町田啓太「掘り進めて共感したい」「根底を理解したい」 役柄との真摯な向き合い方

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2021年04月12日 11:30  AERA dot.

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写真俳優 町田啓太(撮影/植村壮駿)
俳優 町田啓太(撮影/植村壮駿)
 朝ドラに大河、深夜ドラマまで、幅広い役柄を演じている。チャレンジングに見える役柄も、共感できる点を探して掘り下げ、製作陣とつくり上げていく喜びを語った。AERA 2021年4月12日号から。

【町田啓太さんが飾ったAERAの表紙はこちら】

*  *  *
——放送中のNHK大河ドラマ「青天を衝け」に土方歳三役で出演する。幼い頃からダンダラ羽織に憧れ、新選組の物語を好んで見てきた。念願の役柄のひとつだという。

町田啓太(以下、町田):子どもの頃は、当時の社会も新選組がどんな存在だったのかもあまりよくわかっていなくて、扮装(ふんそう)や出で立ちを見て、素直に「かっこいいな」と思っていました。

 新選組に関する漫画や小説、ドラマは数えきれないほど存在していて、これまでも土方はさまざまな役者さんが演じてこられました。プレッシャーを感じないと言ったら嘘になります。でも、百余年という時を経ても、ドラマや小説になるということはやはりすごいことです。これまで演じてきた方々をリスペクトしつつ、自分なりの土方像を楽しみながら全うできたらいいなと思います。

 いまの状況では、新選組ゆかりの地を実際に訪ねたりすることはできないので、自分なりに資料を調べたり、殺陣師の先生から参考になる映像などを送っていただいたりしながら、役と向き合っています。歴史なので諸説ありますし、一般的には渋沢栄一との接点はあまり知られていません。でも、「実は土方と渋沢には接点があった」と文献にも少し残っているようなので、意外なつながりも楽しんでいただけたらと思います。

■まずはやってみる

——連続テレビ小説「花子とアン」、ドラマ「女子的生活」「中学聖日記」などで、時代もテイストも異なる幅広い役を演じてきた。高校時代はパイロットを目指し、その後ダンサーを経て、俳優の道に進み、10年になる。

町田:思い返すと、いろいろな転機がありましたし、自分はウロウロしていたなとも思います(笑)。自分自身が、いろいろなことを探したかったんだろうな、と。まずはやってみて、違うと思ったら、方向転換する。行き当たりばったりの感じはありましたが、いつも自由にさせてくれた両親がいたのが、大きかったと思います。

 小学校から中学へ進む頃、当時漫画『テニスの王子様』が人気だったこともあって、「絶対にテニスをやりたい」と、ラケットや練習道具を買ってもらったんです。なのに結局野球部に入ったり、高校に入学したら、ダンス部に進んだり。親としては、「えー!」の連続だったと思うのですが、わがままを聞いてくれて、本当に感謝しています。

 俳優になりたての頃は、アウトローやワルの役がすごく多かったんです。だからこそ、最近はできるだけ幅広い役柄にチャレンジできたらいいな、と思うようになっています。

——昨年放送されたドラマ「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」は大きな反響を呼んだ。男性同士のラブストーリーはチャレンジだったのではないか、と尋ねると、真っすぐな答えが返ってきた。

町田:ファンタジー要素もありながら、ラブストーリーであり、コメディーであり……。「挑戦」と言えば挑戦ですし、あれだけ監督と意見を交わして、話し合いながら作品をつくりあげていくのは、そうそうできない、刺激的な経験でした。監督一人がディレクションするわけではなく、一つのチームとして面白いものを丁寧につくろう、という思いを皆で共有できたのは、本当にうれしかったですね。

 僕は役を演じるときは、キャラクターとしてではなく、ひとりの人間としてその人物を探るようにしています。もちろん、技術だけでできる俳優さんもたくさんいらっしゃると思いますが、僕の場合は自分も共感できないと難しいと感じるので。たとえば、ぶっ飛んでいる役なら、なぜそう見えるのか、根底にあるものを理解したい。自分がキャラクターの「この部分は理解できる」「気持ちがわかるな」というところを発見し、発掘していく。その作業はできる限り怠らないようにしたいんです。

 メインのキャラクターなら、多くの場合、物語の中に資料や参考にするものがあって人物像を深く掘っていけますが、それがない時、難しさを感じます。自分なりに多角的に考えて、監督に「こうですか?」と尋ねて、「ちょっと違います」と言われたら、また一からやり直す。物語の中で、小さな役で出させてもらう方が難しいのではないかな、と思うこともあります。

■漫画の主人公になる

——現場で経験を積むにつれて、自然と「企画や制作段階から作品に携わってみたい」という思いが芽生えるようになった。そんななか、テレビ東京と「めちゃコミック」のコラボコンテスト「僕を主人公にした漫画を描いてください!それをさらにドラマ化もしちゃいます!!」という企画が届いた。

町田:僕自身、漫画が大好きで、さまざまな漫画に影響を受けてきた人生だったんです。小学生の頃は『るろうに剣心』が大好きで、「抜刀斎(ばっとうさい)になりたい」って思っていましたし。自分をもとに漫画を描いてもらえる日が来るとは、思ってもいませんでした。普段は逆で、漫画が原作で、その登場人物を演じることがほとんどなので、「こんなことがあるのか!」と。

 長期のプロジェクトになるので、作者の負担も大きいと思いますが、試行錯誤をしながら、そうしたもがきや苦しみも楽しみながら、一緒につくっていけたらいいなと思っています。まだ動き始めたばかりの企画ですが、「誰からも応募がこなかったらどうしよう」という不安もあったので、まずは応募してくださった方がいてよかった、というのが正直な気持ちです(笑)。

 仕事をするなかで、共演者やスタッフの方をはじめ、先輩方に声をかけてもらったり、助けてもらったりしてうれしかったことがたくさんあるんです。同年代や年下のスタッフが増えたいま、自分もそんな存在になっていけたら、と思っています。

(ライター・古谷ゆう子)

※AERA 2021年4月12日号

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