SuperM、NCT-Hollywood……米企業とタッグ組むグループも 新たな展望見据えるK-POP、アメリカでの成功の鍵は?

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2021年05月15日 12:01  リアルサウンド

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SuperM『Super One』

 韓国の大衆音楽は、今や世界中で世代を問わず愛される“K-POP”となった。Billboardやグラミーといったアメリカでも最も権威のある音楽チャートや音楽賞においても、K-POPアーティストたちの名前を目にするのは珍しいことではなくなっている。近隣のアジア圏で獲得してきた人気を、遠く離れたヨーロッパやアメリカでも拡大させるチャンスが巡ってきているのである。


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 デビュー初期の2014年に、ロサンゼルスの小さなクラブハウスで『SHOW & PROVE Concert』と称したアメリカでの初ショーケースを行い、徐々に人気の範囲を文字通り遠くの地域まで拡大していったBTSや、『Coachella Valley Music and Arts Festival(コーチェラ)』でのステージを成功させ、アメリカでの認知度をさらに上げたBLACKPINKのように、韓国から火がついてグローバルなアーティストになっていくグループに加え、最近では当初から国際的に活躍することを視野に入れて誕生するグループも少なくない。


 韓国のSMエンターテインメントがアメリカのキャピタル・レコードと共同で企画し、初のショーケースもアメリカで行なわれたのが、SuperMだ。彼らはEXOやSHINee、NCTの選抜メンバーから構成された連合チームで、韓国だけでなくさまざまな国にルーツを持つメンバーが集められている。1stアルバム『Super One』も、米韓同時リリースを果たした。


 もちろんBTSは無名の状態からのスタート、SuperMはもともと各メンバーにファンがついている状態という違いがあるため、新たな地での活動における難易度の差異はある。しかし、活動の幅の広げ方という点ではK-POPは新たな展望を見据えていると言えるだろう。


 さらに直近では、SMエンターテインメントが、米番組制作会社MGM Worldwide Television Groupとともに新たなグループである「NCT-Hollywood」のメンバーを選出するオーディションを計画していることが報じられた。オーディションはアメリカで開催され、審査員やメンターとしてNCTのメンバーも登場するという。


 彼らは“新たなK-POP”として世界に名を轟かせることができるのだろうか。“K-POP”とは、そして世界最大の音楽市場でもあるアメリカで成功する鍵は何なのかを考えてみたい。


 まず、アメリカにおけるK-POPグループの特異性の1つが“アイドル”としての魅力ではないだろうか。アジア地域で発展してきたアイドル文化は、そのほかの地域、特にアメリカではまだまだ「海外のポップカルチャー」というイメージが強い。


 “アイドル”としての魅力、というのはさまざまな場面に現れる。制作のビハインドやリアリティ番組、K-POP特有のコンテンツで言えばV LIVEで見られるメンバーとの距離感の近さもそのうちの1つだ。こうしたパフォーマンス時以外の魅力も、ステージの上や誌面で見せる「エギョ(韓国語で愛嬌)」も“アイドルみ”の強い彼らのチャームポイントである。


 また、ステージ上では全員が揃った衣装を着たり、コンセプトの統一された衣装を身に纏ったりする。ボーイバンドもラフな衣装で揃えることはあるかもしれないが、煌びやかな衣装でそれをするのはアイドルならではだろう。


 そして、K-POP的なパフォーマンスもカギの1つと言えるだろう。完成度の高いダンスの中でも、カル群舞と言われる全員の動きがピッタリと揃ったダンスはK-POPグループのステージの特徴である。他にもボーカルラインとラップラインがそれぞれのパートを歌い上げて1曲を構成していくところや、ファンが追いかけて歌うフレーズを含んでいる楽曲なども新しく感じるのではないだろうか。


 こうしたK-POPの特徴はつまりアメリカの音楽市場にとって新しいものであり、それらがうまくはまると人気につながるのだろう。


 K-POPはまさに世界にとっての大衆文化、すなわちポップカルチャーとして受け入れられるようになってきている。アジアというコミュニティを超越して活動するのは容易なことではない。離れた文化圏で注目を浴びるということは、それと同時にさまざまな目線を向けられるということだ。


 そこではアーティストである彼らが持つべきリテラシーもファンダムが持つリテラシーも重要視される。やはり“アイドル”であるK-POPスターを語る上で、ファンダムのことは無視できない。良くも悪くも彼らの成功のための3つ目の鍵は、ファンダムだと言えるだろう。


 彼らのアーティストとしての魅力、そして最高のファンダムの力、全てが揃ってこそ、ポップカルチャーとしての彼らは輝いていく。(フルヤトモコ)


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