トラブル続きで走り込めなかったベッテル。マシン特性とタイヤの理解に懸念が残る/F1チームメイト比較(6)

0

2021年03月24日 14:21  AUTOSPORT web

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AUTOSPORT web

2021年F1プレシーズンテスト1日目 セバスチャン・ベッテル&ランス・ストロール(アストンマーティン)
バーレーン・インターナショナル・サーキットで行われたプレシーズンテストを終え、現在はチーム、ドライバーともに同地で行われる2021年シーズンの開幕戦に備えているところだろう。今回はテストで見えた各チームのドライバーふたりのパフォーマンスを比較。連載第6回は、アストンマーティン・コグニザントF1チームとのランス・ストロールとセバスチャン・ベッテル、スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウのシャルル・ルクレールとカルロス・サインツJr.だ。

────────────────────

■アストンマーティン・コグニザントF1チーム
 メルセデス製のギヤボックスのトラブルが2日目にセバスチャン・ベッテルのマシンで発生。ベッテルは初日も51周しか走行できず、最終日もターボのブースト圧の低下が原因によって、「予定よりも早く切り上げることになった」(ベッテル)ため、56周にとどまった。

 3日間で117周は、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)の初日1日分の走行距離にも満たない。したがって、今年フェラーリからアストンマーティンに移籍したベッテルが、アストンマーティンの新車『AMR21』を本格的に乗りこなすまでには至っていない。

 特にアストンマーティンはC5タイヤでのタイムアタックを2日目に行い、最終日はC3タイヤでのロングラン中心のメニューを組んでいたため、その2日目にトラブルに見舞われたベッテルは今年の新車AMR21と、コンストラクション(構造)が新しくなったとピレリのC5タイヤを限界まで試すことができなかった。

 ベッテルにとって気になるのは、AMR21の特性だろう。アストンマーティンと同じコンセプトを持つメルセデスが、リヤにナーバスなマシンになっているようだからだ。ベッテルはリヤが安定したマシンを好み、そうでないマシンになると、昨年のフェラーリのように持っている実力を出せない傾向がある。もし、アストンマーティンがリヤに問題を抱えているとなると、移籍してきたベッテルにとってはそれは、だれよりも頭が痛い問題となるだろう。

▼データ
セバスチャン・ベッテル
【ベストタイム】全体20番手 1分33秒742 プロトタイプ
1日目:13番手 1分33秒742 51周 プロトタイプ
2日目:16番手 1分38秒849 10周 プロトタイプ
3日目:17番手 1分35秒041 56周 C3

【走行距離】全体20番手 117周(633km)

ランス・ストロール
【ベストタイム】全体12番手 1分30秒460 C5
1日目:4番手 1分31秒782 46周 プロトタイプ
2日目:3番手 1分30秒460 71周 C5
3日目:18番手 1分36秒100 80周 C3

【走行距離】全体7番手 197周(1066km)

■スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ
 ベストタイムではカルロス・サインツJr.のほうが、シャルル・ルクレールを上回っている。またチーム代表であるマッティア・ビノットが「我々のチームにはナンバーワンドライバーは存在しない」と語っていることから、フェラーリの新しいコンビは対等か、もしかするとサインツJr.のほうが速いのではないかと想像するが、実際にはルクレールにはまだまだ余裕がある。それはルクレールにはフェラーリで過去2年の経験があるからだ。

 たとえば、テスト2日目の走行を終えた後、ルクレールはこう語っていた。

「昨年のマシンと比較するのは難しいけど、バランスが良くなったことは確かだ。昨年は気温が高くなるとかなり苦労したけど、今年はフィーリングが悪くない。特にリヤがね。リヤに少し自信が持てるようになったのは事実だから、これはポジティブなことだ」

 これに対して、サインツJr.はフェラーリでの公式テスト初走行を終えたテスト初日にこう語っている。

「テストではマシンのパフォーマンスを確認したかったけど、今日は風が強く、砂埃も舞っていて、安定して走行するのが難しかった。だから、新車の出来を判断するのはまだ早すぎると思う」

 つまり、すでに3年目のルクレールは過去2年間の経験から新車を的確にフィードバックできているのに対して、昨年コンストラクターズ選手権で3位を獲得したマクラーレンから今年フェラーリに移籍してきたサインツは、運転しづらい跳ね馬に手こずり、テストでは何度もコントロールを乱していた。

 またサインツJr.はアンドレアス・ザイドル体制になって風通しの良くなったチームで、ここ2年間あまりプレッシャーを感じることなくレースに集中できていたことも忘れてはならない。フェラーリという歴史があり、大きなチームではそれまでの経験が仇になることもある。結果を急ぎすぎて空回りすると、ルクレールをとらえるのはかなり難しくなるだろう。

▼データ
シャルル・ルクレール
【ベストタイム】全体13番手 1分30秒486 C3
1日目:11番手 1分33秒242 59周 C3
2日目:6番手 1分30秒886 73周 C5
3日目:10番手 1分30秒486 80周 C3

【走行距離】全体4番手 212周(1147km)

カルロス・サインツJr.
【ベストタイム】全体3番手 1分29秒611 C4
1日目:5番手 1分31秒919 57周 C3
2日目:13番手 1分33秒072 56周 C3
3日目:3番手 1分29秒611 79周 C4

【走行距離】全体9番手 192周(1039km)

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定