『SUUMO』編集長が注目する、郊外の街はどこ?

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2021年04月14日 07:51  マイナビニュース

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新たな生活スタイルが浸透しつつある2021年、住まいの選び方はどのように変化しているのでしょうか? 不動産情報サイト『SUUMO』編集長の池本洋一氏にお話を伺いました。

○コロナ禍によって再発見される魅力

――コロナ禍によってテレワークが普及し、住まいを変える人も現れているようですが、実際に「都心離れ」は起きているのでしょうか?

たしかに、郊外の戸建て分譲を中心に展開している飯田グループが、「2021年3月期 第3四半期決算において、戸建分譲事業の売上収益が前年同期比114.2%となった※」などの事実はあります。しかし、世の中の言うほど、都心から人が離れているわけではありません。

※飯田グループホールディングス2021年2月9日発表「2021年3⽉期第3四半期決算説明資料」より

――すると、何が起きているのでしょう?

ひとことで言えば「郊外の魅力」が見直されたのです。例えば、埼玉に住んでいる人は、以前なら引っ越しの時に都内を求める傾向がありました。しかし、コロナ禍によって「東京は公園すら密だし、あれ? 私の地元、実は住みやすいかも」と考えるケースが増えてきたのです。

昔は、渋谷や新宿に行かなければ買えないものがたくさんありましたが、今は、どこの中核都市にも商業施設は充実しています。ショッピングモールは都心よりも盛りだくさんなくらいです。昔と比べて、住むエリアの選択肢が増えてきていると言えます。

――ライフステージの変化に合わせて住み替えをする際も、地元を選ぶことが増えてきたのですね。「郊外の魅力」について、もう少し詳しく教えていただけますか。

「家の近くでおいしい飲食店を見つけた」とか、「公園でマルシェイベントが定期開催されている」とか、「旧街道の古民家をリノベーションしたお洒落なカフェがあった」とか、そういった、ローカルな良さが注目されているのです。コロナ禍によって、あらためて近所を散歩したことで、素敵なお店を発見した人もいるのではないでしょうか。

こうした魅力の裏側には、地元の産業技術を活かした工芸品をこしらえたり、採れたての野菜で美味しい料理を作ったりと、「地産地消」をずっと推進し、情報発信してきた方々がいて、それらWebサイトへのアクセスが、今、急増しているようです。

私がインタビューした一人は「コロナは恨めしいけれど、みんなに地元の良さを気付かせてくれた」とおっしゃっていました。

○街への「誇り」が、住みやすさを生んでいく

――とくに注目している郊外エリアはありますか?

2021年に私が注目するのは、所沢です。ここには「地域の魅力」と「商業施設」、そして「世界的コンテンツ」がそろっています。

――「世界的コンテンツ」というのは気になりますね。それぞれのポイントの解説をお願いします。

地域の魅力で言うと、所沢は野菜やお茶・果物の生産が活発で、オーガニックフードや雑貨・服飾品などが並ぶクラフトマーケットが開催されています。地元の鉄工所では、鉄製品をつかったお洒落なアクセサリや家具なども作られています。また、昨年はコロナ禍で開催できませんでしたが、市民手作りのフェスも盛んで、二日間で延べ30万人を超えるほどの規模になっています。

商業施設としては、昨年に駅直結の大型商業「グランエミオ」が本格的に開業しました。数百の店舗が入っており、わざわざ池袋に遠出しなくとも、欲しいものはここで買うことができます。

そして、これも昨年ですが、KADOKAWAの本社が所沢に一部移転し「ところざわサクラタウン」として、全館グランドオープンしました。建築家の隈研吾氏が手がけた「角川武蔵野ミュージアム」も、この施設の一部で、アニメやマンガなど世界に誇る日本のポップカルチャーが、ここに集積しているのです。

さらに、所沢市にある狭山丘陵は『となりのトトロ』の舞台のモデルの一つと言われている場所。ここは「トトロの森」と呼ばれていて、作品にちなんだ施設があちこちにあります。西武鉄道所沢駅の発車曲も、2020年11月より映画の楽曲が使われているのです。

――地域の魅力や商業施設は住みやすさに直結すると思いますが、カルチャーコンテンツは観光以外にも有効なのでしょうか?

こうした、全世界に通用するようなコンテンツが充実していると、「シビックプライド」が醸成されやすくなります。シビックプライドとは「都市に対する市民の誇り」のことです。これが高いほど、(住人の)街を守り育てていくためのコミュニケーションが活発になり、コミュニティが活性化され、「住み続けたい」という気持ちが膨らんでいくと言われています。

今回は所沢を代表例に挙げましたが、他にも魅力的なエリアが郊外にはあります。こうした視点での街選びも参考にしてください。

○取材協力:池本洋一
不動産・住宅情報サイト『SUUMO』編集長1995年リクルート入社。住宅領域で編集職・営業職として従事し、2006年に首都圏 『新築マンション』 フリーペーパー地域版の創刊リーダーを務めた後、『住宅情報都心に住む』、『住宅情報タウンズ』 の編集長に就任後、2011年から現職。

瀬戸義章 1983年5月16日生まれ。神奈川県出身。物流会社で新規事業のマーケティングを担当後、フリーランスに。ITにより途上国の防災力を強化する国際支援活動も展開している。著書に『「ゴミ」を知れば経済が分かる』(PHP出版) この著者の記事一覧はこちら(瀬戸義章)

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