――2年で1,300万円以上溶かし、現在借金は●00万円の“買い物狂い”のライターが、苦しくも楽しい「散財」の日々を綴ります。
事の発端は、Twitterで「イヤーカフにハマっている!!」と言ったことでした。すると、フォロワーさんが、スッとあるイヤーカフを見せてくれたのです。そのイヤーカフの可愛いことったら……!!!! 一瞬で「欲しい、ンギャオーーー!!」となったのは、言うまでもありません。
私が一目惚れしたのは、ジュエリーブランド・TASAKIの「デインジャー スコーピオン イヤーカフ」という名のアイテム。なんでも、ドラマ『私の家政婦ナギサさん』（TBS系）で女優・多部未華子ちゃんが付けていて、巷でも可愛いと有名なイヤーカフなのだとか。サソリのモチーフを表現したというデザインで、トゲトゲしているところがなんともかっちょいい……！ 甘すぎない、ちょっと毒気のあるフォルムがたまらないよお……！
私はすぐに「イヤーカフ、よこせええええ」とフリマアプリに突撃。すると、メルカリに出品されていることを確認しました。しかし、お値段29万9,980円。しかも着払い。定価が30万2,500円なので、ほぼ旨味はありません。ラクマにも出品されていましたが、それでも28万8,000円……。ぐむむ……。ところで、イヤーカフって落としてしまう心配はないのかね。
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私は至極当たり前のことを思いました。だってだって、30万円もするイヤーカフを落としたら泣きますよ？ 号泣して額を地面にこすりつけて「どごだあ〜〜どごだあ〜〜」って三日三晩探しまくりますよね？
そんなわけですぐさま「イヤーカフ 落とした」「イヤ―カフ 落とす」で検索。すると、まあ出るわ出るわ、イヤーカフを落としましたという人が続々出てきました。ヒイ〜〜〜、恐ろしい〜〜!!!! このコロナ禍で、皆マスクを着用しているので、マスク着脱の際にボロンと落ちちゃうのだとか。そんなのイヤあ〜〜!!
とはいえ、一度「これが欲しい」とロックオンすると、もうそれ以外なにも考えられなくなるのが千葉N子という女なのです。寝ても覚めてもTASAKIのイヤーカフが頭から離れず、こんなに苦しむのなら買ってしまおうか!? と何度も思いました。ダメ押しはラクマから出た7％オフクーポン。これを使えば27万弱で買える……ぐむむむむ!!!!!!!!!!
いつもの私ならここですぐさまポチっていたでしょう。しかし、私はつい最近、自分の稼ぎじゃどうにもならんところまで金を使い込んでしまい、母に250万の融資を受けたところでした……。母に「毎月30万円ずつ返していくから許してえ！」と泣きついて、なんとか8月のボーナス払いで引かれる金を工面したところだったのです。そんなあたいがさらに30万円の買い物って……これが母にバレたら、あたしゃ殺されかねないわよ。
そんなわけで、7％オフ期間中も「母の信頼を裏切るわけにはいかん!!!!」と歯を食いしばって耐えたのですが、気が付けば左耳をじっと見てしまうようになりました。ああ、幻のイヤーカフ……。この耳につけることができたら……素敵だろうなあ。可愛いだろうなあ。みんなが私の耳を見て「あっ!! それは30万円のTASAKIのイヤーカフではありませんか！」とひれ伏してくれるよなあ。気が付けば私は「TASAKI」のイヤーカフを検索し、見まくる日々が続きました。
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そんなある日のこと……。海外アイテムの通販を得意とする「ファーフェッチ」というサイトが10％オフクーポンを発券……!!!!!!!!!! しかも、ファーフェッチは返品可能！ 実物を見て、イマイチだと思ったら返品もできるのです。その瞬間、私はカッと目を見開き「見るだけならタダよ!!!!」と重い腰をあげました。
「見るだけならタダよ」とか言いつつ、9.9割心は決まっていました。もちろん購入予定です。新たな出費の30万円は痛いものの、190万円（残りの負債）も220万円も似たようなもんだ!! と、もはや借金の額が大きすぎて実感のない状態となっており、カードを切りました。
それから2日後。あの夢にまで見たイヤーカフがやってきました。素早く受け取ると、私はもう待ちきれずに、ステディが運転する車の中で包み紙を開け始めました。念願のイヤーカフとの初対面は、「イメージ通り」！ 着用にはちょっと手間取ったものの、がっちりと耳にはまってくれて、落とす心配はなさそうでした。とはいえ、“盲点”もありました。私の髪はボブカットなのですが、髪を耳にかけてもパサーっと髪が落ちてきてしまうのです。ぐむむ……TASAKIのイヤーカフを見せつけるためにはピンで留める必要があるわねえ……。ううん、おしゃれは我慢って言うし、このイヤーカフを見たら、みんな「わあお、素敵!!」と言ってくれるはずよ!!
「見て、タクちゃん！ 私のイヤ―カフ！」
その後、私は夕食の準備をするステディの前に飛び出しました。
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「可愛いよね!?」
そして、ずずいとステディにイヤーカフを見せつけました。ステディはしげしげと私の耳を見て言いました。「ちょっとごつすぎるんじゃないかなあ」。
え……？
「かっこいいとは思うけど、なくてもいいと思うよ」
な……ん……だと………？ まさかの『なくてもいい』発言……！ 30万円もするイヤーカフなのに……なくてもいいだってええええ!?!?!?!? この言葉に私は衝撃を受け、しばし考えました。私が「可愛い」と思ってもらいたいのは、まずはステディ。そのステディが「なくてもいい」と言っている……。果たして、落とすリスクもある30万円のイヤーカフを身に着ける理由はいずこへ……？？？
はあ……。自分では可愛いと思ったけど、ウケを考えると難しいもんだわねえ……。耳じゃ自分では見られないから、余計に人の目が気になってしまうのよ……。そんなわけで今回は泣く泣く返品することに。あ、でもカード破産まっしぐら街道からはちょっとだけ逸れたわ……。じゃあ、いいとするか……。
■今回の出費 TASAKI「デインジャースコーピオン」30万2,500円 →返品につき0円
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