東京03・角田晃広「全国ツアーは赤字。1分ブームに乗れなかった」

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2021年04月15日 11:30  AERA dot.

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写真角田晃広さん
角田晃広さん
 お笑いトリオ「東京03」のコントではボケを担当することが多いが、最近では、俳優業にも引っ張りだこの角田晃広さん。角田さんが現在のブレークに至るまでの紆余曲折を明かした。

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「将来は、ミュージシャンになれたらいいなぁ」

 そんなことを夢想しながら、大学生のときは、いわゆるモラトリアム生活を満喫していた。就職はしたくない。大好きな長渕剛さんのように、世の中をぶった斬っていくような歌を歌いたい。フォークギターを買って、ギターを練習し、ある程度のコードは押さえられるようになった頃、「歌詞を書いてみよう」と角田さんは思った。

「ルーズリーフを前に、シャーペンを持って、何か世の中に対する不満を書き出していこうと思ったら、頭の中が真っ白になって。世の中に特に不満なんてないなぁ。俺って幸せだなぁ、と(笑)。ミュージシャンの素質がないと思って、すぐその夢は諦めました」

 普通ではない職業に憧れ、ついでに根拠のない自信も抱えているのは、“大学生あるある”なのかもしれない。人生初の軽い挫折を経験したタイミングで、親しい友人から、「お笑いライブをやるんだけど、一緒に出ないか?」と誘われた。

 音楽では挫折したものの、お笑いとはいえライブはライブ。ステージの上に立って、自分たちの一挙手一投足に、お客さんが反応してくれる楽しさが病みつきになった。当時、若手芸人たちがネタを披露できる番組はNHKの「爆笑オンエアバトル」のみ。番組に向けて作ったネタを、まず劇場で披露して、お客さんの反応を見てから、オンエアバトルに出演する日々が続いた。

「でも、20代後半になっても、生計はバイトで立てるしかなくて、だんだん、『このまま続けても先はないかもしれない』と思うようになった。当時一線で活躍していたお笑い芸人といえばダウンタウンさんにしてもウッチャンナンチャンさんにしても、みんな20代でブレークしていたんですよ。それで、29歳のときに一旦その学生時代から続けていたお笑いトリオを辞めたんです。そのときは、お笑いそのものから足を洗うつもりでした」

 ところが、当時住んでいた家の近くに、現在角田さんが所属するお笑いトリオ「東京03」のメンバー・飯塚悟志さんが引っ越したことで、状況が一変する。番組や劇場で一緒になることが多く、すっかり顔見知りになっていた2人が、沿線の居酒屋でたびたび一緒に飲むようになった。角田さんは、前のトリオを辞めたタイミングで、飯塚さんから、「一緒にやらないか」と誘われた。

「前のトリオのときは、6年ぐらい僕がネタを書いてやっていたんですが、だんだん、『これ面白いのかな?』という疑問が生まれてしまって……。年も年だしそろそろこの辺でお笑いには見切りをつけようと思って解散したら、飯塚さんから、『自分たちが面白いと思うものやろうよ』と」

 角田さん、飯塚さんに、元々飯塚さんとコンビを組んでいた豊本明長さんと3人で、「東京03」を結成したのが2003年のことだった。

「それまで僕一人でネタを作っていたのが、飯塚さんと2人で一緒に、ファミレスで、ドリンクバーだけで何時間も粘りながらネタ作りができることが新鮮でした。ルーズリーフにシャーペンで書いたネタを、ファミレスの席に向かい合って座り、『こんなのどう?』『いいんじゃない?』と見せ合って進めます。この1年ちょっとは、コロナでそれができなくなってしまったけれど、コロナが明けたら、またあの作り方を復活させたいです」

 結成から6年。「東京03」がコント日本一を決める「キングオブコント」で優勝するまでには、人気のお笑い番組の変遷に伴う紆余曲折もあった。

「『エンタの神様』に出させていただけるようになってから、バイトをしなくてよくなっていったんですが、『爆笑レッドカーペット』が人気になると、1分ネタが全盛の時代がやってくるんです。僕らは10分ぐらいのネタが多くて、テレビでは5〜6分まで縮めますけど、とてもその1分ブームには乗れなかった」

 売れている芸人イコールレッドカーペット芸人の時代。必然的に、営業に呼ばれる回数も減った。

「09年の夏に、思い切って全国ツアーライブを敢行したものの、お客さんが入らず、赤字でした。マネジャーから『このままだとまずいです。キングオブコントで優勝するか、せめて決勝に残っていただかないと』と言われて、『無理に決まってるじゃん!』と(笑)。でも、ラッキーが重なって優勝できて。翌年の全国ツアーは、各会場が満員になった。そこから、ライブで全国を回るのが恒例になりました」

(菊地陽子 構成/長沢明)

角田晃広(かくた・あきひろ)/1973年生まれ。東京都出身。お笑いトリオ「東京03」のメンバーとして、数々の番組やライブで活躍。フジテレビ系「ノンストップ!」、BSフジ「東京03 in UNDERDOGS」、NHKラジオ第1「東京03の好きにさせるかッ!」などにレギュラー出演。「東京03」のコントは、オフィシャルYouTubeチャンネルでも公開。今年も第23回「東京03」単独公演「ヤな因果」の開催が決定している。

>>【後編/松たか子と共演で東京03・角田晃広「僕はやる気がないと思われてる?」】へ続く

※週刊朝日  2021年4月23日号より抜粋

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