少年忍者・北川拓実の言葉が視聴者の心を揺り動かす 森鷗外「高瀬舟」舞台を現代に移し映像化

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2021年05月08日 17:31  リアルサウンド

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少年忍者・北川拓実の言葉が視聴者の心を揺り動かす

 森鷗外の「高瀬舟」を原案にしたドラマが「WOWOWオリジナルドラマ『文豪少年! 〜ジャニーズJr.で名作を読み解いた〜」にて少年忍者 北川拓実主演で5月9日に放送・配信される。


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 『文豪少年!』はジャニーズJr.の人気ユニット「少年忍者」から精鋭12名を主演に迎え、日本文学を代表する文豪たちの小説を新たな切り口で映像化する、一話完結のオムニバスドラマだ。


 舞台は町の片隅にある小さなブックカフェ。この店では訪れる少年たちの抱える悩みやためらいに合わせて、未来を拓くための一冊が用意される。少年たちが、カフェのマスターに手渡された本をめくってみると、彼らだけの物語の世界が始まる――。


 第八話「少年と舟」で原作となるのは、森鷗外「高瀬舟」。


 森鷗外、本名・森林太郎は代々津和野藩の典医を務める家の長男として1862年に生まれる。東京大学医学部を卒業後に陸軍軍医となり、1884年から軍の命令を受けドイツへ留学。4年後に帰国すると文学活動を開始し、小説『舞姫』『うたかたの記』『文づかひ』を発表。文芸評論や小説・戯曲の翻訳も行い、軍医の仕事を続けながら多くの著作を残した。


 1916年発表の「高瀬舟」は、江戸時代の随筆『翁草』に収録されている「流人の話」をもとにした歴史小説だ。


 舞台は江戸時代も後半、寛政の頃。同心・羽田庄兵衛は弟殺しの罪人である喜助を舟に乗せて、京都から大阪へ護送する。その途中、庄兵衛は不思議なことに気づく。舟に乗る罪人は大抵が暗い顔をするのに、喜助は楽しそうな顔をしているのだ。そこで、〈喜助。お前何を思っているのか〉と尋ねてみる。


 仕事がなかなか見つからず、ずっと貧乏だった喜助。遠島となった罪人に支度金で渡される二百文は、彼にとって貯金することのできる初めての銭で、何に使うのか考えるのを楽しんでいたという。喜助の殊勝な心掛けに尊敬の念を抱いた庄兵衛は、そんな男がどうして人を殺めたのか訳を尋ねてみる。すると、喜助の口から意外な真相が語られるのだった。


 今回は物語の舞台を現代の少年鑑別所に移す。歌唱力が抜群で、歌によって誰かの人生を変えたり、そばに寄り添えるようになりたいとコメントしている主演の北川拓実。ドラマの中では現代版の喜助となった彼の口から発せられる切実な言葉が、視聴者の心を揺り動かしていくはずだ。静かな川の流れを背景に、現代社会へ疑問を投げ掛ける問題作だ。


(文=藤井勉)


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