全然スマホ依存じゃない! 日本の子どものスクリーン視聴時間はアメリカの2分の1ほど

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2021年04月13日 07:00  AERA dot.

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写真子どもにどれだけスマホを使わせるかは、どの家庭でも大きな悩み。依存せず、賢く利用したいものだ(写真/gettyimages)
子どもにどれだけスマホを使わせるかは、どの家庭でも大きな悩み。依存せず、賢く利用したいものだ(写真/gettyimages)
「スマホ育児」という言葉を聞いて、皆さんはどんなイメージを抱きますか。この文明の利器により、私たちはさまざまな情報サイト、アプリ、学習教材にアクセスできるようになりました。愛するわが子のベストショット、ベスト動画、初めてしゃべったことばや歩いた日付などもすべてスマホに保存されていて、今やスマホなしでは子育てが成り立たないお父さんお母さんも多いのでは。私もそのひとりです。毎分毎秒のようにお世話になるスマホ。それでも、「スマホ育児」にはネガティブなイメージを持っているかたが多いのではないでしょうか。私もそのひとりです……。

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 子育てをしていると、とにかく「現代の親はスマホに依存しすぎだ」「スマホに子守をさせないで」と、スマホ育児に対する否定的な情報が目に入ってきます。確かに使いすぎはよろしくありませんが、そんな情報に日々接していると「確かに我々は依存気味だよな」と思い込み、「子どもには絶対スマホを見せないようにしなくては」と気負ってしまうかたもいるのでは。でも、アメリカで約5年間子育てし、最近日本に帰ってきた身として言わせてください。日本のお父さんお母さん、ぜんっぜんスマホ依存ではありません。

 電車やバス、公園や児童館など公共の場に行って驚くのは、日本の保護者がスマホをいじる頻度の低さです。アメリカだと、子どもを遊ばせているそばで保護者がスマホを眺めているのが常態。はた目から明らかにベビーシッターだとわかる人たちもずっとスマホを見ているので呆れてしまいます。体操教室などの習い事、図書館の読み聞かせタイムのような場でも、ここぞとばかりにスマホをのぞきこんでいる保護者の姿をよく見ます。保護者がそうですから、子どもにもかなりの頻度でスマホを見せています。

 スマホだけではありません。パソコンやタブレット、テレビ、ゲーム機も同様です。アメリカではこれらの機器をまとめて「スクリーン」と呼び、建前としては「スクリーンばかり見せていてはいけないよね」といわれるのですが、まったく守られていないのが実情です。スーパーではご機嫌取りのため子どもにスマホやゲーム機を渡し、1日中テレビをつけっぱなしのデイケアがあり、小児科や子ども向けの歯科へ行くと気を逸らすためにテレビがつけられます(もちろんスクリーン禁止のポリシーを掲げているデイケア等もありますが、全体の傾向としてはスクリーン依存)。

 昨年の3月中旬、パンデミックのためにアメリカでもすべての園・学校が閉まりました。さあ来週から休校だというとき、お母さんたちの集まる会で「みんな、一体どうやって毎日過ごすつもり?」とアドバイスを求めたことがありました。その時、一同が声をそろえて言ったのです。「ユーチューブ!!!」と。

 そのときは「Hahaha、イカしたアメリカンジョークだね」と笑い、まぁそれくらいの心構えでいたほうがストレスなく休校期間を乗り切れるかもな……と考えていたんですが、休校期間をしばらく過ごしてみて知ったのは、「ユーチューブ!!!」はジョークでもなんでもなく、本当に1日中動画を子どもに見せている家庭がなかなかの数あるという事実でした。大画面でネットフリックスの動画を流しながら、手元ではスマホやニンテンドースイッチをプレイ、という光景も見ました。
 
 アメリカでは幼稚園や学校の宿題もアプリ経由で出るくらいなので、スクリーンの使用率が上がるのは致し方ないともいえます。スマホを見ている親子だって、必ずしも常時SNSをチェックしているだけではないでしょう。ひとくちにユーチューブといっても、娯楽以外に教育的なプログラムもたくさんありますし、その線引きはあいまいです。

 そんな背景もあるのか、アメリカのスクリーン規制は日本のそれと比べるとゆるゆるです。たとえば、アメリカ青少年児童心理学会(AACAP)が発表しているガイドラインは次の通りです。

◎18カ月以下の幼児にスクリーンを見せるのはやめましょう。ただし家族や友だちとの動画通話は可
◎18カ月〜24カ月の幼児には、保護者の監督のもと教育的なプログラムだけを見せるようにしましょう
◎2〜5歳の幼児には、教育的でないプログラムを見せるのは平日1日1時間、週末は3時間までにしましょう

「え、週末だけとはいえ2〜5歳に3時間がガイドライン? しかも教育的なプログラムはもっと見せていいってこと?」と、ちょっと驚きませんか。結果、アメリカの子たちのスクリーンタイムは年代によっては1日の3分の1以上にも上ります。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の調査によると、アメリカの子たちがスクリーンの前で過ごす時間は、8〜10歳が1日平均6時間、11〜14歳は9時間、15〜18歳は7時間半。8歳未満の子の平均時間は具体的には発表されていませんが、医学雑誌『JAMA Pediatrics』によると、2歳児の79%、3歳児では97%の幼児がAACAPのガイドライン「平日1日1時間」を超えてスクリーンを視聴しているとのこと。しかもそれは、幼児が自ら見るというよりも親と一緒に見ていることが多いそう。まあ、そうでしょうな……という感想しかありません。

 かたや日本の子どもたちのスクリーン視聴時間はというと、名目は「インターネットの利用時間」となりますが(勉強や動画通話も含む)、小学生が1日平均2時間26.4分(146.4分)、中学生が3時間19.7分(199.7分)、高校生が4時間27.4分(267.4分)です(令和2年度・内閣府の調査より)。これに加え、1日平均60分ほどテレビの視聴時間があるそうなのですが(こちらは令和元年・総務省の調査より)、ネットとテレビは並行利用することもありますし、単純に足し算はできません。すごくざっくり計算すると、日本の子どもたちのスクリーン視聴時間はアメリカの2分の1程度だと考えられます。

 こうした数字からも個人的な体感からも、日本の親子はアメリカの親子と比べたら全然スクリーン依存じゃないよな、と思います。もちろん、他国より視聴時間が短いからといって「もっとずっとスクリーンに頼っていい!」というわけではなく、程度問題であることに変わりはありませんが、必要以上に「現代の親はスマホに依存しすぎだ」と自分や他者を責めることも、罪悪感を抱くこともないと思うのです。


※AERAオンライン限定記事

◯大井美紗子
おおい・みさこ/アメリカで6年暮らし、最近、日本に帰国。1986年長野県生まれ。海外書き人クラブ会員。大阪大学文学部卒業後、出版社で育児書の編集者を務める。渡米を機に独立し、日経DUALやサライ.jp、ジュニアエラなどでアメリカの生活文化に関する記事を執筆している。2016年に第1子を日本で、19年に第2子をアメリカで出産。ツイッター:@misakohi

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