ホンダF1田辺TDレース後会見:レッドブル・ホンダのチームワークで逆転勝利「2台体制がきっちり機能している」

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2021年06月21日 16:31  AUTOSPORT web

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田辺豊治 ホンダF1テクニカルディレクター 決勝インタビュー
2021年F1第7戦フランスGPは、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンがスタート直後に2番手に後退、アンダーカットで首位を奪い返し、最後は2ストップ作戦に切り替えての劇的逆転勝利だった。ホンダF1にとって1991年以来30年ぶりとなる3連勝は、田辺豊治テクニカルディレクターが「すべてのチームワークが、うまく噛み合った」と語るように、車体、パワーユニット、ドライバー、戦略遂行能力のすべてが完璧に機能した結果だったといえる。

 田辺テクニカルディレクターは今回の結果を素直に喜びつつ、「ひとつ間違えればすぐに逆転されてしまうというプレッシャーの下で、全員が仕事をしています」という心情も吐露した。わずかなミスや戦闘力の綻びが、すべてを台無しにする危険をはらむほど、メルセデスとの戦いは拮抗しているということなのだろう。

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──レッドブル・ホンダが3連勝、アルファタウリ・ホンダもピエール・ガスリーが7位入賞を果たしました。

田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):4人のドライバーが、それぞれのポジションで持てる力を100%出し切ってくれたレースでした。マックス(・フェルスタッペン)はスタート直後にコースからはみ出したところを、(ルイス・)ハミルトンに抜かれました。その後のピットインで再び首位に立ったのですが、メルセデス2台に執拗に迫られ、チームが戦略を変更して2回ストップを選択しました。それによって再び首位を奪われましたが、最後の最後にハミルトンを抜き返して優勝、1回ストップで走り切った(セルジオ・)ペレスも3位表彰台に上がりました。すべてのチームワークが、うまく噛み合った結果だったと思います。

──アルファタウリ・ホンダのふたりの戦いぶりはいかがでしょうか?

田辺TD:(ピエール・)ガスリーはクルマのポテンシャルは高かったのですが、ピットタイミングで順位を落としてしまい、予選グリッドからひとつ順位を落としての完走でした。

 角田(裕毅)はピットレーンスタートから冷静にレースを進め、順位を上げていきました。最後はタイヤのタレで順位を落としましたが、激しい中団争いのなかでの13位完走で、多くを学んでくれたと思います。彼ら4台の結果は、ホンダとしては満足できるフランスGPでした。

──この逆転勝利の意味するもの、今回の1勝をどう捉えていますか?

田辺TD:初日金曜日からデータ解析を続け、車体、パワーユニットの強み弱みを把握しながら、予選、レースに向けてのセットアップを続けていきました。その作業はいつもと変わらないものなのですが、今回はそれが非常にうまくいきました。

 決勝日は直前に雨が降り、路面が元の状態になってしまいました。そこから再びラバーグリップが乗っていく状態のなかで、タイヤ戦略をうまく対応させ、ドライバーもそれをよく理解して最善を尽くしました。それが結果に結びついたと思っています。

──今回のような拮抗したタイトル争いは、これまでも田辺TDは1990年のフェラーリ、1991年のウイリアムズと経験しているわけですが、今はどんな緊張感を背負っていますか?

田辺TD:とにかく持てる力を十分に発揮する、絶対にミスを犯さない、そんな気持ちで全スタッフが作業しています。そこは昔も今も同じですね。当時もエンジンが壊れまくるところから始まり、強くなっていきました。

 今は両選手権でトップに立っていますが、ひとつ間違えればすぐに逆転されてしまう状況です。それをいかに維持するかというプレッシャーが今は上乗せされている。そんな状況で全員が仕事をしています。

■オーストリア2連戦は「いつも以上に緻密な準備が必要」
──毎レース、非常に緊迫した展開のなかで、観ているファンの心をいっそう掴みながらホンダが勝ち続けています。そのあたりはどう感じていますか。

田辺TD:非常にエキサイティングなレース展開のなかで勝ちました。そんな状況をみなさんが楽しんでいる分、現場の我々には反対のプレッシャーが掛かっていますね(苦笑)。

 たとえば今日のレースで言えば、戦略を2ストップに切り替えたことが大きな勝因でしたが、それを決断し実行したエンジニアにしてみれば、成功するか失敗するかは最後まで分からなかった。その緊張感は、思いの強さと同じくらい、もの凄いものがあったと思います。

──第2期当時も、そのようなプレッシャーは同じでしたか?

田辺TD:当時は勝って当たり前という雰囲気でしたが、そこは今と同じでした。毎レース勝ちにいくぞという思いと同時に、自分たちのミスでレースを台無しにするわけにはいかないというプレッシャー、それを感じているのは同じです。

 ただ、今は追いつけ追い越せの状況でやっているという意味では、第2期の初期と似ています。気持ち的には、ここまでよく来たなという思いと、まだまだやれるところをやり尽くさないといけない、という発展途上の思いが混在してる感じでしょうか。

──レッドブル・ホンダのふたりが表彰台に上がった意味は、どう捉えていますか?

田辺TD:今まではずっと、マックスの1本足打法でやってきました。今季はそれにペレスが加入し、徐々に結果を出してきました。アゼルバイジャンでのマックス脱落後の優勝に続いて、今回もメルセデス2台に対して壁を作り、彼らに自由な作戦を採らせませんでした。2台体制がきっちりと機能していると思います。ですので、この先も選手権争いを有利に進めるうえで、今日のようなレース展開ができればと思っています。

──次戦以降の見通しはいかがでしょうか?

田辺TD:次戦のオーストリアは2019年にレッドブル・ホンダが初優勝を遂げた思い出深いレースですが、同じサーキットでの2連戦なだけに、いつも以上に緻密な準備が必要かと思います。

──この1カ月で、マシンパッケージはかなり底上げできている印象ですか?

田辺TD:毎レース、車体は新パーツを投入して進化を遂げています。パワーユニット側も使い方のセッティングを進めてきました。そんな日々の開発が、向上に結びついているという実感はありますね。

このニュースに関するつぶやき

  • 角田君に経験は不要だと思う。クラッシュするだけだから。
    • イイネ!1
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