事故に遭った5号車キャデラックだ。ブルデーがドライブするこのマシンはラスト1時間の時点で55号車マツダを7秒リード。最後のピットストップでの給油後もトップの座を守ってみせる。
 
 しかし、GTDカーのクラッシュの影響で、フィニッシュまで残り30分あまりで導入されたコーションによって後続とのギャップはリセットされることに。レースは残り20分で再開されDPiクラスでは上位5台のマシンが僅差のなかで争うこととなった。

■勝負どころで光った可夢偉の走り。マツダとの2番手争いは手に汗握るバトルに

 このなかで見せ場を作ったのは48号車キャデラックに乗り込んだ可夢偉だ。5番手でこの最終盤を迎えた可夢偉は10号車アキュラARX-05、60号車アキュラARX-05を相次いで交わして3番手に浮上。ラスト2周からフィニッシュ直前にかけてはハリー・ティクネルがドライブする55号車マツダと激しい2番手争いを演じた。
 
 最終的に48号車キャデラックは3番手でフィニッシュ。前年ウイナーのマツダが2位、一時はティクネルに0.3秒差にまで迫られたブルデーは、辛くも逃げ切りに成功し12時間レースのトップチェッカーを受けている。なお、48号車はシモン・パジェノーが最大運転時間を超えてドライブした疑惑があり、最終順位が変わる可能性がある(DPiクラスの表彰式では、4番手でフィニッシュした60号車アキュラARX-05のクルーが登壇している)。

※追記
 アリー・キャデラック・レーシングの48号車は、IMSAスポーティングレギュレーション第12条14項1号にある「連続する6時間の間に4時間を超えて運転してはならない」という規定運転時間に対し、パジェノーのスティントがこれを50秒超過したためペナルティの対象に。これにより3番手でフィニッシュしたものの降格処分を受け、レース翌日に発表された改訂版のリザルトではリタイアを喫した31号車キャデラックの直後のポジションとなる総合28位/クラス7位となった。

* * * * * *

 LMP2クラスは5台中2台がリタイアしたことで、完走を果たした3台が表彰台を獲得。優勝は2番手グリッドからスタートしたPR1・マティアセン・モータースポーツの52号車オレカ07・ギブソンの手に渡った。6台で争われたLMP3クラスでは、コア・オートスポーツの54号車リジェJS P320・ニッサンがクラス優勝を飾っている。

 GTEカテゴリーのGTLMクラスはコルベット・レーシングの3号車シボレー・コルベットC8.Rが終始レースを有利なかたちで進め、そのままポール・トゥ・ウインを果たすかに思われた。

 しかし最終盤のスプリントの最中、2番手につける25号車BMW M8 GTEから接触を受けたことで努力が水泡に帰す。コナー・デ・フィリッピ駆る25号車には即座にドライブスルー・ペナルティの裁定が下ったものの、3号車はダメージの影響でラップダウンに。

 その一方、2台のアクシデントに乗じウェザーテック・レーシングの79号車ポルシェ911 RSRが土壇場でクラス首位に浮上。マシュー・ジャミネがマシンをフィニッシュまで運び、チームにGTLMクラス参戦後初めての勝利を届けた。クラス2位は25号車BMW、最後の表彰台となる3位には24号車BMW M8 GTEが入っている。
 
 最多13台がエントリーしたGTDでは、中盤の8時間目からクラス首位に立ったパフ・モータースポーツの9号車ポルシェ911 GT3 Rが同門のライト・モータースポーツ、16号車ポルシェの追撃を振り切ってトップチェッカーを受けた。

 クラス3位はハート・オブ・レーシング・チームの23号車アストンマーティン・バンテージGT3、マグナス・ウィズ・アークエンジェルの44号車アキュラNSX GT3エボが同4位となった。バッサー・サリバンのレクサスRC F GT3勢は12号車がクラス6位、レース序盤をリードした14号車は7位でチェッカーを受けている。

 北米スポーツカーシリーズの最高峰IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の次戦第3戦は5月14〜16日、ミド・オハイオ・スポーツカー・コースで行われる『アキュラ・スポーツカー・チャレンジ・アット・ミド・オハイオ』だ。

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