「大谷翔平は価値が高すぎる」米メディアからエンゼルスの起用法に疑問の声

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2021年05月13日 10:00  AERA dot.

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写真大谷翔平選手(GettyImages)
大谷翔平選手(GettyImages)
 5月11日(現地時間:以下同)の敵地ヒューストンで行われたアストロズ戦に登板した大谷翔平は、投手としては今季最高のパフォーマンスをみせた。今季三度目となる投打同時出場を果たし、今季最長の7回88球を投げ、4安打、1失点、10奪三振の好成績を残した。これまで投球数の多さが懸念されていた初回の立ち上がりもわずか12球で終わらせ、降板までに与えた四球もわずか1つとコントロールも安定していた。この試合の大谷はもはやエースといっても過言ではない投球をみせた。さらに8回からは今季二度目となる外野の守備に就き、投打同時出場の試合では初のフルイニング出場を果たした。

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 この試合をもって今季の投球回数が20イニングを超えた大谷は、いわゆる「Two−Way Player(二刀流選手)」登録に必要な要件を満たすことになった。2019年に発表されたこのルールは、投手として20イニング以上、打者として20試合以上に出場すれば、「二刀流」としての資格を得て、投手や野手(DHを含む)とは別に独立した登録枠に入ることが出来るというものである。現時点で、このルールに該当する選手はメジャー全体でも大谷のみで、通称「大谷ルール」ともいわれている。

 もっとも、MLBの公式ルールブックには、「コロナ禍の影響を考慮し2020年と2021年のシーズンにはこのルールは適用されない」とも明記されており、エンゼルス番記者のジェフ・フレッチャー記者も「今季は二刀流選手として登録されることはない」と断言する。とはいえ、ここまで三度の投打同時出場を果たし、二刀流登録に必要な要件も早々にクリアした大谷に「来季以降この枠で二刀流登録され、エンゼルスを救う選手になることは間違いないでしょう」と期待する。

 現地記者が大谷をこれほど高く評価するのには、大谷のこれまでの活躍もさることながら今のチーム状態にも理由がある。

 エンゼルスは現在ア・リーグ西地区で最下位に沈んでおり、最悪の状況にある。チーム打率や得点力はリーグ上位を誇っているものの、5月11日現在、投手陣のチーム平均防御率は5.09で30球団中28位と落ち込んでいる。さらに、ここまで30ものエラーを出しており、全球団の中で最低の守備力であるとも言わざるを得ない。さらに、今季はケガ人も多い。現在は復帰しているものの、主力のマイク・トラウトが死球により一時離脱、それ以降もケガで離脱する選手が相次ぎ、現在は野手のアンソニー・レンドンと投手のアレックス・コブが離脱中だ。

 悪い話はこればかりではない。5月6日、エンゼルスは殿堂入りが確実といわれている大ベテランのアルバート・プホルスを、ロースター枠から外す「DFA」(事実上の戦力外通告)を発表した。チームの説明によれば、指名打者として大谷が、一塁手としては若手のジャレット・ウォルシュが台頭してきており、その結果プホルスのプレー機会が少なくなったことが原因だという。10年契約の最終年とはいえ、レジェント級の選手をこの様な時期に戦力外にしたチームの判断に現地からは驚きの声が挙がっている。地元紙以外のメディアのみならず、OB選手たちからも「不名誉なやり方だ」などとチームを非難するコメントが相次いだ。さらにエンゼルスは、今季マイナーから昇格したばかりの捕手ジャック・クルガーを早々にテキサス・レンジャースにトレードで放出した。ベテランのみならず生え抜き選手ですらぞんざいに扱うチーム首脳陣に、ファンは強い不信感を募らせはじめている。この様に、エンゼルスはチーム成績のみならずその内情もボロボロな状態にある。

 その中で唯一明るい話題を提供してくれる大谷にメディアは高い期待と関心を寄せてるというわけだ。打者としては一時リーグトップに並ぶ10本塁打を放ち、投手としては先発陣の中では一番良い防御率を誇る。だが、前述の通り今のチームは守備が悪く、リリーフ陣も崩壊した状況で、彼らが大谷の足を引っ張っていることは否めない。事実、5月5日に行われたタンパベイ・レイズ戦では、先発した大谷は5回を0点に抑える好投をみせたものの後続が相手打線に捕まり、結局3対1でエンゼルスは敗退してしまった。さらに今季最高の投球をみせた前述の11日のアストロズ戦でも、大谷がマウンドを譲った後の8回裏、救援投手が相手に4点を与える崩れっぷりをみせてしまった。いつまでも大谷を援護ができない状態が続いているが、逆に大谷以外で頼りになる投手がいないともいえる。

 このように大谷に頼りっきりの状態が続くチームに対して、現地からは次第に非難の声が出始めている。とくに、連日大谷を出場させる起用法をメディアは疑問視している。地元紙『ロサンゼルス・タイムズ』のマイク・ディジョバンナ記者も「大谷選手を投打で積極的に起用する今の方針は悪くはないのですが、肉体的負担が大きすぎます」といい、「今のままでは夏頃には故障する可能性もあります」と危惧する。同記者のようにケガのリスクを一番に回避すべき要素だと主張する現地メディアは少なくない。

 今はチームに貢献したいという大谷の希望を優先して、チームは出場を続けさせているが、エンゼルスの首脳陣による他の選手の扱いを見ていると、大谷も結局はいいように使われているだけの様にも見受けられる。現地メディアから「エンゼルスにとっては価値が高すぎる」といわれるほど、高い能力を発揮している大谷ではあるが、今後エンゼルスが自身の弱点を改めなければ、その二刀流という才能はチームによって潰されてしまうことになるかもしれない。今後、どのように大谷を扱っていくのか、エンゼルスによる起用法にはこれまで以上に注目が集まっていくことだろう。(澤良憲/YOSHINORI SAWA)

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