カワサキZX-10R/ZX-10RRの開発はSBKにフォーカス「レースで速いバイクは初心者にも乗りやすい」/開発者インタビュー

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2021年03月24日 20:11  AUTOSPORT web

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カワサキNinja ZX-10Rに乗るSBKチャンピオンのジョナサン・レイ
カワサキは、3月24日に『Ninja ZX-10R』と『Ninja ZX-10RR』の国内における発売予定日や価格を発表した。また、事前にNinja ZX-10R/RRプロジェクトチームによる合同開発者インタビューを行い、車両の改良点や魅力を語った。

 開発者インタビューにはNinja ZX-10R/RRプロジェクトチームから、開発リーダーの西山隆史氏、車体設計の山本智氏、エンジン設計の阪口保彦氏、開発ライダーの苅田庄平氏が出席した。

 カワサキZX-10R/ZX-10RRはスーパーバイク世界選手権(SBK)に参戦しているカワサキ・レーシングチーム・ワールドSBKにより開発されている車両だ。SBKにおいては6年連続でライダー&マニュファクチャラーズタイトルを獲得している。

 両モデルともに998cc水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブエンジンを搭載しており、メーカー希望小売価格は『Ninja ZX-10R』と『Ninja ZX-10R KRT EDITION』が229万9000円、『Ninja ZX-10RR』は328万9000円となり、カワサキプラザでZX-10Rが5月28日、ZX-10RRが6月25日から発売されることが発表されている。

■ZX-10R/ZX-10RRの開発はSBKの技術をフィードバック
 新型の2021年モデルは、市販車ベース車両による二輪ロードレースの最高峰となるSBKの実力を兼ね備え、ZX-10RRはSBKで勝利を獲得するために誕生した。

 開発陣が「SBKのレギュレーションにより、レース車両で大きく変更できない個所を(ベースの市販車で)変更することで、助けるのが今回の開発の大きなコンセプトとなります」というとおり、ジョナサン・レイとZX-10Rのパッケージの強みとなるブレーキやコーナー進入時の安定性、オーバーテイクをして勝利を掴む特性を残しつつ開発が進められた。

 デザインは大きく変わっているが、SBKで6年連続チャンピオンを獲得しているため、車体とエンジンの組み合わせは「SBKで勝っているから、変えるリスクが高く変更することをやめた」といい、「ほぼ完成形」だとも説明。そのため、空力性能を上げることを一番の開発のテーマとして「機能とデザインを両立してこだわって開発していった」という。

 変更された空力面においては、「MotoGPでウイングが採用された4年ほど前に、ウイングを取り付けてテスト走行を行いました。結果が良かったため市販車にフィードバックしたい」ということから新型マシンの開発当初にウイングレットを採用。Ninja H2Rをベースにしたウイングで風洞試験などのテストを行ったが、デザイン面も考慮されて、最終的にNinja H2がベースの一体型ウイングレッドをよりレースに特化した形状へと変化した。

 新型マシンをテストしたジョナサン・レイが「脱出速度が上がっている。フロントが安定している」と述べたこと、SBKでライバルとなるスコット・レディングから「カワサキはいいバイクだから変える必要はない」とコメントをしたことで「判断は正しかったかな」と開発陣は自信をのぞかせた。

 以上の理由により、車体やブレーキシステムはほぼ変更がないが、前輪分布荷重を増やし、コーナリングでのフロントの接地感と脱出速度の向上、エンジンの高回転化による高速での安定性と伸びにより、レースで後方からでも追いつける仕様へと仕上げられたのだ。

■レースで速いバイクはビギナーにも乗りやすいバイク
 開発はSBKを中心に進められたわけだが、市販車として販売され、それを手にする一般ユーザーにはどのようなメリットがあるのだろうか。開発陣は、開発自体はSBKにフォーカスしているが「SBKで速く良いマシンにすることは、ビギナーにも役に立つものに反映させる」と説明する。

 空力性能の向上は「ライダーをカウルが包む」ためツーリングでも体感ができるといい、サーキット外でも効果を発揮するようだ。カウルの形状も大きくなり、サーキットで伏せた際に、より空力を向上するためにシートの形状や固さも変更されており、結果としてツーリングなどで長時間乗った時に疲れづらくなっているという。

 また、前輪分布荷重を増やしているため、軽く操作でき、ビギナーでもUターンを楽にできるほど曲がりやすくなっているという。そして、電子制御の介入が多い、モード4とモード5は内容が見直され、初心者が雨天で走行する場面でも体感できるほど改善されている。

 もちろんサーキット走行であっても、SBKのようなスプリントレースだけでなく、FIM世界耐久選手権(EWC)といった耐久レースでも適用できるようになるという。

 それにより、サーキットを走る方からライディングのスキルを磨くユーザー、ジョナサン・レイに憧れて購入したユーザー、初心者まで幅広いユーザーをターゲットにしている。

 そのほか、ディスアドバンテージになる部分があるか聞くと、大きく変えたフロントフェイスのデザインを「(ユーザーが)受け入れてくれるかな」と答えたものの「我々は新型ZX-10Rを数年前から見ているので見慣れています。発表後のインターネットでの評判も賛否両論があったのは知っていますが、受け入れられています。次第に慣れてくると当たり前になると思います」とも述べた。

 『Ninja ZX-10R』と『Ninja ZX-10RR』は両モデル含めて世界で8000台、『Ninja ZX-10RR』は世界限定で500台が販売される予定だ。車両の詳細はカワサキモータースジャパンのホームページ(https://www.kawasaki-motors.com/mc/lineup/ninjazx-10r/)まで。

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